はて
◆◆◆はて◆◆◆
てくてく
ふよふよ
のっしのっし
進んでいると、なんだか変なところに出ました。
何が変って?おっきなバリアーが貼られているんです。
コンコン
「なんでこんなところに?」
「ん?気がついてなかったのか?入り口にもあっただろう?」
「え?こんなのありましたっけ?」
気が付きませんでした。
「そりゃぁ、あるだろう。これは壁だ、ダンジョン特有のな。一般的には、ダンジョンの果てと呼ばれている。」
「果て、ですか?」
「そうだ。文字通り、この先は何もない。空間すらないので通り抜ける事も出来ない。裏技的には、この先に新たに空間を作ればそこに入れるようにはなるが特に意味はない。」
「へぇ、ダンジョンって不思議なんですね。」
とりあえず、用も無いことだし先に進もうかな?
てくてく
ふよふよ
のっしのっし
少し進むと、ずらりと木が並んでいてロイヤーが通るには狭そうな感じの所が続いています。
「壊して進む事も出来るけど・・・。」
「時間は取られるし道も塞がる上に戦力になるかどうか怪しい。また広くなったら呼べばよかろう。」
「やっぱりそうなりますよね。ごめんね?ロイヤー、ありがとう。また呼ぶね。」
私はロイヤーを送還しました。
「あ。」
先行していたスケルトンさんの1体の足をツタが捕え、びよーんって吊り上げられてしまいました。
「ほぅ、手のこんな罠だ。あの手の罠は単純ではあるが、実際に作ろうとすると意外と難しい。」
「トラばさみを使うのが簡単ですよね。」
畑に入る害獣除けの罠を作ったことがあるのですが、あんまりお役に立てませんでした。
みんなで作ったんだけど、結局お父さんが買ってきたトラばさみが一番成果を上げたんです。
「まず、釣りあげているあのしなる木。アレが重要だ。長時間使用していると曲がってしまうし、人ひとりの体重に耐えらえる強靭さも必要になる。ツタの輪っかになっている部分を踏ませなければならぬしタイミングよく罠を作動させねばならん。有り体に言って面倒なのだ。」
「そんなのがあるって事は、ダンジョンが作ったのかな?」
それともダンジョンマスターさんかな?
「いいや、ダンジョンの罠であればもっとざっくりとした、例えば縄だけだとか、さり気なく金属が使われているといった不自然さがあるはずなのだが、どう見てもあれは誰かが在り物で作ったとしか思えん。」
「じゃぁ、これを作った人が近くにいるかもしれないっていう事ですね?」
「まぁ、人とは限らぬがな。きたぞ。」
タッ タッ パシッ パシッ タッ
キリコさんが何本か矢を受け止めてくれました。
「ゴブリン・・・!!」
正面から、森の中から、何匹化のゴブリンが現れました。
何から進化したのか判明していない魔物の一種です。
強靭な体力と腕力を併せ持ち、動きは速くないものの遅いとも言えない。
他の魔物との対格差を群れと連携で補う危険な魔物です。
ダークガーデンを使えば有効打になると思いますが、無差別に使うと他の冒険者さんもいるかもしれません。
今はとにかく、
「ロイヤー!」
私は進路いっぱいを塞ぐようにロイヤーを呼び出しました。
さらに、スケルトンさんたちを呼んでゴブリンを攻撃してもらいます。
「なかなかの対応だ。後は任せよ。」
先ほどまで近くにいたキリコさんがふわりと宙を舞い、ゴブリンの下へと飛び立ちました。
私がロイヤーの後ろで縮こまっている間に、キリコさんの八面六臂の活躍でゴブリンを撃退できました。
私は見ていませんけど。
満足そうに帰ってきたキリコさんが持っている私の杖が血でどろどろです。
あの杖、あんまり使いたくないなぁ・・・。
「まるで手ごたえがなかったがいい運動になった。」
「そうですか?無事で何よりです。えっと、先へ行きますよ?」
「うむ、次の獲物が楽しみだ。」
キリコさんは戦いたがりさんみたいです。




