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Dランク昇格試験

◆◆◆Dランク昇格試験◆◆◆

揃えた装備を確かめたりしていると、凛々しい感じの女の人が訓練場に入ってきました。


「お待たせしました。私が今日の試験管を務めるクナギ・エンデリッサと申します、早速始めましょう。

見た所魔法が主体のようですね。」


エンデリッサさんがカバンから何かを取り出して地面に立てました。


あ、案山子ですね、ちょっと頑丈そうですけど。


「案山子を用意しました。これを何らかの魔法で破壊してください。距離は自由に選んで構いませんが、結果が同じなのであればより離れた位置から攻撃した方の評価が高くなる事を留意してください。」


「はい、わかりました。」


案山子の本体はわらで出来ているみたいですが、帯状の金属を巻きつけて作られています。


もしかしたらわらの中にも金属の棒が入っているかもしれません。


ハデスなら壊せるかもしれませんが、近づかないと攻撃できません。


ダークガーデンだと、そもそも当たらない気がします。


わらや金属にカースは効くのでしょうか・・・?


あ、キリコさんが攻撃するのはどうなんだろう?


「私はネクロマンサーなのですが、アンデッドに攻撃させるのはどうなりますか?」


「それは次の試験で確認しましょう。今は純粋な魔法攻撃力を確認させてください。」


「そうですか、わかりました。その、普段使っている魔法が案山子に効果があるのかわからないのですがためしてもいいでしょうか?」


「構いませんが、いかに試験とはいえ効果の無い魔法を唱えてしまうという行為自体が評価を下げることになると告げておきます。」


「やっぱりやめておきます・・・。」


うう、私にも火魔法とか使えたらなぁ。


カースだと、もしかしたらわらは何とかできるかもしれないけど金属部分はちょっと傷がついたり曲がったりするだけだよね。ハデスなら壊せるからハデスにしましょう。


ハデス!


私の右手の人差し指の先に黒い魔法の球体が現れ、だんだん大きくなっていきます。


せっかくだから、ダークブレッシング!


私とキリコさんの足元に魔法陣が出ました。


これで準備おっけーですね。もっとカッコいい魔法が使えたらいいなぁ。


【唱えよ。】

「恐怖を掲げ終へと至らん。消えよ!蒼の彼方!インフィニティクリステラ!!」


案山子と周辺の地面が白く凍り付きました。


氷が砕け、さらさらと消えていきます。


【個人スキル インフィニティクリステラが発現しました。】


なんだかものすごくMPが減った気がします・・・。


「さすがは我が主。なかなかの魔法である。」


「鉄芯まで破壊するとはなかなか高威力の魔法が使えるようですね。」


今初めて使ったなんて言えません・・・。


ハデスはいつの間にか効果が切れたみたいです。


「次の試験です。使い魔との連携を見せてください。」


エンデリッサさんがそう言いながら構えました。


武器は私と同じ片手剣のようです。


「どこからでもどうぞ。」


「残念だが、もう終わっている。」


キリコさんが攻撃を寸止めしています。すごいです!


「なるほど、使い魔が使役者よりも圧倒的に強いみたいですね。この強さならまだ連携は不要でしょう。それでは、次の試験に移ります。魔法等無しで私と1体1で戦ってください。」


「その、魔法使い系の私にも必要なのでしょうか?」


「あなたはMPを消費しない行動の一切を行わないつもりですか?MPが切れた時はどうなされるおつもりでしょうか?」


「その、MP切れにならないように節約とか・・・。」


「節約するために、せめて防御術くらいは学んでもらいましょう。行きますよ?」


エンデリッサさんが再び武器を構えてしまいました。


どうしよう・・・。


エンデリッサさんは私が攻撃するのを待っています。


私は意を決してエンデリッサさんに近づいて武器を振りました。


「はぁ。やはり、ド素人のようですね。まずは、何故魔法使い系なのに杖を辞めて剣を持っているのですか?」


「えっと、杖を持った方がいいのでしょうか?」


「そういう意味ではありません。お金さえあれば同程度の魔剣を用意することは十分可能なので杖である必要はありません。ですが、使わないのであれば杖で十分でもあります。」


「魔法無しで戦うのなら、杖よりも剣の方がいいと思ったので剣にしました。」


「なるほど。しかし、それならメイスではダメなのですか?メイスであれば扱いが容易になりますよ?」


「剣の方がカッコいいと思いました・・・。」


「好みで選んだという事ですね。モチベーションが低いと練習に身が入らず結果弱くなるので剣でも良いでしょう。」


いいんだ?


「ですが、その盾はいけませんね。あなたは普段は何かに騎乗して戦われるおつもりですか?」


「たまにロイヤーに乗せてもらいますが、普段は乗ってないです。あ、この子がロイヤーです。」


私はロイヤーを呼びました。


「なるほど。その騎獣に乗っている時はその盾でもいいでしょう。ですが、騎乗しないのであれば丸盾かタワーシールドを選ぶべきです。」


「そうなんですか?」


何が違うのでしょうか?


「それは騎乗した状態で半身を守りながら戦う盾です。正面から相対する場合、このように面積が足りません。この隙を考えながら戦うくらいなら素直にタワーシールドを持った方がいいでしょう。」


エンデリッサさんが私の盾を掴んで私の前に構えさせました。


たしかに、下の方が細いので隠れていない部分がありますね。


「でも、丸盾よりは守れるからいいんじゃないですか?」


「そんな器用なことが出来るのは使い慣れている人だけです。これから練習するというのにわざわざ地上戦では使いづらい盾を選ぶ必要はありません。完全な初心者であれば丸盾を勧めるのですが、あなたは魔化しているようですし走り回って戦うわけでもない様子なのでタワーシールド一択でしょう。」


「私に持てるんですか?」


「魔化しただけで一般的な成人男性の倍程度の腕力が手に入ります。問題ないでしょう。」


「え?そんなに増えていたんですか?」


重いものはいつもスケルトンさんたちに持ってもらっていたのでそんなに増えているとは気が付きませんでした。


「まぁ、実際には個人差がありますが。さて、装備を持ち換えた所で盾と剣の扱いの練習をしましょうか。」


「え?」


私はみっちり盾の扱いを教え込まれました。


剣は余裕がある時にちょっとした傷をつける程度にするよう言われました。


魔剣ならちょっと当てただけでそれなりの成果を出せるだろうから耐えている間に仲間に倒してもらうか魔法で対処すればいいんだそうです。


なのでとにかく盾の扱いを教わりました。


「タワーシールドなら全身を隠すことが出来ますが、その場合敵が見えなくなるから・・・」


「タワーシールドは正面からの攻撃を守るのに適していますが、このように回り込んで・・・」


「時には盾で攻撃することによってこちらの選択肢を増やし・・・」


しばらくお勉強はしたくないです。


この後、私はDランクに昇格しました。


サリアさんに教えてもらったのですが、最初に案山子を壊した時点でほぼ昇格決定だったそうです。



試験官は試験を受ける人と同性であることが条件に入れられています。

不適切な試験が行われるのを避けるためです。


試験官への報酬はとても低いです。

お金目当てに受けて適当な試験をされると困るからです。


魔法使い系の受験者の場合、デカい魔法を使えればそれだけで役に立ってしまうので合格はほぼ確定です。その代わり、近接戦闘の講習が行われます。

つまり、試験官になるには近接戦闘が十分可能である必要があります。


ただし、これらの事はC、Dランク試験に限ります。



いやー誤字報告ありがとうございます。 3件もあったようで・・・。

この機能を実装した人は天才に違いない…!!

官が管になっていたのには全く気が付きませんでした!


まぁ、最大のミスはあとがきを用意していたのに載せ忘れたことですね。


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