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◆◆◆朝◆◆◆

コンコン


「ヘンリエッタ様はこちらにおられますか?」


「ふぬる・・・・・・あと5ふん・・・。」


「あと5分でございますね。こちらでお待ちさせていただきます。」




5分後

「ヘンリエッタ様、朝早くに失礼致します。大事なお話がありますので、どうかお会いしていただけませんか?」


「へ、あ、、はい、、まってくだ、さいね。」


ずるずる どさっ。


てとてと。


私は、なんとなく、着替えないといけないような?


うん、朝だし着替えましょう。


「ふぅ・・・、いい朝ですね。顔洗いに行こうかな。」


私はお庭にある井戸へ向かう事にしました。


ガチャ。


「あれ?」


部屋を出ると知らない男の人が立っていました。パリッとしたスーツを着込んでいます。


「これはこれは、おはようございますヘンリエッタ様。本日はお会いできて誠に恐悦至極にございます。私、エットロイスの町を治めるキクリケ様に仕えるボーロイと申します。」


名刺を渡されました。


「こちらに凄腕のネクロマンサーがおられるとお聞き致しまして、是非私共の陣営に加わり町の発展へと貢献していただきたいと思い馳せ参じました。

もちろん、高給料好待遇をお約束させていただきます。

ささ、立ち話もなんですから、朝食を兼ねてレストランへご招待させていただけませんか?

僭越ながらすでに予約をさせていただいております。」


「え、えっと・・・。」


ど、どうしよう。

もう予約してあるんですか?

好待遇って何?

そんなことより、もしかして、ゆゆ、ユニークスキルがばれました?!


「お断りいただいても構いませんが、お食事だけでもご一緒願えませんか?」


「その、じゃぁ、お食事だけでいいのでしたら・・・。」


「それは良かった!どうぞこちらへ。」


私は案内されるままに宿を出ました。


案内されたお店はいかにも高そうなところでした。


入る前の庭?というか道がもう、とてもきれいに整備してあって、いかにも高級料理店ですって感じです。


断るなら自分の分は払えって言われたらどうしよう・・・。


「ごゆっくりお寛ぎください。」


どどど、どうしましょう!広いお部屋じゃなくて個室に通されてしまいました!


あ、あまり高くないのを頼まないと・・・!!


「緊張しておられるのですか?」


「い、いえ、その、すこし・・・。」


「ははは、私も新米の頃は苦労したものです。

何せ、慣れてもいないこのような店でお客様を接待しろなどと言いつけられましてね。

本当に死に物狂いでしたよ。

その点、ヘンリエッタ様は接待をお受けになる側なのですから、何も恐れる事等ございません。

愚かな老人があわれにも自分の評価を上げようと画策しているが最終的につまらない話であれば食事代だけ奢らせて帰ればいい。

そのくらいの心構えでおられても一向に差し支えございませんよ?」


「その、さすがにそれは・・・。」


「ヘンリエッタ様は真面目なお方にございますね。」


「失礼致します。」


ビシっとキメた店員さんが入ってきました。


「お飲み物をお持ち致しました。」


そう言いながら手際よくグラスに注いでいきます。


「こちら、北方で採れたネル種の中でも糖度の高いものを厳選して作られたオレンジジュースでございます。また、こちらは前菜とお吸い物でございます。」


品物を出し終えると礼をして去っていきました。


あれ?注文は?


ちびちび。

う、このオレンジジュース、おいしいけど何がおいしいのかもうよくわからないです・・・。


「ふむ、どうやら私の話が気になって仕方が無いご様子。早急かもしれませんが、先にお話をしてしまいましょう。といっても、決してヘンリエッタ様にとって悪い話ではないのです。」


「えっと、その、好待遇っていうと、どういう感じなのでしょうか・・・?」


「ふむ、そうですね。

有事の際を除けば、普段は何をされていても構いません。

特別な事情以外で町を離れられてしまうと雇っている意味がなくなってしまいますのでそれはある程度遠慮していただきますが、月に1週間程度であれば遠出されても構いません。

つまり、戦力として出動可能な状態であれば何もなされなくても構いません。

食客というのが近いですね。」


「それは、町内でちょっとした諍いがあった時にも出動するんですよね?」


「いえいえ、その様な俗事は私共にお任せください。もし、ご参加なされたいのであれば歓迎いたしますが、参加なされなかったからといって評価が下がるようなことはございません。」


「え?じゃぁ、いったい私は何をするんですか?」


「スタンピードの対応や町を上げての催しへの参加に前線への助力、あとは、あるかどうかは不明ですが戦争への参加ですね。」


「戦争・・・。」


「とは言いましても、戦争などそうそう起きるものではありませんし、続けられるものでもございません。何せ、戦争をするには神のお許しを得ないとなりませんからね。」


「でも、100年くらい前に戦争をしたことがあるって聞きました。」


「大干ばつ生存戦争の事ですね?

ニルグラという国とエンダリースという国が大干ばつにあい、そのままでは国の半分が飢え死にする危機にあり、死にゆく者同士が生存を賭けて戦ったという悲しい戦争です。

さすがの創造神様もそのまま餓死しろとは言えなかったのでしょう。

このような事態にもなれば、どこで誰に仕えていようと同じでしょう?

勇敢なるヘンリエッタ様であれば、誰の要請がなくとも必ずや立たれると私は考えております。」


「それもそうですね、考えても仕方のないことでした。」


「さて、待遇のお話の途中でしたね。

ヘンリエッタ様には、お兄様が二人おられますね?

長男であられるグリーン様はいいとして、私共であれば次男のマイケル様、さらにはヘンリエッタ様の弟君であるアーロン様の畑を用意することが出来ます。」


「え、ホントですか?!」


マイクおにいちゃんたちにも畑がもらえるなら、きっと喜んでくれるよね?


「それだけではございません。福利厚生なども充実していると私共は自負しております。」


「ここか!?」


知らないおじさんが突然入ってきました。


「こ、これはキクリケ様。」


「なんだ、凄腕というから見に来てみればただの小娘ではないか。ふん、まぁいい。おいお前!俺の16番目の妾にしてやる。さっさと支度しろ!」


「え?え?」


も、もしかして、この人が?


むり!むりです!


「ヘンリエッタ様、これは栄誉な事ですよ?どうぞお受けください。」


「な、そんな。」


こんな横暴な人の妾なんて絶対に嫌です!


あ、霧が


「なに?!なぜこんな時間に?!」


「その、帰ってお祈りをしないといけないので!失礼します!」


「あ?待て!くそっ!!」


私は急いでその場から立ち去りました。


どうしよう、あの人達、絶対明日も来るよね・・・。




いや~いませんかね?こういう人。


ほとんど話が決まった頃に突然しゃしゃってきて台無しにするやつ。


しかも、そういう奴に限って役職が高かったりするんですよね・・・。

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