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ウォリウ使い

◆◆◆ウォリウ使い◆◆◆

***×××××のターン***

ウォリウってやつは、安いしまぁまぁ強いし、増やしやすいのでダンジョンマスターの中ではそこそこ人気だ。ちょっとした添え物程度に入れておくとなかなか役に立ったりする。


俺はこいつの増えやすさに目を付けた。なんせ、こいつは多産な上に、周期も短い。


そうだな、1度の出産っていうか産期で10匹くらい増えるみたいだな。7だったり20だったりすることもあるみたいだが、まぁ大体そんなもんだ。


つまり、1度の出産ごとに10倍になるのかといえばそうではなく、番が必要なので5倍っていうのが正しいな。


そう、5倍だ。3セットで25倍、3セットで125倍だぞ?これを生かさない手はない。


俺はそう思ったんだ。


そう、俺はとんでもない勘違いをしていた。増えた後の事を全く考えていなかったんだ。


ダンジョンは広いし、例え狭く感じるようになったとしても、広げるのは簡単だ。


ちょっとダンジョンポイント、いわゆるDPを消費すれば簡単にワンフロア追加なんてことができる。


だが問題は維持費だ。


魔物召喚にかかるDPは大きく、それに対する維持費は小さい。


具体的に言えば1/1000くらいだ。


まぁ、これは魔物の種類によって増減するから一概には言えないんだが、少なくともウォリウはそうだ。


1000匹維持し続ければ、1体召喚するのと同じくらいのDPを消費してしまう。


まぁ、現実的な数値だよな。

うん、それはいい。

俺は納得しているんだ。


問題はこれだ。


俺は内政とかをせこせこ続けるのが好きでな?


そりゃぁもう頑張ったよ。


4年もせこせこウォリウたちを増やし続けたんだ。


我ながら実に真面目だと思ったよ。


それでだ、最初は10匹で始めたウォリウの数が今では80万匹だ。


そうだよ、80万匹だよ。


俺バカだろもっと早く気づけよ!


維持費に800体分も取られるんだぞ?しかも毎日だ!


俺が減らせばいいだろうって思うだろ?


こいつらには忠誠値があるんだよ、それやると忠誠値が減るんだよコンチクショウ!


80万匹のウォリウに裏切られたら俺は終わりだ。


だから俺はこいつらに喜んで死んでもらわないといけない。

死にに行ってもらわないといけない。

ここで死なれるとなんだかんだで俺のせいになって忠誠値が下がるんだ…。


だからこう言ったんだ。


「この地図の、ここな。ここに人間が変な陣地を作っている。

とりあえず、ここを攻めよう。

攻める時間、数、方法、全部お前たちに任せる。好きなようにやってくれ。」


そしたらめっちゃ食いついてくれた。


さすがは魔物だ、人間を襲うことにためらいがないどころか嬉々として戦ってくれる。


勝ち過ぎて占領してしまっても所詮はウォリウ。


少し経てば人間が奪還に来るし、こちらが負けていて人間がこのダンジョンまで攻めくる事もあるが、圧倒的数の前に帰っていく。


おかげで、ウォリウたちの増加が緩やかになってくれたし、DPも増えるから維持費で飛ばされる心配もしなくて良くなった。


まぁ、問題はもう引っ込みがつかないという事くらいか。


俺が待ったをかけた所で聞いてくれるわけないし、聞いてくれたら聞いてくれたで忠誠値に持続的な大打撃が入るに決まっている。


もうちょっと人間には頑張ってもらってこいつらを減らしてもらいたいんだがまぁ、DPがもっと溜まったらそのDPでこいつらを一掃できる魔物でも召喚すれば済む話だ。


今日はまた人間共が俺のダンジョンまで攻め込んできた。


要するに今みたいに、たった数千匹を倒しただけで調子に乗るとこうやって攻めてくる事があるんだが、それは俺のダンジョンが支える総戦力の1%でしかない。


ぶっちゃけ誤差だ。


どうせすぐに回復する程度の損害だし、本当はもっと減らしてもらいたいがお前らがあっさり全滅すると困るから俺が適当に飯とかで釣って引き留めてやっているっていうのに困ったものだ。


まぁ?せいぜい追加で1万匹くらい間引いたところで帰るんだな。


何度も言うが深入りされて全滅なんていうのが一番困る。


一時的な収支はプラスにはなるが、間引かれなくなった犬どもが盛って俺のDPを圧迫し始めるだろうことは明白だ。


もちろん?繁殖禁止などという愚策を俺が打ち出した瞬間俺のダンマス生命は尽きる。


ああ、これが中間管理職の苦労と言うやつか。


くそう。俺はこのダンジョンではトップのはずなのに・・・。


「ウォリュウウウ!」


「え?飯が足りない?あ、はい、スミマセン。今すぐ用意します。」


ちくしょうめ!この犬畜生め!絶対いつかお前らを皆殺しに出来る魔物を召喚してやる!


あ、でも、よく考えたら次はこいつらを一網打尽にできる魔物のご機嫌取りが待っている・・・。


・・・。


・・・・・・。


人間と仲良くする方が簡単なんじゃないか?一応俺の姿は人間だし。


はぁ、めっちゃ戦争仕掛けてる俺を許してくれるわけないんだった。


つんだ。


・・・ふぅ。


好感度と忠誠値MAXのかわいい女の子モンスターが欲しいです・・・!!


「ウォル!」


「もうすぐ!もうすぐできますから!」





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