サクリファイス
◆◆◆サクリファイス◆◆◆
私はMP回復待ちの休憩をしていました。
みなさんは戦っているのに、今の私にできることはあまりありません。
「MP回復とかできないかなぁ。」
【サクリファイスを使用してMPを回復しますか?】
ロイヤー
スケルトン
レイス
グール
ゾンビ
「え?そういう事も出来るんですね。便利だなぁ。えっと、ゾンビでお願いします。」
なんだか元気になりました!(`・ω・´)
もしかして、サクリファイスっていうスキルすごい?
他にも何かできたりして?
それと、やっぱり勝手にスケルトンさん以外のアンデッドが増えていますね。
これも新しいスキルの効果、ですよね?
スケルトンさんたちが減ってほかのアンデッドになっているみたいです。
名前的に死霊再誕かな?
とりあえずこれは置いておいて、サクリファイスを使ってみましょう。
出さないでって言われているゾンビたちを意識しながら、
「サクリファイス!」
「うぉっなんだ?ゾンビ共が燃えてるぞ?!」
「新手か?」
ちらりと覗いてみると、ゾンビたちから青い炎みたいなのが出ています。
ヒュンッ
「うわ、危なかった。場所を変えた方がいいかな?」
次顔を出したときは狙われているかもしれません。
私はちょっと後退して隠れる場所を変えました。
「えっと、結局どうなったんだろう?なんだかまた知らないアンデッドがパーティーに入っているような感じがします。送還のリストを見ればわかるかな?」
【送還しますか?】
ロイヤー
スケルトン
レイス
グール
気のせいでした。
ゾンビさんたちはいけにえの犠牲になったのです。
「た、たぶん、MPは回復したのでスケルトンさんを増やしましょう!」
すぐにMP不足になりました。ゾンビさんたちにサクリファイスを使っただけでは意味がないみたいです。
ごめんね?
私はまた勝手に増えたゾンビさんたちをMP回復するためのいけにえに捧げました。
「そういえば、なんで召喚する時の消費MPよりも回復するMPの方が多いんだろう?もしかして、ダークブレッシングの効果?」
「おつかれ、小さいネクロマンサーちゃん。」
あ、女性の冒険者さんです。
「おつかれさまです。今の戦況はどうですか?」
「ネクロマンサーちゃんの肉壁のおかげで楽勝ね。やられてもすぐ復活するのはどうやってるのかな?」
「えっと、よくわからないけど勝手に復活するみたいです。」
「そっか、勝手に復活するんじゃぁゾンビが混ざっちゃうのは仕方ないか。はーあぁ。ちゃんと臭い取れるかなぁ・・・?」
冒険者さんはオレンジ色の長い髪についた臭いを気にしています。
ゾンビさんたちの臭いよりも、返り血の臭いがすごいような気がしますけど、そっちは慣れてるからいい・・・のかな?
「一応、ゾンビさんは減らすようにしますね。」
「うん、その方向でお願いね。よっし、休憩終わり!行ってくるね。」
「はい、頑張ってください。」
冒険者さんは私に手を振りながら前線へと戻っていきました。
私は、MP不足の心配がほぼなくなったので、どんどんスケルトンさんを増やしましょう。
「ざざざっと呼んでサクリファイス。ぱぱぱっと並べてサクリファイス♪」
そろそろ500体くらいかな?
これだけゾンビさんをサクリファイスに使ってもまだ増えるって事は、まだ敵がたくさんいるのでしょうか?
|д゜) チラ
ふむふむ。
|)彡サッ
もう敵はかなり減っていて、味方冒険者さんの攻撃に巻き込まれているだけでした。
「ファイヤースラッシュブレイド!」とか「サンダーバースト!」とか叫んでいるのは聞こえていましたが、剣圧や爆発でアンデッドさんたちも宙を舞っていました。
いいんです。もともと囮のために呼びましたから。
でも、炎や光の攻撃はアンデッドさんたちへの効果はばつぐんなので出来れば他のがいいです。
しばらくしたら、魔物の討伐が終わりました。
さすが、ずっと前線で戦っている冒険者さんたちです。強いですよね。
「よーっし!今日は早く終わったからダンジョンの方も間引いてやろうぜ!」
「まだ昼前だからなァ!諸悪の根源でピクニックとしゃれこもうジャン!」
「あの、どこのダンジョンから魔物が来ているかわかっているのですか?」
私はたまたま近くにいた冒険者さんに聞いてみました。
「そりゃそうさ。見てみろよあれ。あんな大群で来ているせいで足跡がまるわかりだ。」
たしかに、来た方向の地面が踏み慣らされていますね。
「でも、だったらなんでダンジョンを討伐しないんですか?」
「それも簡単な話さ。
今日みたいに早く終わった日はダンジョンにも足を運ぶんだけど、ダンジョンの中はもっと魔物が多いんだ。途中で疲れて帰ってくるんだよ。
んで、翌日にはまた魔物が襲ってくるからそれの繰り返し。
まーただのその場しのぎってやつ?」
「それでも、ダンジョンに攻め込むのですか?」
「まぁね。ダンジョンの中も間引かないと増える一方だろ?こっちに来た奴だけ相手にしているわけにもいかないってわけ。」
「そうなのですか。わかりました、ありがとうございます。」
「いいって事よ。」
「よーし、兵糧馬車の準備ができたぞー!移動しながら飯だ!」
食料を満載にした馬車が運ばれてきました。攻める時の準備もしてあったのですね。
私たちは疲れない程度の速度で移動を始めました。
防衛はどうするのかと聞いてみたら、後方支援の人たちもEランクくらいはあるから1日で全滅なんてことはそうそうないそうです。
そういえば私、Fランクなんですけど・・・?




