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スケルトンさん

◆◆◆スケルトンさん◆◆◆

「あ、ヘンリエッタちゃん。おかえり。」


「はい、ただいま。」


朝に会ったおねえさんが、受付にいました。


「依頼どうだった?」


「合格をもらえました!」


「そっか、がんばったね。それじゃ、完了札をちょうだい?」


「はい、お願いします。」


そういえば、手が汚れていて、よく見てなかったなぁ。完了札。


はじめてもらったのに。


「そんなに残念そうな顔をしないの。冒険者なんだから、こっちを大事にすること!」


おねえさんが報酬の大銅貨2枚と銅貨4枚を渡してくれました。


大銅貨は10枚で銀貨1枚、銅貨は5枚で大銅貨1枚分です。


「はい、わかりました。」


「よろしい。困った事は無かった?」


「えっと、魔法を使うにはどうしたらいいのでしょうか?」


スケルトンさんを出すのも魔法だよね?


「たしか、ヘンリエッタちゃんはネクロマンサーだよね。杖は持ってる?」


「その…持ってないです。」


「そっか、じゃあ、先輩たちが置いていった初心者用の装備が倉庫にあるから、そこから一つもらおっか。」


「はい!」


先輩方、ありがとうございます!


「いい返事だね。それじゃ、こっちおいで。」


「はい。」


ギルドの奥に行くみたいです。入ったことないからドキドキします!


「ヘンリエッタちゃんはまだ小さいし、防具はあげられないけど、そもそも、魔物と戦うような依頼は受けちゃだめだからね?ネクロマンサーは弱…ううん、なんでもない。」


「ネクロマンサーって、その…弱いんですか?」


「うーん…えっと…知らないと困るか…。


何て言うか、戦いに向いてないのよ。


使える攻撃魔法は、射程はどれも長い方なんだけど別に1番ってわけでもないし、


必中なのは凄いし威力はそこそこ…普通くらい…あるんだけど、

発動に時間がかかり過ぎるし消費MPも高すぎるのよね。


しかも、鈍足とか炎上とかの追加効果も無い単体攻撃魔法だから誤魔化しが効かないのよね。」


「で、でも、私はもともと戦うのなんてできないし、スケルトンさんたちを呼べば大丈夫ですよね?」


「とても弱い魔物なら、準備をすれば大丈夫よ。でも…。」


「?」


「すごく強い魔物の死体でも用意しないと、作ったアンデッドが弱いのよ。経験値も吸っちゃうし。」


「そんなに弱いんですか?」


私でも勝てるかな?


「うーん、そこの所は、実際に召喚してから確認した方が早いわね。ここが倉庫よ、気に入ったのを選んで持って来てね。といっても、大したものは無いんだけど。」


倉庫を見せてもらうと、剣や槍とかが所狭しと箱に詰め込まれてたくさん置かれていました。


剣ってどんな感じなんだろう?


「んー・・重いです…。」


こんなに重いのを軽々と振り回せる剣士さんはすごいです。


「ヘンリエッタちゃんには、まだまだ扱えないよ~。杖は、えーっと、左の奥の方だったかな?杖は高いからあんまり置いていってくれないんだよね。」


「た、高いんですか?」


壊しちゃったらどうしよう・・・。


「大丈夫、大丈夫。高いって言っても、この中では、だから。」


「そうですか。あ、ありました。」


木の棒に石が付いたようなのがたくさん置いてあります。


でも、どれも同じに見えてどれがいいのかわかりません。


「まぁ、どれがいいかなんてわからないよね?テキトウに選んで、合わなかったら合わなかったで、ちゃんとしたやつを買う時の参考になるから、間違ってもおっけーおっけー!」


「そう、ですか?」


使わせてもらうんだし、ちょっと合わないからって、文句言っちゃダメですよね?


「よくわからないから、これにします。」


「うんうん、それかー。って言っても、私も見分けつかないんだけどね。杖なんて使わないし。とりあえず、中庭で使ってみよっか。」


「はい、楽しみです。」


「うんうん、お姉さんもだよ。」




時間が遅いからか、中庭は誰も使っていませんでした。あ、私もそろそろ帰らないと。


「遅くなっちゃったね。ちゃちゃっと終わらせて、早く帰ろうか。とりあえず、適当に使ってみて?」


「はい、やってみます。」


スケルトンさんスケルトンさん、手伝ってください。


何かが抜けるような感覚の後、魔法陣が出来て、スケルトンさんが出てきました。


「やった!できました!」


「おー、一発で成功かー。相当ネクロマンサーと相性がいいんだね。」


「え、あ、はい。」


「っと、この話題は良くなかった。とりあえず重要なのは…こいつは魔物のアンデッドと違って、ヘンリエッタちゃんの魔法で作られているんだよね。だから、ヘンリエッタちゃんの腕次第で攻撃力や防御力が上がるんだけど…。ちょっと攻撃してもいい?」


「はい、おねがいします。」


「んじゃ、いくよー。」


おねえさんがどこからともなく取り出したハンマーでスケルトンさんを叩いたらスケルトンさんがバラバラになってしまいました。


「とまぁ、こんな風に、大して強くない私でも一発で壊せるし、

術者が治さないと勝手に治ったりしない。


これは魔物もだけど、脳が無いから頭が悪くて、ちょっとイマイチ。


ヘンリエッタちゃんはネクロマンサーのジョブと相性がいいみたいだから、

腕を上げればそれなりの強さのスケルトンになるかもしれないけど、所詮はスケルトンだからね。


中位の魔物が相手でたくさん数をそろえても負けちゃうかもしれない。」


「そうなんですか・・・。」


「で、も。いっぱい護衛に出しておけば、ちょっとした魔物には勝てるから、ヘンリエッタちゃんの冒険者活動がぐっと安全になるよ。ドブさらいも手伝ってもらえるだろうしね。」


「本当ですか!」


ドブさらいがはかどるそうです!がんばります!


「といっても、魔物と戦って経験値を稼ごうとしたら5匹までしか出せないし、倒しても経験値が少ないからなぁ…。」


「そうなんですか?」


なんで5匹なんだろう?


「パーティーを組むと経験値を分けることができるようになるんだけど、スケルトンを呼んじゃうと勝手にパーティーに入っちゃうんだよね。しかも外せない。

それで、7人以上になると経験値がもらえなくなっちゃうからヘンリエッタちゃんに加えて5匹までって事なの。」


「わかりました、5匹までですね!」


「うん、経験値が欲しいわけじゃないならもっと出しても大丈夫だからね。といっても、Lvを上げないと維持MPが払えなくなるから結局はすぐに頭打ちなんだろうけど。」


「頭打ちですか?」


「うーん、まぁその辺の話は明日にしよっか。あと重要なのは…あ!間違ってもゾンビは作らないでね!臭いから!本当に臭いから!」


「はい、わかりました。ゾンビはダメですね。」


「よしよし。それじゃぁ、今日はこれで解散。また、明日お仕事を用意して待ってるからね。」


「はい、また明日です。」


帰ったら、カミラおばあちゃんに初仕事のお話をするんだ~。


あ、スケルトンさんの話もしないと!


「あれ、さっきのスケルトンさんどうしよう。」


バラバラになったスケルトンさんはバラバラになったままです。


うごくのかな?


「ヘンリエッタちゃん、どうしたの?」


「これ、どうしましょう?」


バラバラになったスケルトンさんを指差しました。


「あー、明日の朝私がここもついでに掃除するから、大丈夫だよ、そのままで。」


「えっと、ありがとうございます。」


「いいって、いいって。壊したのは私だしね。」


【個人スキルダークガーデンが発現しました。】


「個人スキル・・・発現?」


「え、もう発現したの?本当にネクロマンサーと相性がいいみたいね。個人スキルは1個しか手に入らないけど、人それぞれで、強みになるから大事にしてね。ちょうど今なら誰もいないし、離れてるから試しに使ってみたら?」


「はい、そうしてみます。」


どんなのだろう?かわいいのだったらいいなぁ。


「いきます。ぐぐぐ…。」


いっぱい力を籠めないといけないみたいです。


まだかなぁ。


ん、できた!


なんかキラキラと光る闇の光が沸き上がって…えっと…


「ふむふむ、発動に10秒は長いけど、ネクロマンサーに足りない範囲効果みたいだね。効果は…。」


スケルトンさんがなおっています!


「色的にもアンデッドの復活…かな?消えてなかったからまだ生きていただけかも。でも、夜道の護衛にはピッタリね。」


「はい、今日はありがとうございました。」


「いいのいいの。それじゃぁ、今度こそ本当に、また明日ね。」


「はい、またあした。」


カミラおばあちゃんの宿に帰ったら、スケルトンさんを見て驚いたおばあちゃんがひっくり返ってたいへんでした。明日からも連れて来ていいって言われたけど、やめた方がいいかなぁ…?



この世界でのスケルトンの弱さはガチ。

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