気になるあの依頼
◆◆◆気になるあの依頼◆◆◆
翌日、ギルドに来ていた私はついに決心しました。
そう、ずっと気になっていたあの依頼を受けようと思うのです。
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ウォリウを討伐して欲しい
依頼人:アッティレイス村
場所:アッティレイス村周辺
規模:不明
報酬:1体につき銀貨1枚
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ドリドリスを討伐して欲しい
依頼人:アッティレイス村
場所:アッティレイス村周辺
規模:不明
報酬:1体につき銀貨1枚
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なぜ、誰も行こうとしないのでしょうか?
がんばって探してみたけれど、ゾイラホンの町周辺ではこの依頼は出ていません。
衛兵さんたちが守ってくれているというのもあるかもしれませんが、何かあるような気がします。
私は、この依頼書をサリアさんに見てもらう事にしました。
「あの、サリアさん。この依頼って、なんでずっと張り出されたままになっているんですか?」
「どの依頼?・・・あ、あぁ、これね。このアッティレイス村っていうのは、活発に侵攻をしてくるダンジョンに対する前線基地なのよ。長期化しちゃったから、陣地が基地になって、村にまで発展しているのよ。まさか、ヘンリエッタちゃんもここに行く気なの?」
「え?えっと、私は、その・・・。もしかして、戦況が悪かったりするんですか?」
「ええ、良くないわ。ダンジョンがどんな手を使っているのか知らないけどとにかく数が多いの。100や200倒した程度では全然減らないから、苦戦しているとしか言えないわね。勇者様でも来て下さればいいのだけど。」
「おお、そうそうか!君が行ってくれるか!」
奥の方から髭のおじさんが出てきました。
「ちょ、マスター!」
「なんだね、サリア君。
もしかして君、アッティレイス村への志願の邪魔をするつもりかね?
という事はアレかね?
君が代わりにアッティレイス村へ志願してくれるのかね?
今年はうちのギルドからはまだ1人しか志願していないからねぇ。
わかるだろう?
国家の、ひいては人類存亡のために、我がギルドが何の協力もしていないなどという事になったら、どう責任を取ってくれるのだね?」
「でも、だからってこんな子供を」
「ほう?すでに成人した立派な女性を子ども扱いとは偉くなったものだ。
だいたい、そういう事は代わりを用意してから言ってくれないかね。
おっと、君、悪かったね。アッティレイス村へ行ってくれるのだろう?
見た所魔法を使えるようだね。
それなら、勇敢な前衛が戦ってくれている後ろから攻撃していれば安全だろう。
むしろ、君みたいな人材を我々は求めているんだ。
ありがとう、君の助力のおかげで、人類の未来はまた一歩明るくなった。
さぁ、冒険者ギルドゾイラホン支部のギルドマスターであるこの私が直々にサインをしてあげようじゃないか。」
おじさんが私から依頼書を取り上げてサインをしてしまいました。
「おや、君の名前がまだだったようだね。つい嬉しくて先走ってしまったようだ。さ、ここに名前を書くだけでいいからね。」
おじさんがそう言って依頼書と筆を勧めてきます。
サリアさんが泣きそうな顔をしながら私を見つめています。
大丈夫です!私はもともと受けるつもりだったのですから。
それに、私にはロイヤーが付いていますからね。
私は依頼書に名前を記入しました。
「ふむ、これで契約成立だ。勇敢なる戦士に餞別を贈ろう。」
そう言ってポーションと切符を渡されました。
「それは回復ポーション[達人級]だ。部位欠損も瞬時に治すことができるはずだ。きっと役に立つだろう。切符の方は、それを馬屋に持っていけば、アッティレイス村へ送ってくれる。」
「はい、ありがとうございます。それでは、行ってきますね。」
「健闘を祈る!」
「ヘンリエッタちゃん・・・気、をつけてね。」
「はい、もちろんです。」
私は馬屋へと向かい、馬車に乗せてもらいました。
このギルマス、町の外に出たら速攻で刺されそう。




