除霊
◆◆◆除霊◆◆◆
翌日、私は依頼を受けるために冒険者ギルドに来ていました。
最近手に入れたスキルを使えば簡単にクリアできそうな依頼があるのです。
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除霊をお願い致します。
依頼人:ジョージ不動産屋
場所:第6居住区54-4 二階建て 48坪
規模:不明
報酬:除霊完了につき金貨2枚
備考:悪霊が住み着いています。悪霊の強さ等は不明です。
依頼をお受けいただける方は、お手数ですがジョージ不動産屋までお越しください。
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そう、除霊です!
ネクロマンサーになった時点で使えるようになっていたみたいなのですが、個人スキルの霊視の魔眼になったおかげで特に意識しなくても霊を見ることができるようになってしまいました。
といっても、魂を吸収しますか?なんて聞かれなければ霊だと気が付かないくらい普通にしている人?ばかりです。
何かにとり憑いていないとすぐに消えてしまうのかそんなにたくさんおられるわけでもないのですが、見た目は普通だし襲い掛かってきたら吸収一発なのでもう怖くないです!
でも、悪霊は許しません!絶対です!
今日の朝なんて起きたら私のベッドの横で
「デュフフ・・デュフフフフフフ・・・・」
とか不気味に笑っている小太りのおじさんがいたので迷わず吸収してしまったのは関係ないんです!
わ、私、とり憑かれていませんよね?ね?
「とにかく!悪霊退散なのです!」
私は依頼書をサリアさんに突き出しました。
「ヘンリエッタちゃんそれ受けるの?除霊とかやったことある?」
「今朝やったので大丈夫です!」
1体でも多く悪霊を減らさなければなりません!
「え、今朝?ま、まぁ、やったことあるのなら大丈夫かな?ジョージさんの所だし、場所はわかるよね?」
「はい!いってきます!」
「いってらっしゃい。霊に何かされたのかしら?」
カランカラーン。
「やっぱりこの音はいいですね。」
「これはこれは、いらっしゃいませヘンリエッタ様。どうぞ、あちらの席へおかけください。」
おじさまはいつ見ても紳士的です。
「ありがとうございます。あれ、家具が変わっていますね。」
「さすがはヘンリエッタ様にございます。涼しさを演出してみようと思い、青を基調としたものを揃えさせていただきました。」
「あの、流れる川の絵もすごいです。どうやったらあんな風に透き通る水を表現できるのでしょうか?」
「お褒めに預かり光栄にございます。
こちらはお恥ずかしながら私が描いたもので、こうやって見ていただくのを楽しみにしているのです。
この水の透き通る表現は、簡単に纏めると反射光と周囲の映り込み、そして透過物などを描き込むとこのような透明感を出すことができるのですよ。
機会があればぜひお試しください。」
「おじさまが描かれたのですか?すごいです!」
「ははは、そんなに褒められてしまっては、年甲斐もなく舞い上がってしまいます。ささ、紅茶が入りました。どうぞお召し上がりください。」
「あ、ありがとうございます。」
いつの間に淹れたんだろう?
「ふぅ、落ち着きますね・・・あ、そうだ。この依頼を受けようと思うのです。」
私は依頼書を取り出しました。
「ふむ?もしや、除霊も出来るようになられたのですか?さすがはヘンリエッタ様にございます。私も精進せねばなりませんね。こちらはクッキーでございます。」
「ありがとうございます。」
クッキーまで出してもらえました。
さすがに今焼いたわけではないでしょうし、不思議ですね。
あ、このクッキーおいしい・・。
「ごちそうさまでした。」
「お口にあったようで何よりです。一息つかれたらご案内致しましょう。」
「はい、お願いします。」
緊急で必要になった時でも大掛かりな準備もいらずに一人で来てもらえばよく、しかも1日でそこそこの大きさの家を安全に解体してもらう事ができ、雇いたい時だけ雇えて賃金が安く素直で真面目で若くて除霊までできる。不良物件を買い叩いて再生して売ればぼろ儲け。贔屓にされるのは当然である。
にもかかわらず雇おうとしないのは冒険者稼業の方が儲かっている事を知っているから。




