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働かせてください!

◆◆◆働かせてください!◆◆◆

「お願いします!」


「帰った帰った!商品に霊魂がうつっちまったらどうする!客じゃないんなら邪魔だ!」




「少しだけ、1週間でもいいんです。」


「ダメだよ。そりゃ、配達くらいネクロマンサーにだったらできるよ?

でもね、手紙には思いが籠りやすいんだ。

だからね、新米ネクロマンサーなんて雇えないんだよ。

せめて、霊を祓うくらいは出来てくれないと…。」




「精一杯、誠心誠意働きますので!」


「うーん、そういわれてもねぇ。漁師ってのは免許制なんだ。

そう簡単に家族以外のもんにやらせられないよ。」




「どうか!どうか!食費だけでいいんです!」


「困るよ。酒場にこんな若い子を立たせたって知られたら、お役人さんが飛んで来ちまう。」




「ねぇねぇ、嬢ちゃん。仕事探してるんだって?うちに来てみるか?」


いけないお店の人だ…。


だ、だめ。この人は…本当の本当にどうしようもなくなったら、その時は…。


「その、ご、ごめんなさい!」




「悪いねぇ、うちも余裕ないんだよ。最近仕事が無くてさぁ…。」




「この度は弊社にご応募頂き、誠にありがとうございました。

慎重に検討を重ねさせて頂きましたが、この度は誠に残念ながらご希望に沿えない結果となりました。

ヘンリエッタ様のご希望にお答えすることができず、大変恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。

また、詳細の選考理由につきましては開示を控えさせて頂いておりますので、ご了承の程重ねてお願い申し上げます。

末筆ではございますが、ヘンリエッタ様のより一層のご活躍をお祈り申し上げます。」




「お嬢さんが花が好きなのはわかるんだけどねぇ。花屋ってのは冠婚葬祭が主なお得意様でね。葬はいいかもしれないけど、他がなぁ…。」




「そんなほっそい腕ではなんもできんで。ほれ、持てんだろ?スケルトン?連れて来てから言ってみぃ。」




「もう、ここしかない…!」


あちこち断わられているうちに、4日も経ってしまいました。もう、あまり余裕がありません。


私は、ついに冒険者ギルドへと足を踏み入れました。


中に入るとおじさんたちがテーブルを占領している。ちょっとこわい。


あ、こっち見た・・。は、はやくカウンターに。


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ、お嬢ちゃん。あのね、依頼するときはあっちだよ?」


依頼を持ってきたと思われてしまいました。


力仕事をしようとしたら断わられたくらいなんだから、仕方ないよね…。


「あの、私、冒険者になりに来ました…。」


「えっと、お嬢ちゃんが・・・?」


「私、農家の生まれで、でも、ネクロマンサーにしかなれなくて…。」


「そう…。」


「簡単な仕事でいいんです。食費だけでも、なんとかしないといけなくて、その、私でも冒険者になれますか?」


「大丈夫、なれますよ。ほら、これに名前書いてね。」


「はい。」


私は、渡された紙に名前とジョブ、年齢を書きました。


私のおうちは苗字なんかないので、名前はヘンリエッタとだけです。


「はい、よくできました。ヘンリエッタちゃんね。はい、これ冒険者証。なくさないでね?それじゃぁ、お姉さんが、ぴったりのお仕事を紹介してあげる。」


「あ、ありがとうございます。」


やった!やっと、おしごとがみつかった!


「うーん、ドブさらいがやっぱり安全でいいかな。これでいい?」


「はい!大丈夫です!」


「そう、良かった。役場はわかる?」


「はい、わかります。」


「じゃぁ、役場に行って、お仕事を受けた事の報告と、ここに、印鑑をもらってね。たぶん、道具とか貸してくれるし、やり方とかも教えてくれるから頑張ってね。」


「はい!いってきます!」


「ふふ、気をつけてねー。」


私はお姉さんに手を振って冒険者ギルドを出ました。


でも、ドブさらいって何をするんだろう?





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