兄さんは眠たい。
2話目
「兄さん。あくびが多いよ。」
「ふわぁあ…だってユウシ起こすの早いんだもん。俺寝たの深夜2時だったし。」
兄さんは寝るのが時々遅い。俺は早起きするから大体11時には寝るんだけど、兄さんはゲームやら何やら色々とやっているようで就寝時間が遅れているみたいだ。
「ゲームするのも良いけど、ちゃんと寝ないと体壊すよ。ただでさえ兄さんは体壊しやすいんだし。」
「大丈夫だって。逆にユウシは夜更かししなさ過ぎて俺ビックリしてるんだからな。」
「健康的なんだよ。」
「不健全ともいう。」
また朝からこの人は…。
「兄さん。毎日毎日健全な生活をしててもよろしくないんだよ?分かったら3日に一回は12時までに寝てください。」
「ユウシくんってば何想像していってるんだか〜。」
「兄さん?」
「ごめんなさい。」
「約束してくれるよね。」
「…」
「ね?」
「…ハイ。」
「宜しい。ところで兄さん。早く準備してくれないと俺まで学校遅刻するんだけど。」
「うぇ?…!!!なんで早く言ってくれないんだよ!!」
「ハイハイ、俺に文句言ってる暇があるなら早くカバン取ってきてください。」
「チクショー!何も言い返せない!」
兄さんが悔しそうな顔をしながら自分の部屋へと駆けていく。
自分のせいで遅れそうになってる自覚があるから何も言い返せないらしい。理不尽に文句を言わない兄さんの素直なところが俺は大好きだ。
10分後。
兄さんが部屋から出てこない。
「心配だし見に行ってみるか…」
流石に10分も部屋から出てこないのはおかしいので兄さんの部屋まで行ってみることにする。
兄さんの部屋の前まで来たのだが、部屋から聞こえてくる音は何もない。
扉を開けてみると、
「やはりか…」
兄さんはカバンに教科書を詰める途中で、
寝ていた。
時刻は7時50分。
兄さん。朝の嘘は嘘じゃなかったのかもしれない。
第2話 兄さんは眠たい。