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「人間は霊なんかよりもずっと存在感が強いから、普通の人間は視えないし眩しすぎてこちらから干渉したいとも思わないの。でも貴方のように生きているのに存在感がゼロに近い存在はちょっかいを出したくなるってのが霊としては正直なところね」
「……だからお前もちょっかいを出しにきたってことか?」
「まあ半分くらいはそうなんだけど。もうすでに私じゃないのがちょっかい出してるから。おかげで貴方、この学校から出られなくなっているの」
「……お前のせいじゃないのか?」
「そんなに悪趣味じゃないわ。どっちかって言うと貴方を助ける側よ……どうやら落ち着いたみたいね」
鋏の少女に対する恐れはすっかり薄れていた。人を驚かせるような現れ方をした割には邪気がまるで感じられないし、今のところ何かされることはないとわかったからだ。
「どうしたら出られる?」
「一番手っ取り早いのは存在感をもとに戻すことだけど……今の貴方には無理よね。その状態が板につきすぎていて戻るのに時間かかりそう。何より、貴方自身戻る気がまるで無いでしょう? 心に闇ある系男子ってのは見たらわかるし」
「悪かったね」
「……冷やかしでも何でもないから。事が済んだら貴方にはたっぷりお説教しないとね」
少女はやれやれと首を振った。その様子は人間と遜色ない。本当に霊なのか疑わしくなってきた。
「どうして助けようとしてくれる? 何か目的があるのか?」
「目的は無いけど、放っておけなかったから。崖際をふらふら歩いているような人がいたら気になるでしょ。あわよくば助けたいじゃない」
「そうなのか」
「そう。ただ、こちら側にはそうじゃないのも沢山いる。崖際を歩いている人がいたら、背中を押してやろうって考えるようなのがね。簡単に言うと、このままだと貴方は死んじゃいそうなの」




