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直感的に「手に負えないモノ」の類いであることはすぐに分かった。だが、思考と身体が次の判断を下すにはまだ時間が足りていなかった。
「宍戸 鋏君。ちょっと私とお話をして欲しいのだけど……声は聞こえる?」
女は少し顔を遠ざけて、自らのことを指差す。
「…………っ!」
鋏は問いに答える代わりに教室を飛び出した。身体が先に直感に追い付いた。
何だ、今の?
無人の廊下を走りながら思考を巡らせる。
そう、無人だ。現在、校内は限りなく無人に近い。少なくとも、この四階に関してはこの時間帯人はいない。
ましてや奥の空き教室など、自分以外に使用する者は皆無だった。
ならばあの女は誰だ。いや、何か。
気配もなく、音も無く、気がついたときには目が合っていた。忽然と、そこに現れたのだ。
階段を落ちるように下る。今は何階だったか。よくわからない。
分かるのはアレは人間では無いということだ。




