温泉と掲示板 前編
95:名無しの武闘家 ID:TPFMVKe
例の動画見たけど、結局どっちも負けないんすね……
96:名無しの神官 ID:PkjL2gp
連戦でセゲム側の装備耐久が減っていたってことはないの?
97:名無しの弓術士 ID:QWJX2D9
平原で回復させてから帰りの森に入ったらしいよ
だからワースト10と装備耐久の条件は一緒
98:名無しの神官 ID:PkjL2gp
そうなんだ、抜け目ないね
99:名無しの弓術士 ID:y8u95he
武器が壊れたけど、月武器って大したことないの?
セゲムの金髪が持ってたの、月武器なんでしょ?
100:名無しの魔導士 ID:HSuxUHm
あんなの高いだけだよ
101:名無しの騎士 ID:uEYEYNr
酸っぱい葡萄やめろ、ダサいから
102:名無しの重戦士 ID:BK7BH25
一度でもムーンウェポンズに触ったことのあるやつからは
まず出ない書き込みだな……
103:名無しの重戦士 ID:dRwEtLB
俺はマードックの武装シリーズのほうが好み
ごつごつした見た目通り、耐久性も高いし……月武器よりはまだ安いし
104:名無しの武闘家 ID:PDfsyGb
なに言ってんの、まったく安くないわ
三ヶ月魔物を狩り続けて一個も買えてないもん
105:名無しの軽戦士 ID:wnM8Tgj
高級ホームを一軒買うか、武器を買うかのレベル
106:名無しの武闘家 ID:YFUbf9p
あれ、でも月武器って割と量産品もなかったっけ?
107:名無しの騎士 ID:d64Ca68
量産品でも質が高いから値段も高いんじゃないですかぁ
さすがに初期製作のは安くなってきているけど
108:名無しの神官 ID:gAsCHUE
本人が出した瞬間のは新作でも安いんだけどね、月武器
転売マン許せねぇ
109:名無しの神官 ID:PzcNurT
もう一回コンテストやらないかな
今ならセレーネが1位じゃなくなる気がするんだけど
110:名無しの軽戦士 ID:8aMJ8WE
大体、耐久値の計算って難しいのよ
例えば武器の中では特に脆い刀でも、
斬り方、受け流しが上手い人が使えば長持ちする
へたっぴが使うとすぐ折れる
装備性能だけじゃなく、使い手にも依存する数値だから
111:名無しの武闘家 ID:eZ5wCei
だから盾持ち職は耐久も込みで場持ちがいいんよね
盾なしだと防具の堅い部分で受けるか、武器で捌くかだから
112:名無しの軽戦士 ID:kW2hQud
全部避ければいいよ!
113:名無しの騎士 ID:Wyc7ftz
お前、こんな戦いで全回避とか可能だと思ってんの?
114:名無しの軽戦士 ID:MxjRyus
PKどもには全滅してほしかったけど、
TBをつまみ食い程度にしかプレイしないって公言している連中が
勝つのも見たくなかったジレンマ
115:名無しの弓術士 ID:QXZRuxb
公言なんかしていたっけ?
116:名無しの軽戦士 ID:MxjRyus
動画タイトルがランカーになれるかってことは、
ランカーになったら終わりなんじゃないの?
117:名無しの重戦士 ID:C5UDcfV
動画の再生数次第じゃない?
金になるかどうかでしょう、結局は
118:名無しの騎士 ID:BCZfjSE
他ゲーでファンになった自分は応援しているんだけど、
そうじゃない人はそんな感じなんだね
119:名無しの弓術士 ID:MCFBfxb
俺はポッと出のセゲムが
ワースト10より強いってことにならなくてよかったと思ってる
120:名無しの魔導士 ID:LTdRBtj
同じくらい強いことは証明されたぞ
121:名無しの魔導士 ID:mRVjr3K
プレイ時間の差を考えたら、すぐに抜かれるんじゃ?
122:名無しの魔導士 ID:KeTQEQL
プロ≧廃人
こうだな!
123:名無しの弓術士 ID:QWJX2D9
どうだろう
プロゲーマーって言っても、TBでプロってわけじゃないし
この戦闘、状況が特殊すぎないかな
124:名無しの軽戦士 ID:8aMJ8WE
TBはプレイ時間が絶対ってシステムじゃないから……
だからポッと出のセゲムでも強いんだけど
125:名無しの騎士 ID:Z367GbR
そもそもプロゲーマーの定義がね?
126:名無しの魔導士 ID:KeTQEQL
ゲームで食っていけたらプロでいいのでは?
127:名無しの武闘家 ID:eZ5wCei
それだと再生数の多い
実況動画・配信者とかもプロゲーマーになっちゃうぞ
128:名無しの重戦士 ID:3enr8Ec
大会獲得賞金が多いやつをプロって呼ぶ気がする
差別するわけじゃないけど、面白くても
腕がないのは違うような
129:名無しの騎士 ID:RhV42i2
認定団体があるわけでもないから難しい
ただ、こいつらが他ゲーではプロと呼ばれていて
強いのは間違いないと思う
130:名無しの騎士 ID:ami3zT5
批判するやつばっかり湧いているけど、
じゃあお前らこいつらに勝てるんですかって話よ
131:名無しの軽戦士 ID:8aMJ8WE
無理です!
132:名無しの弓術士 ID:giFGh5N
初日勢だけど無理です!
133:名無しの神官 ID:YuLsbMs
ハンデください!
134:名無しの重戦士 ID:BK7BH25
同じランクの武器ください!
135:名無しの神官 ID:fAdmZLX
強い味方ください!
136:名無しの魔導士 ID:VA6atJE
強くなくても一緒に楽しく遊んでくれる味方ください!
137:名無しの魔導士 ID:VA6atJE
可愛い嫁ください!
138:名無しの神官 ID:jhnJCR7
その願いは私の力を超えている
139:名無しの軽戦士 ID:pAjMXEt
同じ土俵にすら立てていないじゃないか、君ら
140:名無しの武闘家 ID:TLmjr8C
勝負にならねぇ……
141:名無しの騎士 ID:2DtBf7k
決闘ばっかりやっているせいか、
アイテム込みの戦いはようわからん
142:名無しの武闘家 ID:XkgafFE
驕るな>>130!
こいつらの倒し方は>>143が知っておるわ!
143:名無しの魔導士 ID:VA6atJE
いえ、知りませんけど……
144:名無しの神官 ID:YuLsbMs
素で返すのやめたげて!
145:名無しの武闘家 ID:TLmjr8C
実際、どう倒すのが正解なの?
ワースト10もセゲムも、一般プレイヤーからしたら敵だよ?
146:名無しの魔導士 ID:GQCPPr8
1、さっさとセゲムにイベントトップを取らせる
2、セゲム引退!
3、TBに平和が訪れる
147:名無しの騎士 ID:Wyc7ftz
そうなんだけどさぁ……
それだと、既プレイヤーが馬鹿にされている感じで嫌だなぁ
148:名無しの重戦士 ID:5drAXBH
セゲムの動画は面白いよ?
149:名無しの弓術士 ID:MCFBfxb
そういう問題じゃねえんだよなぁ
「……」
「どう思った?」
俺たちが画面から目を離したのを見計らい、秀平が問いかける。
ワースト10については他スレでも散々語り尽くされているだろうから、話題にするなら……。
「意外とメディウスたちのアンチが多いってのが一つ」
「うん。まだ参入直後だしね」
「ここから減らす公算があるってことなんだろうな。お手並み拝見、今後に期待」
「うんうん。他には?」
他に、か。
書き込みの大半はセントラルゲームスに関するものだ。
だが、それよりも俺には気になったことがある。
「……師匠?」
「セレーネさんの装備が下げられていた」
言葉は、心の内で形にする前に出た。
自分でも想定外の、やけに低い声で。
「セレーネさんが丹精込めて作った装備が、不当に評価を下げられていた」
「し、師匠!?」
「めっちゃ怒ってるじゃん……」
「怒ってない」
「いや、怒っているよね? 擁護もちゃんといたし、あんなの一部の意見だよ?」
「わかってる」
そう答えつつも、思考はまとまらない。
頭が熱くなっているのは、温泉に入っているから――というだけではない気がする。
「俺のことはどうでもいい。とにかくこれ、和紗さんには見せないように――いや……」
「見るだろうね。和紗さん、俺以上の掲示板ウォッチャーだし」
「ど、どうするんですか!? 装備については、ボクらもセレーネさんには大変お世話になっていますし……あんなに強くて、綺麗で、頑丈な装備を悪く言うなんて……!」
「まあまあ、落ち着きなよ司っち。わっちも」
シリウスはセレーネさんにとっても、俺にとっても上客である。
知り合いだから、フレンドだから優先するというのはもちろんあるが……。
しっかり評価してくれる上に、一般的なプレイヤーよりも金払いがいい。
その分、なにかと細かい注文をつけられることも多いのだが。
そんなシリウス所属の司が怒ってくれているのを見て、少し頭が冷えた。
「……よく考えたら、セレーネさんにとっては日常茶飯事なのか。こういう書き込みは」
「そうそう」
「そう、なんですか?」
「うん。見てもあんまり気にしないと思う。よく読み返すと使った上でどうこう、って意見ですらないし」
先程から、秀平が全く動じていないのも納得だ。
まだ釈然としていない司に向けて、秀平と一緒に軽く補足を入れていく。
「和紗さん、ああ見えて変な……って表現は失礼だけど。特定方向に関しては、すごくメンタルが強いからさ。なんなら、これよりキツイ意見でも平気そうだ」
「あー、めっちゃわかる。俺もそう思う」
「……?」
「司っちにもわかるように言うと……ああ、あれ。バトル中の動きなんて、かなり冷静じゃん? 射撃、ほとんど外さないし。むしろ大事な場面ほど精度上がるし。集中力の鬼だよ、鬼」
「確かにそうですね」
「普段はあんなにアワアワしているのに」
「た、確かにそうですね」
セレーネさんの落差のある姿を思い出したのか、司が申し訳なさそうに小さく笑う。
そういうところが彼女の魅力だと、俺なんかは思うのだけれど。
「俺もセレーネ殿――和紗さんは多少の批判は平気だと思うよ。やっぱ弱点は直接的な対人関係で……あ、でもさ」
「?」
「対人関係も、全部が駄目って訳じゃなそうな?」
「そうなんですか?」
秀平の笑みから邪悪なものを感じた俺は、タブレットを近くにあった空の桶に入れて逃げようとした。
が、伸びてきた腕がそれを許さない。
「うん。俺は基本的に蚊帳の外だから、詳しく聞いたわけじゃないけど。結構早い段階で、わっちに対してだけは積極的に――」
「今、その話は関係ないよな!? ていうか、離せ! 掴んでんじゃねえよ!」
「はぁー……師匠とは、よっぽど波長が合ったんですねぇ……」
「なんにせよさぁ。わっちの言う通り、全方位に虚弱メンタルではないよね。むしろ総合的には強いまである」
司の仲裁するような仕草を受けて、俺はすごすごと浴槽の中に戻った。
もう違う話題に移ったほうがいいな、これは。
「と、とにかくだ。要はムーンウェポンズを持っている俺たちが、強さに見合った活躍をすればいい。そうすれば、自然とこんな意見は見なくなるさ」
「……そうですよね!」
司の素直さにはいつも助けられ、癒されている。
秀平にも少しは見習ってほしい。
「俺のはわっち刀だけど――」
「わっち刀?」
「――全面的に賛成するぜ! ってことで、次のイベントの話なんだけど!」
「ああ……って、もうのぼせちまうよ。続きは温泉を出てからにしないか?」
「まあまあ、そう言わずに。魔王ちゃんの宣戦布告にも関係しているからさ!」
「え?」
秀平の発言は妙である。
司と俺は顔を見合わせた。
運営が事前に予定を組んであるはずのイベントに、あの宣戦布告が影響を?
どういうことだ? おかしくないか?
「宣戦布告って……この前、ボクたちもお手伝いしたアレですよね?」
「そう! 興味あるでしょ!?」
「ま、待て待て。とりあえず、水を飲んでこよう。身体に悪い」