天空の塔・掲示板 その2
21:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
今からイベントに参加するんだけど、
これは持っていけってもの何かある?
野良参戦っす
22:名無しの騎士 ID:AFQLbVK
回復アイテム
23:名無しの弓術士 ID:aR3XfSA
当たり前だけど回復アイテム
24:名無しの武闘家 ID:BgtrQwa
聖水は絶対に持っとけ
上限いっぱいな
25:名無しの神官 ID:Zy428Zw
お弁当と飲み物、300円までのお菓子
26:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
う、うん? 最後の……いや、いいや
でも、やっぱそうなるか
ダメージ系の投擲アイテムとかはいらない?
逃走用の閃光玉は?
27:名無しの重戦士 ID:y5NGGfc
余裕があれば持っていっていいと思うけど、
遠距離は素直に弓術士とか魔導士に任せたほうがいいよ
PT戦なんだから
28:名無しの魔導士 ID:xxgbVMf
序盤(50階まで)は店売りアイテムでOK
それ以降は生産系のもあると喜ばれる
29:名無しの弓術士 ID:Vs6C9Wb
俺は100超えてからでいいと思うけどなぁ
まだまだ余裕あるし、
高いアイテム使ってあげたいプレイヤーも少ないし
30:名無しの弓術士 ID:aR3XfSA
気持ちは分からないでもないけど、
渋っていると結局上がれないよ?
31:名無しの重戦士 ID:prH2try
神官がショボいと、
びっくりするくらい回復アイテムが減る……
32:名無しの神官 ID:kyaniyZ
神官も魔法のWTがあるから、
そこは気にしようね
無限に回復出せるわけじゃないのよ
あと、君ダメージ受け過ぎてない? 重戦士君?
33:名無しの重戦士 ID:prH2try
あ、はい
(何かやたらピリピリしてんな……)
38:名無しの神官 ID:PLRUiVL
>>32
煽るな煽るな、最後の一文はいらないでしょ
魔法のWTに関しては同意だけど
40:名無しの武闘家 ID:jYaAs8i
ヒーラーは忍耐力が要るもんなぁ
他ゲーでやっていたけど需要が高くてPT結成に困らない反面、
気を遣うところが多くて結構しんどかった
だからTBの神官さんにはいつも感謝してます
41:名無しの重戦士 ID:ESbMkUP
どの職のプレイヤーにも当たりはずれがいるから
心配なら一通り持っていって補ってやるといい
42:名無しの騎士 ID:dtMtzgA
軽戦士なら、
片手武器にすればもう片方の手が空くしね
アイテム係には最適よ
43:名無しの重戦士 ID:8Kbz4Nm
重武装とか弓だと、両手が塞がっている場合も多いよね
パーティに軽戦士いらねーとか言う人いるけど、
やっぱ名前通りに小回り利くんだよなぁ
44:名無しの魔導士 ID:kF59jwS
上の階に行けばセオリー分かってない変なのもきっと減るし、
下にいるうちは我慢だと思う
だから序盤のうちはあっていいかもね、投擲攻撃系
45:名無しの騎士 ID:Dy5Rwnu
あ、やっぱり上に行けばプレイヤーの質も変わるんだ
まったり勢からしても、
ガチ勢は邪魔だったりするのかな?
46:名無しの武闘家 ID:uKgL2fK
いやいや、まったり勢でも意味不明なのは勘弁よ
階層の上下で多少比率は変わるだろうけど、
結局は運じゃない?
47:名無しの魔導士 ID:XtcRTBw
そりゃ、全て運って言ってしまえばそれまでじゃん
PS高くて性格やべーやつもいるしね……
48:名無しの弓術士 ID:aR3XfSA
色々出たけど、
回復系が最重要ってのは変わらないと思う
49:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
ありがとう
とりあえず回復アイテムを中心に持っていくよ
後は行ってみて肌で感じるほうがいいのかな?
50:名無しの魔導士 ID:XtcRTBw
うん
何度か組んで、当たったパーティの様子を見ながらでいいと思う
51:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
それと、弁当ネタで思い出したんだけど、
食料もあったほうがいい? 長丁場なんだよね?
52:名無しの騎士 ID:AFQLbVK
場合による
53:名無しの重戦士 ID:prH2try
50進んで終わりなら、
事前に食べておけば最後まで満腹度もつよ
54:名無しの重戦士 ID:mWsryjr
短めで離脱するならいらない
55:名無しの重戦士 ID:Wfi5Sp6
持っていく場合は、調理済みがいいよ
休憩所でも作れるけど、野良だと気まずいから
56:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
あー、そういう都合もあるのか……
携帯食料系が無難?
それとイベダンジョンって料理バフも適用される?
57:名無しの弓術士 ID:X4Xd3Rk
されるで
58:名無しの魔導士 ID:2YsQZH3
物理職は干し肉、魔法職は干し魚を齧りながら戦うのだ
59:名無しの軽戦士 ID:KNayFkH
分かった
じゃあ回復アイテム沢山に携帯食料、投擲少しで行ってくる!
みんなありがとう!
60:名無しの騎士 ID:AFQLbVK
行ってら
61:名無しの神官 ID:Zy428Zw
いてらー
いいパーティに当たるといいね
どうやらこれは、イベントスレのようだ。
質問者のレスをきっかけに、イベントダンジョンの必需品についての話になっている。
間のレスが抜けているのは……理世の気遣いだろう。
流れが分からなくならないよう、最小限の範囲で荒れた返信を抜いたためだと思われる。
「これはいい復習になる……けど?」
どうも、理世は掲示板そのものの内容を見せたいというよりは……掲示板を通じて、何か訴えかけているような気がする。
先程の分のファイルも、結局は「元気出せよ」という励ましの延長線上にあるものだったし。
俺の言葉に、理世は即座に頷きつつこう答えた。
「今回はアイテムが重要なイベント、ということのようです。投擲アイテムは、兄さんご自身がきちんと準備なさっていますから……」
「うん、まあ。50階超えてからは、使う回数が減っているけど」
「ですので、私としては回復アイテムの面で兄さんをサポートできないものかと」
「おお……」
それはとても助かる。
今しがた見た掲示板にあった通り、今回のイベントでは回復アイテムが非常に重要だ。
理世は回復アイテムの開発を担当しているので、ゲーム内で何かしてくれるつもりらしい。
「余計なお世話でしょうか?」
「いいや、全くそんなことはないぞ。是非ともお願いしたいな。パーティに神官が俺だけってパターンも、割と多くてな。回復アイテムは本当に大事だ」
今朝のように途中から一人にされるパターンもあれば、最初からそうされることも。
頼りにされることが嬉しい反面、ランカーというだけで無茶な回復を要求してくる人も多い。
それでも、なるべく期待には沿いたい……と、悩んでいたところだ。
「それでは、早速今夜から取りかかります」
「ああ、ありがとう。嬉しいよ」
「離れ離れでも……野良パーティで回復アイテムを見るたび、使うたびに私のことを思い出してくださいね?」
理世が悪戯っぽい視線を向けながら、そんなことを言ってくる。
冗談を言っているような口調なので、適当に流してもいいのだが。
「そんなことをしなくても、俺はいつも理世のことを想っているぞ?」
「――」
昨日からというもの、やけに理世にからかわれ気味だったので……。
仕返しのつもりで、俺は直接的な言葉をぶつけてみる。
すると、理世は物の見事に固まった。
してやったり、と思っていたのだが――
「兄さん……」
「――ちょっ!? 待て待て!」
熱っぽい目になった理世が、立ち上がって急激に距離を詰めてくる。
しかし、これを避けるのも何か違う気がした俺は、逆に固まることになった。
ぎっ、と理世が踏み出した足が床を微かに、小さく軋ませる。
ど、どうすれば……!?
「お昼ぅぅぅぅぅぅ!!」
乱暴に開けられたドアの音で、俺の金縛りは解けた。
部屋を見回した未祐が俺たちに目を留めたところで、理世が舌打ちして一歩下がる。
「亘、昼! 昼飯!」
「あ、ああ」
壁掛け時計に目をやると、既に正午を回っていた。
動揺を残しつつも、長年の経験によって体はすぐに食事の準備に動き出す。
「理世、ポトフの味はどうだったんだ?」
「……。いい塩加減でしたよ」
「そ、そうか。じゃあ、完成でいいな……」
「む……?」
未祐は俺たちの様子を不審に思ったようだったが、食欲には勝てなかったらしい。
ポトフの入った鍋を示すと、駆け寄って目を輝かせた。
それにしても、さっきの理世への対応は色々とまずかったな……未祐が来なかったら、どうなっていたことか。
「おお! 厚切りベーコン!」
「ポトフに厚切りはおかしいと思いましたが……こういうことでしたか」
「ああ、まあな……」
ただのあっさり系のメニューだと、未祐が文句を言うのは目に見えている。
それを見越して、あらかじめ肉はボリュームがあるものを選んだ。
そいつをごろっと皿に入れてやれば、きっと満足するはず。
「ていうか、未祐。お前がさっき寄越した飴、まだ口の中に残っているんだが」
「噛み砕け! もしくは飲み込め! そしてお昼にしよう!」
「……」
これだけ溶けない飴だと、そのまま飲み込んだら消化不良になりそうで嫌だな……。
バリボリと噛み砕きながら、俺は鍋の下で点いていた弱めの加熱機能を消した。
「じゃ、寒いし和室で食べるか……未祐、そっちにいたんだよな?」
「うむ。こたつはしっかりと温まっているぞ!」
「理世、この部屋の暖房切ってくれ。未祐はパン持ってけ、井山ベーカリーのやつ。俺はポトフを運ぶから」
「はい」
「この袋だな!? おおっ、色々入ってる!」
何はなくとも、まずは食事だ。
俺はおたまを手に取り、鍋の中身を軽くかき混ぜた。




