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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

彼が「本体」と呼ばれる理由

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勉強会と掲示板

 問い7 中世西ヨーロッパにおいて、共通の学術語として使われた言語を答えよ
 答え 英語

 …………。
 そのお馬鹿な解答に、横で解くのを見ていた俺は思わず頭を抱えて項垂うなだれた。
 秀平はそれを気にした様子もなく、そのまま次の問題に目を移している。

「おいこら、ふざけてんのか? わざとか? わざとだよな? わざとだって言ってくれ、頼むから!」
「え、違うの? だってヨーロッパって、旅行に行くときは英語さえできれば何とかなるんじゃないの?」
「学術語、とか中世、とかの単語をすっぱり無視すんな! 頭が痛くなってきた……」

 正しい答えはラテン語である。
 もう直ぐ定期テストな訳だが、今日は恒例の赤点回避の為の勉強会である。
 といっても、点数が危険なのは俺ではなく主に秀平と未祐の二人なわけだが。
 なのでこの時期は基本、生徒の少ない一階にある図書室で放課後に短時間だけ集中的に勉強している。
 世界史は折しも、TBの世界観に近い中世の辺りが範囲として含まれている。
 しかし、自分がやっているゲームの世界観に興味を持ったりしないもんかね……?
 秀平が歴史で問題ないのは、武人系の名前の暗記くらいのものだ。

「亘、亘! こっちも頼む!」
「あー、どれ……ってお前、物理はどうした?」
「もう終わった。そっちは自力で何とかなる! それよりも数学だ、数Ⅱ! 三角関数が最高に分からん!」

 このように未祐は理数系に弱いのだが、真面目に授業を受けているだけ秀平よりも遥かにマシだ。
 分からない部分も丁寧に基礎から教えてやれば、それなりにだが覚えてくれる。
 躓いている箇所が何処なのかを探った後は、なるべく分かり易く解説をすればそれで大丈夫だ。

「……という感じで、後は反復あるのみだ。また分からなくなったら訊いてくれ」
「分かった、やってみる」

 未祐が数学の問題集を解き始めたので、俺は再び秀平が解いている回答をチェックし始めた。

 秀平の場合は苦手教科どうこうでなく全体的に学力が低く、中学の範囲を含めて基礎がガタガタだ。
 大抵は俺が適当に山を張った解答集を試験直前に頭に詰め込んで、定期テストの度に強引に突破している。
 自分に興味の無いことは暫くすると頭から消えてしまうタイプらしく、俺は既に半分くらいは教えることを諦めている。
 そういう訳で、秀平に関しては確実に点が取れそうな暗記系に絞って教えているわけだ。

 にしても、相変わらず「カール大帝」だの「リチャード一世」だのはすらすらと正解しているのがなんかむかつく。
 そんな中世の世界史も終盤に差し掛かり……ラストの穴埋め問題へ。
 それに対する秀平の解答はこうだった。

 騎士を軍事の主力から追いやったのは「忍者」であり、16世紀以降は「手裏剣」の台頭によって次第に社会的階級を表す名前へと変化していった。

 ………………乾いた笑いすら出やしねえ。
 問題を解き終わった秀平は、やり遂げたぜ! という顔でこちらに問題集を差し出してくる。ぶん殴るぞ。
 ちなみに答えは一個目が傭兵、二個目が火器である。

「……お前もう帰れよ。解答からも、帰ってゲームがしたいって欲望が駄々漏れてるじゃねえか」
「待って、見捨てないで! 真面目にやるから! わっちが居ないと俺、赤点一直線だから!」
「じゃあほら、不正解箇所を赤ペンで書き直したから。これ見て十秒で覚え直せ」
「こんなに真っ赤なのに!?」

 真っ赤なのは自業自得だと思うのだが。
 十秒というのは冗談として、この位の狭い範囲は直ぐに覚えてもらわなければ困る。



 人に教えるということは自分の学びにも繋がるとは良く言ったもので、この勉強会は俺自身の復習にも役立っている。
 これを始めるようになってから、余り個人的な勉強の時間を確保しなくても成績をキープできるようになった。
 面倒なのは不真面目な秀平の態度くらいのものである。

 そして二人が問題集を解いている間、俺は少し暇になってしまう。
 途中で窓の外から斎藤さんがこちらを見ていたので雑談したりもしたが、彼女ももう部活へ戻ってしまった。
 自分の勉強をしていても良いのだが、途中で質問される場合も多いので余り集中できない。
 悩んだ末に俺はスマホを取り出すと、茶を飲みながらTBの掲示板へとアクセスすることにした。
 最近は暇になると、つい掲示板を見る癖がついてしまった。



【上位陣】決闘イベントランキングスレ7【レート2000突破!】

TBで開催中のPvPトーナメント・予選ランキングに関するスレです。
スレの性質上ランキングに入っている個人名を出すのは禁止していませんが、名前を出す際は特に誹謗・中傷が無いように注意して書き込みをしましょう。
荒らしはスルー、マナー厳守。
次スレは>>900が宣言して立てること。

333:名無しの弓術士 ID:ZeAmcsg
あああああ!
もう間に合わないいいいい! レート1800を超えられないよおおお!

334:名無しの軽戦士 ID:iRmQfVc
おーおー、ここに来て発狂モードに入ってるのが増えたなあw

335:名無しの神官 ID:WmSsw8p
今日までだもんなぁ、予選
俺? もう諦めたよ(レート1600台)

336:名無しの魔導士 ID:Dz3Mag4
いよいよ明日から本戦か
賭けられるのはどの段階からなんだっけ?

337:名無しの武闘家 ID:kJ4zScZ
ベスト8の時点じゃなかった?
日曜0時からトーナメント開始まで受付だったはず

338:名無しの騎士 ID:5zKA3sL
トップの傭兵アルベルト・フィリアのコンビ強いよなあ……
レート2100て化け物かよw
優勝もこいつらで決まりかな?



「終わったあー! あれ、わっち一人でスマホ見てる! ずるい!」
「ずるくないっての。誰の為の勉強会だよ。しかし秀平、アルベルトの兄貴って予選ランキングトップなんだな。知らなかったよ」
「そうそう! 相手の女性っぽい名前が誰かは分かんないけど、序盤からずっとトップに居るよ。すげえぜ兄貴! さすが!」

 その様子だと、フレンド登録している秀平も彼と連絡を取り合ってるわけではないのか。
 強敵なら何か事前に情報欲しかったんだけどな。
 せめて、序盤で当たらない事を祈っておこうか。あの筋肉は怖い。

 そして掲示板に視線を戻す前に、秀平が渡してきた問題集をチェックすると……うん、どうにかギリギリ合格ライン。
 これなら試験も何とかなるだろう。
 後は未祐が今やっている問題集を終わらせたら、今日の勉強会は終了だ。

「一段落したし、俺はちょっと飲み物買ってくるよ」
「ああ、行ってこい」

 秀平が席を立ったので、俺はスマホへと視線を戻した。
 未祐はそんな状況でも集中して問題を解き続けている。



361:名無しの魔導士 ID:xzVrZ5F
しかしこう見ると意外と職がばらけたよな

362:名無しの騎士 ID:T6AfWwz
ゲームとしてバランス良いって証拠でしょ
ぶっ壊れスキル持ち一強状態でPvP大会とか、正直勘弁だしな

363:名無しの重戦士 ID:Hxj9MtK
俺が今までやってたネトゲは大体職バランス崩壊してたんですけどぉ
(´・ω・`)

364:名無しの重戦士 ID:uE2c7Ux
分からんぞ
まだここの運営だってボロを出していないだけだし
今後も大丈夫とは限らないから

365:名無しの騎士 ID:T6AfWwz
今のTBだとアローレインくらいかねぇ
嫌われてるスキルってーと

366:名無しの神官 ID:uE2c7Ux
ああいうプレイヤースキルの要らないぶっぱ系の技って
どのゲームでも嫌われやすいよね

367:名無しの軽戦士 ID:rgdVSKT
でも、そういう意味では弓術士の連射型が強いとも言えるわけで

368:名無しの騎士 ID:w5LrLBD
ちょっとここで現時点でのランキングの職別人数を集計
重・107人 軽・60人 騎・85人 武・31人
弓・136人 魔・53人 神・40人(256組、計512名)

369:名無しの魔導士 ID:GPRNhx2
あーこう見ると重戦士と弓術士が優勢なんか
確かにまんまその二つの組み合わせを一番多く見るかも
武闘家とか神官を含めた回復戦法はイマイチなのかな?

370:名無しの騎士 ID:w5LrLBD
武闘家はランキング内でも高レートが多いから単純に職別の総人口の差だと思う
ちゃんと使えてる奴は決闘だとかなり強いよ
今回の大会で株を上げれば、今後新規の流入で爆発的に増える可能性もある
ただ神官はそうじゃなくて、職別の総人口比から見ても明らかに上に残ってるのが少ない

371:名無しの神官 ID:Ss3Rm6S
やってみると分かるけど、自衛手段が足りないんだ……
敵に近付かれると距離を取るのが難しくってさ、前衛より先に死ぬことが多い

372:名無しの弓術士 ID:AdPHgp7
攻撃魔法を覚えるバランス型でも駄目なの?

373:名無しの神官 ID:Ss3Rm6S
攻撃にMP回すと強みの回復を活かせないんだよ
これじゃただの劣化魔導士ですがな
結果、ダメージレースで負けるからその運用だと後衛として無価値っすわ

374:名無しの弓術士 ID:TprY5ft
神官の中だと前衛神官が一番決闘向きだと思う
こいつで時間を稼いで、相方に火力を出してもらえばまあまあいける

375:名無しの魔導士 ID:P6gUeM5
ヒーリング程度なら一瞬の隙で発動可能だからね
でも、確かに前衛神官は堅くてウザいけど、怖いと思ったことは一度もないなあ

376:名無しの軽戦士 ID:7aZ3HVV
結論
重戦士と弓術士による力押し安定

377:名無しの武闘家 ID:LZLWejw
大物理時代っすね
なんだかんだ言ってゴリ押し安定とは悲しい限りよ

378:名無しの神官 ID:iAZNXzB
だからこそ期待しちゃうわけで
その辺のガチガチの物理連中を魔導士とか軽戦士で華麗に翻弄できたら
そりゃカッコイイわな

379:名無しの重戦士 ID:fJajgBs
魔導士というとトップは……セーロスか
前衛神官のジャルジーとコンビの こいつら確か覆面プレイヤーだっけ?

380:名無しの騎士 ID:us5TBga
そうだけどそいつらオレンジプレイヤーだぞ
カップル見つけると襲撃してくる、あの有名なPKギルドのギルマスと副ギルマス

381:名無しの重戦士 ID:fJajgBs
あー、いいね
個人的に本戦に出そうな奴で何人か爆殺して欲しい奴が居るわwww

382:名無しの武闘家 ID:LZLWejw
ハーレム野郎のリヒトとか?
こいつは厳密にはカップルどころの騒ぎじゃないけど

383:名無しの重戦士 ID:fJajgBs
そうそうw
爽やか系イケメンでしかも強いとかもうね、もうね……(#^ω^)

384:名無しの魔導士 ID:LPtxdHm
ランキングにも当然のように上位に居るしふざけんな!
ちょっと前に街で見掛けたら更に周りに女の子が増えてたし!
んがあああああっ!

385:名無しの弓術士 ID:WsxjPcs
>>383>>384
こういうのは誹謗中傷に入んないの?

386:名無しの軽戦士 ID:ZPL68ZJ
入らん入らんw
安心しろ、ただの醜い嫉妬レスだからw
でもそろそろ怒られそうだから、誰か話題を変えてくれー



 薄々感じてはいたが、やっぱり決闘で神官は不利な傾向なのか……。
 で、重戦士と弓術士が強い印象を持っている人が多いと。
 やっぱり『アローレイン』はキツイよなあ。対策は充分に取ったつもりだけど。
 それと、話題に上がっていたカップルPKギルドとやらにはとても心当たりがあるのだけど……まさかね。



392:名無しの重戦士 ID:eypwfse
>>386じゃあ俺が
騎士つながりで言うなら
個人的には後半になって凄い勢いで駆け昇って行った勇者ちゃんに期待したい(美人なので)

393:名無しの軽戦士 ID:BGhGADR
>>392
心の声が漏れてるぞwww
まぁリヒトよりも順位は下だけど、あのレートなら本戦行きは確実だよなー
一昨日あたりから専スレが祭り状態で大層盛り上がってたな

394:名無しの魔導士 ID:mj4iBTg
可愛いリィズちゃんが出てなくてボクは残念です
(´・ω・`)

395:名無しの武闘家 ID:pUxDxFX
あ? 勇者ちゃんの方が可愛いだろうが!

396:名無しの弓術士 ID:AKTEeB8
>>394>>395
対立煽りはやめなさいw
ところでこれ、相方の神官はサクリファイス撃ってた人かな?

397:名無しの重戦士 ID:tTspm2R
多分そうじゃないの?
野郎には興味ないのでよく知らないです

398:名無しの弓術士 ID:AKTEeB8
男に冷たいwww



 本当に冷たい……ま、まあいいさ。
 無警戒なら無警戒で、やりようはいくらでもあるし。
 俺がスマホをポケットに突っ込むと、ちょうど未祐が手を止めて問題集を持ち上げるところだった。

「終わったぞ、亘! 褒めろ!」

 それを受け取って答え合わせをすると、多少のケアレスミスはあったが大体は正解している。
 これなら内容は理解できていると見て問題ないだろうな。

「よしよし、悪くないじゃないか。これならテストも大丈夫だろう。……そしたら片付けて、何か甘い物でも買って帰ろうかね」
「クレープ! 亘、クレープが食べたい! チョコたっぷりの!」

 高速で筆記用具を片しながら、未祐が俺に向かって注文をつけてくる。
 クレープって言うと、帰り道にはいくつか店があったが……。

「クレープか。じゃあ、どっかの店で――」
「亘の手作りじゃなきゃ嫌だ! あの生地があったかい奴が良いのだろうが! 作り置きの冷めた生地はノーだ!」
「……はいはい。ならスーパーに寄るとして、材料費は割り勘な」

 俺はまだ戻ってこない秀平の荷物を手早く纏めると、途中の廊下で合流してから三人で帰路についた。
+注意+
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