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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

アニマルイベント、到来

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生産プレイヤーへの支援、開始

 俺たち四人がパストラルさんたち四人を連れて『王都ワーハ』に辿り着いたのは、それから一時間と少しのことだった。
 何度も同じ道を通っているプレイヤーによる護衛、レンタル馬の確保がスムーズに行ったなどの理由もあるが、一番は……。

「バウアーさんが格好いい上に強かった。フェンシング経験者らしくって、踏み込みと突きが鋭くてな? 奥さんのエルンテさんも回復の順位付けが上手だし、お孫さんのパストラルさんはゲーム慣れしている。正直年寄り二人で大丈夫かと思っていたが、全くの取り越し苦労だったな」
「……何故だ」

 ユーミルが俺の話を聞きながら下を向いて震え出す。
 首尾よく王都に着いたところで、今後の相談をするべく俺たちはパストラルさんたちをギルドホームへ案内していた。
 今はその少し前にリィズと共にログインしてきたユーミルに状況を説明中だ。
 場所は談話室、ちなみにリィズは「生産希望の方たちですか?」という問いに俺が頷いたのを見て大体察したようだった。
 そちらはヒナ鳥たちと一緒にパストラルさんたちとおしゃべりに興じている。

「――何故、そんな面白そうなことをしている時に私を連れていかない!? この薄情者が!」
「だってお前、旅行の準備をするって俺たちの家と自分の家を往復――」
「少しくらい待っていてくれても罰は当たるまい! そんなことを言ってお前は自分の旅行の準備は終わっているし、時間が空いたからと言ってしばらく無人になる私たちの家の掃除までしてくれたし、何なのだ!? 何も文句を言えないではないか! ありがとう!」

 途中からただのお礼になりつつある台詞をぶつけながら、俺の両頬を手の平で押し潰してくる。
 これじゃ上手く喋れねえよ……ところで、ちゃんと旅行の準備は終わったのだろうか?
 何故か俺たちの家から出発する気満々のようで、そちらに荷物を集めているが。
 俺の顔をひとしきり変形させて満足したのか、ユーミルが対面の椅子に座り直す。

「で、どうしてホームまで連れてきたのだ? 王都まで連れてきて、連絡先を教えたら後はご自由に――という感じではなかったのか?」
「そのつもりだったんだけど、道中で意気投合しちゃってさ……」

 特に夫妻の海外での話が聞いているだけでとても面白い。
 単にどこの街並みや地形、遺跡などが綺麗だったという話に留まらず……。
 治安の悪い地域での身の振り方だったり、現地の人との文化の違いをどう理解していくか、などといった硬軟織り交ぜた話がとても刺激的だ。
 自然、もっと色々と話を聞きたいな、という話の流れになり……。

「フレンド登録して全面的にバックアップしようぜ、という話になってだな。ユーミルも気に入ると思うんだけど、あの三人。だから、少し話を――」
「そうなのか!? では、早速話をしてきてみる!」

 言うが早いか、ユーミルが談笑の輪に突撃していく。
 あっという間に場に溶け込み、そして一度戻ってくるとこう宣言した。

「――気に入った! 全力バックアップ、決定!」
「話が早くて助かる……物足りないのなら、もっと話を聞いてきたらどうだ?」
「うむ! バウじい! バウじい! ロープが千切れそうになって、それからどうなったのだ!?」

 そして慌ただしく輪の中へ再突入していく。
 ……しかし何の話をしていたんだ。ロープ?
 ユーミルと入れ替わるように、リィズがそっとその中から抜けてこちらに戻ってきた。
 ちょうどいい、少し相談に乗ってもらおうか。

「良い方たちですね。夫妻のお話も含蓄がんちくがありますし、お孫さんも中々に愉快な方です」
「愉快? ……と言うと?」
「隠し切れない――何と言いますか、ユーミルさんのオーラを見てですね……こう、芝居がかった口調で……」
「ああ、聞こえた聞こえた。こ、これが真の勇者の……とか何とかつぶやいていたな」

 どうやらパストラルさんの頭の中はその手のワードで溢れ返っているいるようだ。
 時々それが漏れてしまっているようだが……指摘しようとすると恥ずかしがるので、無意識のものらしい。
 理世が俺の隣に密着するように座り、俺が先程からペンを走らせている手元の『洋紙』を覗き込んでくる。

「それで、ハインドさんは何をしていらっしゃるのですか?」
「この辺の農地の値段の一覧を作ってる。ランクとか場所とかによって細かく変わるんで、おおよそではあるんだが」
「なるほど……あ、そこの桁が間違っていますよ」
「む、本当だ。サンキュー」

 他のプレイヤーを案内した時にも使えるので、分かり易く範囲は広くだ。
 地価の変動はこの前のようなイベント以外ではクエストによるものがあるが、そうそう変わるものではない。
 一度作ってしまえば、しばらくの間はこの表が役に立つはずだ。

「しかし、いくら安いと言ってもこれでは……。パストラルさんたちの希望通り、すぐに始めるという訳にはいかない金額ですね」
「王都の外のもっとランクが低い土地なら、今の彼女らの所持金でも可能性はあるけどな。もし嫌じゃなさそうだったら、ここは俺が数日前に買っておいた土地を貸し出そうかと思ってる」
「……それは面白いかもしれませんね」

 最初から格安で譲る、までやると行き過ぎているだろう。
 それにセレーネさんとトビの了承をまだ得ていないので、貸し出しという形にしておけば色々と対応が利く。
 まずはパストラルさんたちには今から生産のノウハウを教える際にそこを使って貰い、セレーネさんとトビがインしてきたら会ってもらう。
 二人がいいと言えばそのままその土地をパストラルさんたちに正式に貸して……最終的には、そのままその土地を買い取ってもらってもいい。
 もちろんパストラルさんたちが俺たちに縛られるのが嫌ならそのまま他所に移ってもらって大丈夫だし、こちらも気の合わないメンバーが出れば貸し出し期間終了と共に去ってもらうのもありだ。

「孫のパストラルさんが俺たちのことを知っているようだったし、今のところは和やかだからさ。それに道中、チラッと口にしていたんだが……上手く生産ギルドとして大きくできたら、提携してもらえないかとも言っていたぞ。そういう意味でも、すぐ隣の土地でそれが実現したら最高じゃないか?」
「へえ……そんな言葉まで引き出すなんて。ハインドさん、随分パストラルさんと気が合って――」
「と、とにかく! 早く生産をやってみたいという当初からの彼女たちの希望もあるんで、そういう形でどうだろうか? 一応、この土地の価格表をまずは見せてみることにするが」
「よろしいのではないでしょうか。私も薬草や滋養草を大量に安く仕入れることができれば、とても助かりますし」
「だよな。じゃあ、トビとセレーネさんがインしてきたら全員で少し話し合いをするか」

 その後、土地の貸し出しについてはスムーズに話が進んだ。
 パストラルさんは相変わらず大層恐縮しながら何度も礼を言い、立派な生産ギルドを作ります! と俺たちの前で祖父母と共に宣言してみせた。
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