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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

集団戦と夏休みの開始

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ビエホ塩湖と古代鳥の群れ

 馬を下りて俺たちは辺りの景色を見回した。
 変化の少ない砂漠の中では、こういった景色は貴重だ。

「オアシスではないのだな? えんこ?」
「そう、しおみずうみと書いて塩湖。見ろよ、乾いた部分に塩のかたまりができているだろう?」
「おお、踏むとサクサクする!」

 俺は近場にあった光を放つ採取ポイントに屈み込むと、手で適当に塊をすくい取った。
 すると『湖塩こえん』を入手したとシステムメッセージが流れる。
 それを見て同じようにユーミルが屈み、塩を採取してから顔を上げた。

「これ、塩としてはどうなのだ? 美味しいのか?」
「さあな。使ってみないことには……日本ではほとんどが海水塩、あっても岩塩だし」
「ちょっとお高いステーキとかには、岩塩が付いてくるでござるよな?」
「種類にもよるんだけど、トビが言っているようなのはミネラルが豊富で甘いからな。肉には良く合う」

 ここはスピーナさん推薦の『ビエホ塩湖』というフィールドだ。
 近くの町ではここで採れる湖塩を採取・出荷して生計を立てているらしい。
 海まではそこそこの距離があるので、サーラ内陸部の塩は大抵ここの湖塩だそうだ。
 従って、知らない内に食べていた可能性は十分にあるな。

「ハインドさん。ここに出現するモンスターは、どんな種類が?」
「スピーナさんによると、塩湖の中にいるあの――」

 俺が指差したのは、フラミンゴに良く似た鳥。
 TBにおいて古代鳥に分類されるらしいそれらは、外敵の少ない塩湖を縄張りに生息している。

「あれ、ですか? あまりモンスターには見えませんが……」
「悪い、あれじゃなくて。あの古代鳥“グナーデ”を標的にして寄ってくる……」

 ぞわぞわとうごめくそれらに気付き、みんなが一斉に武器を構える。
 塩湖の周囲、色の変わり目にそいつらは集まっていた。

「巨大な蛇の群れだ。パルドスネーク」
「うぇっ!? にょろにょろしてて気持ち悪いです!」
「砂地の上を通って……塩が固まった部分に乗ると見つけやすいですが、場所によっては保護色で分かり難いですね」
「ついでに水の中には入らないっぽいですね、あの蛇。あ、岸にいる鳥が狙われ……先輩?」

 ヒナ鳥たちによる三者三様の反応。
 しかしシエスタちゃんは勘が鋭い。

「そうそう、要はそういうこと。古代鳥を守るように戦ってくれ。古代鳥は人間を攻撃してこないし……スピーナさんによると、上手く守り切れればご褒美があるらしい」
「ご褒美!? 何だか分からないけど、気合が入りますね!」
「俺もそれが何なのかは聞かされていないけど、期待してくれて良いってさ。セレーネさん、作戦変更です。ヒナ鳥たちのサポートをお願いします」

 セレーネさんはメンバーの顔を見回すと、やがて納得したように頷いた。

「――うん、分かった。そっちも気を付けてね」

 この前と同じように交代で戦うつもりだったが、どうもあの数を見た感じとてもそんなことは言っていられない。
 セレーネさんにヒナ鳥たちのサポートに入ってもらい、四人ずつのパーティで古代鳥を守りに向かう。
 先に準備ができたヒナ鳥パーティが、危険な位置の古代鳥を守りに移動を開始。

「なあ、ハインド。四人パーティに分けるのはいいとして、どうしてあちらにセッちゃんなのだ?」

 俺が質問に答える前に、リィズがユーミルへと視線を向ける。

「……ユーミルさん、本当に分からないのですか? 私たち渡り鳥の中で、即席でも連携を取るのが上手なのは誰です?」
「む……ハインドとセッちゃんだ」
「では、こちらのパーティからハインドさんが外れるとどうなります?」
「連携が崩壊する……はっ!?」
「まぁ、消去法でござるよなぁ……」
「俺は自分の連携が取り立てて良いとは思わんが。お前たちとセレーネさんを残してあっちに行くのが不安だった、ってのは正解」

 それにセレーネさんはあちらのパーティの司令塔であるサイネリアちゃんの信頼も厚いので、そういった意味でのプラスの効果も期待している。
 駆けて行くヒナ鳥たちに続いて、準備を終えたこちらのパーティも即座に動き出した。

「俺たちも行こう。ヒナ鳥たちの反対側から進む感じで」
「うむ! ――あっ、早速襲われているぞ!?」
「ユーミル、先行してくれ! 単体攻撃で一体ずつしっかりな!」
「分かった! 一体ずつ確実に、だな!」
「任せた! トビ、こっちのパーティは遠距離攻撃があっちに比べて乏しい。俺たちの投擲アイテムで補うぞ!」
「承知!」
「リィズにがんがんサポートを回すからな。ダークネスボールとグラビトンウェーブで敵の塊をしっかり止めてくれ!」
「はい」

 走りながら指示を飛ばす。
 湖の岸で暢気のんきに寛ぐ古代鳥……そこに襲いかかる巨大蛇をユーミルが斬り飛ばし、俺たちは戦闘状態に移った。



『パルドスネーク』のレベルは50と中々に高く、毒持ちでそこそこの耐久力ありと面倒な敵だ。
 リィズを中心とした組み立ては上手いこと的中し、足止めをしている間に近くの古代鳥は湖の中へ。
 こうなってしまえば湖に入れない蛇には手出しができない。
 岸でたむろしていた古代鳥たちの避難を済ませ、『バルドスネーク』の掃討も終わったころ……。
 ステータス画面を開いていたユーミルが怪訝な表情になる。

「む……あまり経験値が増えていないな」
「あれ、そうだったか? ってことは、蛇の経験値は大したことないのか」
「どういうことでござろうな? スピーナ殿は嘘を吐くような御仁ではないと思うのでござるが」
「……あの、みなさん。何やら助けた古代鳥たちが光っていますよ?」
「「「え?」」」

 リィズの声を契機に、湖の方に視線を向ける。
 すると俺たちが助けたらしき古代鳥数体が、踊るような動きと共に輝きを放つ。
 その光はやがて古代鳥の体から離れ、俺たちの頭上に降り注ぎ……。

「おおっ!? 取得経験値がもりっと増えた!」
「なるほど、そういうことでござったか! 蛇から守ると、古代鳥がお礼に経験値をくれると」
「かけた時間からすると、かなりの効率ですね。これでもイベント開始までにカンストを目指せるかどうかは難しいですが……」
「まぁ、ともあれ良いフィールドを教えてもらったな。このまま古代鳥の護衛を続けよう」

 向こう岸を見ると、同じく経験値を受け取った様子のヒナ鳥パーティが大きく手を振っている。
 それに手を振り返すと、俺たちは岸に残った他の古代鳥に向かって移動を再開した。
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