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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

最善の一振りと最高の一枚を求めて

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総仕上げとプレイヤー賞

 ダンジョン遠征終了から数日後。
 期末テストが終了し、夏休みが近付く中……未祐は俺の部屋でダレていた。
 時刻はそろそろ十五時。
 テスト帰りなので、今日は二人とも早目の帰宅だ。
 俺のバイトも休みで、自室でのんびりと寛ぎ中である。

「うあー……」
「寝転がってもいいけど、あんまりベッドをクシャクシャにしないでくれよ」
「ゴロゴロー」
「おいっ!?」

 パリッとさせておいたシーツが、無残にもしわくちゃにされていく。
 未祐がこうなっている原因は勉強疲れと、暑さと、TBでの停滞が原因だ。
 しばらく生産がメインになっていたため、少々退屈しているらしい。
 無防備な姿を晒してベッドの上でうだっている。

「そういやTBの話だけど。仕上がった属性武器のテストを兼ねて、ダンジョンの踏破記録更新を目指さないかって言ってたぞ」
「誰がだ?」
「アルベルトさんが。どこまで行けるか試したいんだってさ。お前も行く?」
「行く!」

 ベッドから半身を起こして未祐が手を挙げる。
 こういった挑戦的な戦闘は久しぶりなので、とても嬉しそうだ。
 顔の血行まで良くなって、つやつやし始める。

「じゃあメンバーは……俺とお前とリィズとセレーネさんだな。それに発起人のアルベルトさんの五人と」
「む、フィリアは?」

 一応悪いと思ったのか、布団のシーツを直しながら未祐が首を傾げる。
 マール共和国にフィリアちゃんが一人で来たように、あの二人も必ずしも一緒という訳ではない。

「学校行事だってよ。えーと、社会科見学?」
「むう、遠出をしているのか。ならば仕方ないな!」
「ああ。時間的には大丈夫なんだけど疲れちゃうからって、アルベルトさんが止めたんだよ。で、リィズは新薬を試したいからで、セレーネさんは武器の仕上がりをチェックしたいってことだから」

 おやつにしようと声をかけ、未祐を伴って一階へと下りていく。
 理世もそろそろ学校から帰ってくるだろうから、何かお菓子を作っておくとするか。
 キッチンでまずは手を洗い、丁寧に拭って準備完了。
 制服からの着替えも済ませてあるし、エプロンも三角巾も装着済みだ。
 手伝ってくれるという未祐も調理の邪魔にならないよう、長い髪を後ろで括った。

「なるほど。しかし、ダンジョンなら他の属性武器持ちも連れて行きたいところではないのか?」
「トビとサイネリアちゃんか。確かに。でも、トビ――というか秀平は、あのザマだしな……」
「灰も残らないような燃え尽きっぷりだったな。あいつ」

 秀平は普段よりも頑張った期末テストのせいで、大好きなゲームにもログインできない消耗度合いである。
 怖くて自己採点できないなどと言っていたが、教えていた俺の感触からすると赤点が発生しそうなのは数学と英語の二教科だけだ。
 その二つは中学時の基礎の範囲から復習中で、まだまだ立て直しの最中だからな……。
 他の教科、特に日本史に関しては面白い結果になりそうだ。
 冷蔵庫を開けて材料を確認……うーん、ホットケーキにバニラアイスでも乗せるか。
 試験で頭を使ったから糖分がほしい。切に。

「慣れないことをするからああなるんだよな。といっても、好ましい変化だから応援しているが。本人の頑張り次第では、今からでもいい大学を目指せるかもだ」
「ゲームのフレンドの言葉で態度を改めるとは……いかにもあいつらしいが」

 半分はココアパウダーを混ぜよう。
 ほんのり苦みがあったほうがバニラアイスと合うはず。
 ボウルを二つに分けてプレーン予定のほうを未祐に渡し、まずは卵を割って混ぜる。

「本当にな。で、サイネリアちゃんのほうは俺が商業都市で買ってきた……」
「あー、さすがの私でも察しがついたぞ。飼料の改良だな?」
「そうそう。それに、彼女たちもテスト期間だし。無理には呼べないって」

 長期休暇が近いということで、イン率に関してはまちまちだ。
 先んじてテストが終わった理世と、大学生である和紗さんの二人は余裕がありそうだが。
 ココアとホットケーキミックスを入れて、少し硬くなるまで混ぜる。

「という訳で、今夜は遠征の総仕上げとして風属性のダンジョンに行くぞ。サーラ国内にあるやつな」
「うむ! ――お、そっちはココアか! いいな! ……ところで亘、スクショコンのほうはどうなのだ? 私も今日になって掲示板を覗いてはみたのだが、全体の流れが今一つ掴めん」
「スクショコンなー。NPCが認識できない都合上、現実側で審査するのは当然として……やっぱり、プレイヤーの投票で決まるプレイヤー賞が一番盛り上がっているな」

 組織票対策ということで、フレンド及びギルドメンバーへの投票は無効となっている。
 投票受付中に解除してもそれはそのままということで、一定の公平性は保たれると思うのだが。
 他には運営側が選ぶ、プレイヤー投票とは別の賞がいくつか用意され、どちらも入賞すればゲーム内で使えるアイテムや装備品を受け取ることができるとのこと。
 そして未祐の手つきが豪快過ぎて、ちょっと生地の素を溢している。

「早目にエントリーしたほうが有利だよな。エントリーした作品はもう見られるんだし」

 掲示板では既に、どの作品に投票するのかという話題で盛り上がっている。
 どちらかと言えばより語りやすい、NPCに関する話題のほうが多い印象だった。
 いよいよ熱したフライパンに、ホットケーキの素を適量流し込んでいく。

「締め切りはもう直ぐだろう? 亘のエントリーはまだ済んでいないようだが、どうするのだ? ……んー! 甘い香りがしてきた!」
「被写体は決まっているんだけど、上手く会えないんだよな。忙しく移動しているから」
「む? ということは、風景や物ではなく現地人か?」
「まぁな。俺のよりも、秀平が秘蔵の一枚があるとかどうとか意味ありげに言っていたのが気になるんだが。あいつの作品ってもうエントリーしてあるのか? 未祐とは逆に俺は、今日は掲示板も公式サイトも見ていないんだけど」
「ああ……もうあるぞ。というよりも、掲示板で話題になっているぞ? 見てみたらどうだ?」

 そう言って未祐は酷く白けたような顔をした。
 え、何? そんな顔をされるような写真なの?
 気になったので教えてもらおうと食い下がったのだが、話をしている最中に理世が帰宅した。
 いつものやり取りを経て、ホットケーキが冷めると俺が釘を刺したところで二人の諍いが終了。

「――では、私は着替えてきますね。すぐに戻ります」
「……という訳で、理世の分も焼いちまおう。未祐、そろそろ皿を並べてアイスを出してくれ」
「よし来た! おやつだー!」

 すっかり有耶無耶になってしまったので、秀平のスクショに関してはおやつが終わったら確認することにしよう。
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