アイテムコンテストについて語るスレ
「ねえ、わっちー……」
「何だよ? 仕事中なんだから、あんまり話しかけるなよ」
「いいじゃん、お客さん少ないんだし。それよりも、あの後セレーネ殿から何か連絡あった?」
「ああ。なんか昨夜は淑女協定? だかを話し合っただけだから、心配しなくても大丈夫って言われた。こっちにとっては何のこっちゃだが」
先程までお客さんが座っていた隣のテーブルを拭きながら、コーヒーを飲みつつスマホを眺める秀平に応じる。
多分、セレーネさんはワザと分かりにくく言ってるんだと思う。
二人に何か口止めされてるな……その協定とやらの内容を俺達が詳しく知る術はなさそうだ。
「そっか、喧嘩とかしてなかったんならいっか。で、いつものイベント後の掲示板ウォッチなんだけど」
「おー。何か変わった書き込みはあったか? ――ありがとうございました」
テーブルが拭き終わり、メニューを中央に置いたところでお客さんが一人帰っていく。
会計は手が空いていたらしいマスターがやってくれた。
その間に俺は食器を片付け、洗うところまで済ませてから出ていったお客さんが使っていたテーブルを拭き終える。
うーむ、本格的な隙間時間が……。
「マスター、今の内に休憩に入っても構いませんか?」
「うん、どうぞ。もう少ししたら常連さんが増える時間だからね」
「はい。ありがとうございます」
秀平の座るテーブル席の向かいに座り、エプロンを外す。
今日はマスターの奥さんである麻里子さんはお休みである。
昔馴染みのお友達と温泉に小旅行だそうだ。
「……なんか、お前が来ると他のお客さんが一斉に居なくなる気がする」
「失礼な!? お客さんが少なそうな時間を狙って来てるだけだよ!」
「まぁ、知ってたけどな。冗談だ」
「わっちのそういうところ、間違いなく理世ちゃんに引き継がれてるよね……似た者兄妹め……」
軽く伸びをし、持ってきた水を一口含んだ。
こうしてからかってはいるが、休日になると店に足を運んでくれるこいつのことはありがたく思っている。頼むのが一番安いブレンドコーヒーだとしても。
俺は一度キッチンに引っ込むと、マスターの許可を得て冷蔵庫を開ける。
そして皿に一切れのお菓子を載せると、再び秀平の待つ席に戻った。
「ほらよ」
「何これ?」
「チーズタルト。俺の奢り」
「マジで!? ありがとうわっち!」
早速ホクホク顔でフォークを持ち、タルトを崩し始める秀平。
俺はその対面でスマートフォンを取り出し、掲示板へとアクセスした。
「で、どのスレのどの辺の書き込み?」
「へ? 何が?」
会話の間が空いたことで、どうやら自分が言い掛けていたことを忘れてしまったらしい。
仕方ねえな……。
「ほら、さっき掲示板がどうとか言ってたじゃんか」
「――あぁ! そうそう、俺達に関する書き込みがあったから教えておこうと思ってさ」
「1位を取ったセレーネさんだけじゃなく?」
「だけじゃなく。大体、わっちと理世ちゃんも上位だったじゃんか」
言われてみればそうだ。
それ以前に全員の出品物が100位以内に入ったというのも奇跡的ではあるのだが。
秀平の指示に従い、書き込みがあったというスレを開いてスクロールしていく。
【プロvs】アイテムコンテストについて語るスレ5【アマチュア】
TBで開催中のアイテムコンテストに関するスレです。
主催はサーラ王国、審査はNPCのパトラ女王。
荒らしはスルー、マナー厳守で。
次スレは>>900が宣言して立てること。
178:名無しの騎士 ID:wSS7Z4y
最初の1位出たーwww
てか、金の植物って何だよw
179:名無しの魔導士 ID:fcrywT8
女王様エロいっすなぁ……
180:名無しの重戦士 ID:VNxgBhe
合成植物って奴か
これ女王様と同じ名前の花なんだね>>アデニウム
181:名無しの弓術士 ID:pMfrfLh
運営の予告通りに女王様の好みが出てる
182:名無しの魔導士 ID:nm6a8UB
1位の人、調べたら花農家さんだったわ
どうやって花を金にしたのかは謎だけど
183:名無しの魔導士 ID:mPW6h2N
花農家……
現実の品種改良のノウハウとかってゲームで使えるのかね?
184:名無しの神官 ID:hcmWKCU
そもそも花農家って品種改良やるの?
食べ物系の農家さんならともかく、
そういうのって大学とかでやるんじゃ……?
185:名無しの軽戦士 ID:fRhAJHY
よく分かんないんだけど、プロが1位を取ったって認識で合ってる?
186:名無しの弓術士 ID:pMfrfLh
まあ、全く花を知らない人よか有利なのは間違いないよね
俺も詳しくないけど
187:名無しの騎士 ID:QkHZXAW
ぐぬぬ……
188:名無しの弓術士 ID:k5DygA5
やっぱり普通のプレイヤーにも1位を取って欲しいな
次のカテゴリに期待
流し読みをしつつ、更に下にスクロール。
ここまでは、まだ俺達の話題は出ていない。
240:名無しの神官 ID:Mfyttx6
目がぁ!? 目がぁぁぁぁぁ!!
241:名無しの魔導士 ID:fcrywT8
真っ白で何も見えんwww
242:名無しの弓術士 ID:k5DygA5
驚きの白さ
そして女王の笑い声しか聞こえないという
243:名無しの重戦士 ID:yQuXQe2
シャイニングを掛けられたアルベルトの気持ちになるですよ……
244:名無しの騎士 ID:U2Dtk8k
確かにこれは辛いわ
音だけで相手を探せってか?
245:名無しの弓術士 ID:fZnJzjT
モンスターにも効くなら神アイテムだわ>>閃光玉
逃げにも攻めにも使える
駄目ならPK撃退用だな……
246:名無しの魔導士 ID:3Tdez5T
問題はコストだけどね
安ければ汎用性高そうだし、是非とも欲しい
247:名無しの武闘家 ID:NHtkX5P
これはさすがにプロ関係ないよね?
248:名無しの軽戦士 ID:Cxud9tQ
無いでしょ
プレイヤー名で検索掛けても何も出てこないし
249:名無しの弓術士 ID:fZnJzjT
今のところ1位の数はプロ1に対して他が1か
最終的にどんな数字になるかな?
250:名無しの騎士 ID:U2Dtk8k
個人的にはプロ以外が多い方が嬉しいけどなぁ
ゲームでまで現実的な技術が必須とか、夢がないよね……
251:名無しの魔導士 ID:FsBiArz
それはVRゲームの技術力が高まってきた頃からの命題だからね
ゲームらしさを取るか、リアリティ重視の現実志向にするか
252:名無しの軽戦士 ID:Cxud9tQ
んで、ガチガチにリアル寄りにすると物によってはこう言われるわけだ
「それ現実でやればよくね?」って
戦闘は別として、MMORPGの生産部分なんかは特に
253:名無しの重戦士 ID:StQYGwc
場合によっては現地に行けないとかその状況に持っていけないとかで必要だよ
俺、都会住みだからたまに釣りゲームやってるよ? リアル寄りのやつ
254:名無しの神官 ID:ZU232nD
TBでやろうよ>>釣り
255:名無しの重戦士 ID:StQYGwc
>>254
TBの釣りはちょっと簡単過ぎてな……
渓流でも海でも簡単に飛べるから便利よ
256:名無しの弓術士 ID:wzYBwWz
>>場合によっては現地に行けないとかその状況に持っていけないとか
つまりギャルゲ(ry
257:名無しの騎士 ID:U2Dtk8k
>>256 略せてないw
まぁ、確かにVR恋愛ゲームだって二次元を立体に起こした感じの
デフォルメ調もあれば
中間の3Dポリゴン派生のキャラ、現実寄りと色々出てるからね
258:名無しの魔導士 ID:jpgUwXe
>>257
先生!
そこじゃなくて、その状況に持っていけないって部分が悲しいんだと思います!
259:名無しの弓術士 ID:wzYBwWz
(´;ω;`)いいもん! 俺の嫁はVR内に居るんだもん!
260:名無しの武闘家 ID:NHtkX5P
話が脱線してるw
要はTBの場合どっちが良いかってことでしょう?
261:名無しの神官 ID:82ArxmL
魔法ありの世界だからきっかり現実寄りだとキツイ
でも程々のリアリティもないとそれはそれで萎える
262:名無しの魔導士 ID:5HGn8Jm
我儘だなぁw
263:名無しの神官 ID:82ArxmL
ユーザーなんて我儘なもんだよ
運営のバランス感覚が悪いゲームなんてすぐ潰れるし
264:名無しの弓術士 ID:3KBMRp9
それを測る試金石にしたがってんのか
1イベントだけで判断するのはどうかと思うけどなぁ
265:名無しの重戦士 ID:6VDQxrB
>>263
声がデカいだけの少数意見に流されないのも大事
266:名無しの騎士 ID:U2Dtk8k
>>265
ほんとそれな
267:名無しの魔導士 ID:5HGn8Jm
まぁまぁ、取り敢えず結果を待とうぜ
難しい話は分かんないけど、女王様のおみ足を見ているだけで僕は幸せです
268:名無しの神官 ID:82ArxmL
>>267
良いんじゃない?
俺達みたいに眉間に皺を寄せてゲームしてるよりよっぽど健全だと思うよw
269:名無しの軽戦士 ID:ZLPV588
女王様のスクショを取りまくってたらフォルダが凄いことに
中継画面越しだから画質が荒い! 直に撮りたい! でもサーラ遠い!
270:名無しの弓術士 ID:3KBMRp9
>>267>>269
楽しそうだね君達……
俺も余計な事ばっか考えてるのがアホらしくなってきたわw
「相変わらずプロ対アマチュアで話題がループしてんな。もうちょっと下?」
「もうちょっと下。薬品で理世ちゃんが入賞した辺りまで飛ばそう……あー、タルトうめぇ」
「あいよ」
お客さんはまだ来ないので、今の内にさっさと該当箇所を見てしまおう。