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VRMMOの支援職人 ~トッププレイヤーの仕掛人~ 作者:二階堂風都

アイテムコンテストとギルドの発展

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結果発表当日・その2 アイテム・その他

『まずは10位……』

 一言呟く。
 そして女王は玉座に座ったまま目を閉じ、手をアイテムの山に向けてかざす。
 俺達がその行動を不思議に思っていると、かざした女王の手が淡い光に包まれた。
 続けてアイテムの山へと視点が切り替わり、その中の一つが呼応するように光を放ち始める。

『ミレス』
『はっ』

 女王が呼びかけ、彼は山の中から光ったアイテムを取り出した。
 ゲームらしいワクワクする演出である。
 ここに居るメンバーからも「おー」などという感嘆の声が上がっている。
 ミレス団長が女王の傍で膝をつき、品物を恭しく両手で掲げて渡す。
 受け取ったそれを女王は大儀そうに一つ頷くと、画面に向けて見えるように持ち直した。

『10位は妾の肖像画である! ううむ、実に美しい……』
「「「初っ端から媚び媚びのヤツ来た!?」」」

 叫んだのは俺・ユーミル・トビの三人。
 それは見たところ油絵のようだった。
 繊細なタッチで女王が美しく描かれ、遠目にも高い技巧を用いて描かれたことを窺わせている。
 しかし、本当に女王の機嫌を取ることを一番に重要視した品物だな。

『アイテム名・女王の肖像。出品者の名はクトル、絵画は今回これのみとなる。しかし見事な逸品よのう……』
「む? クトル……どこかで見た名前だな」
「ああ、あれだろ? 画家ではないけど、確かプロのイラストレーターだったはず」
「一番手からプロが入ってきたでござるか。これは今の掲示板の様子が容易に想像できるでござるな……」

 昨日の内に俺も掲示板を一通り見たのだが、その中で挙げられていた名前の中の一人だ。
 検索してみたら二次元の萌え萌えした絵が多かったのを記憶しているが、ああいう絵も描けたんだな……。
 そして女王のこの選評、自己愛が強いにもほどがある。
 絵の出来が素晴らしかったのは確かなのだが。

『次、ミレス』
『はっ!』

 続けて同じように9位、8位と発表されていくが枕もアデニウムも登場しない。
 ヒナ鳥達三人は100位以内に入ったことで既に満足しているようだったが、ユーミルと俺はそうではない。
 可能であれば10位以内に入りたい。
 だが無情にも、順位はどんどん消化されていき――。

『ではアイテム・その他部門の最後を飾りし第1位は……』
「あー、これは駄目かな……」
「待て、まだ分からんぞハインド! もしかしたら1位かもしれんじゃないか!」

 カメラがアイテムの山へと近付き、一位の作品を分かりづらく大写しにする。
 近過ぎて茶色い色しか分からない。
 ……お? はて、この茶色は……。

「二人とも、もしかしてこれ鉢植えじゃないかな? 違う?」

 セレーネさんの発言に俺達はハッとした。
 確かに鉢植えの茶色に非常によく似ている。
 ただ、ピントがぼやけたそれは前後に同じような物が二つ見え……ミレス団長が持ち上げたのは奥側の鉢植えらしきものだった。

「頼む……頼む!」
「アデニウム……アデニウム! 来い!」

 頼む、アデニウムであってくれ!
 俺達が祈る中、映像が女王の足元から舐め回すようなゆっくりとした動きで手元を映す。

『1位はアイテム名……』

 女王が焦らすように間をたっぷりと取る。
 隣で祈っていたユーミルはそれを受けて、イライラと足を踏み鳴らす。
 気持ちは分かるが、行儀が悪いからやめなさい。

『アイテム名……黄金のアデニウム! 出品者フィオレ!!』

 一体どんな手を使ったのか、有機物でありながら金属のような黄金の輝きを放つアデニウムの花がそこには在った。
 当然ながら俺達の出品物ではなく、少しの間呆然とした後……。

「だあああ!? 類似品に負けたぁぁぁ!!」
「確かにアデニウムだけどさぁ!? あああああ!!」

 俺達は頭を抱えてみっともなく叫んだ。

『妾の名に所縁のあるアデニウムの出品は多数あったが、中でもこの黄金。それから七色のアデニウムは一際目を惹いたものであったぞよ』
「ご丁寧にどうもこんちくしょう! だったら10以内に入れやがってくださいよぉ!」
「先輩先輩、言葉遣いがバグってますよ? 大丈夫ですかー?」
「ぬああああっ! くやしぃぃぃぃ!」
「ユーミルさん、うるさいです。もっと静かに悔しがってください」
「あー、惜しかったでござるなぁ……残念」

 わざわざ挙げるってことは、100位以内には入っていたのか。
 恐らくあの手前側の鉢……あれが俺達の出品した『七色のアデニウム』だろう。
 あれも多様な組み合わせを試す中で突如発生した、偶然の産物だったわけだが。



 そこで結果発表が一度中断され、メニュー画面には100位以内の受賞者に一言ずつコメントつけた物が掲載された。
 意外とサービス精神旺盛な女王様である。
 それによると枕は89位、俺達のアデニウムは13位だった。
 全員がそれを銘々眺めながら、ハーブティーを啜って一息。

「思ったよりも、女王の嗜好とやらが占める配点が大きい感じがするな」

 俺のざっくりとした総括に、リィズとセレーネさんが頷いた。

「確かにそうですね。10位以内に女王の好きな黄金の物と赤い色の物が計5つですからね」
「そういう女王様が好きな色に関するもの以外にも、比較的豪華な感じのアイテムが多かった気がするよ。宝石の付いた壺とか……」
「あの魔法で灯りが着くシャンデリア、凄かったです!」
「全体的にとても煌びやかでしたね。私達の枕はちょっと地味だったかな……?」

 リコリスちゃんとサイネリアちゃんも近い感想を持ったようだ。
 こうして話していると傾向が何となくだが分かる。
 それ自体は事前に予想していた通りなのだが、悔しいものは悔しい。

「しかしなんだこの選評は。妾の好きな色だけを揃えられたならばもっと高評価であった――だぞ!? 馬鹿にしているのか!」
「雑でござるなぁ。一言だけでござるから、仕方ないとはいえ」
「まぁでも、101位から下はその一言すら貰えないわけだから。これでもマシな方だろうよ」

 今回のイベントは審査を受けて終わりではない。
 この後はオークションも控えているし、その女王からの一言の有無で入札の勢いに差が出る可能性はある。
 そんな話をしていると、頬杖をつきながらメニュー画面を片手で操作していたシエスタちゃんが顔を上げて俺の方を見た。

「先輩、オークションって出品者からこういう感じで一言コメントを添えられましたっけ?」
「うん? ああ、取引掲示板と同じように添えられたはずだけど」
「どうしてそんなこと訊くの? シーちゃん」
「んー……ほら、私達の枕に付けてくれた女王様のコメント見てよ」

 リコリスちゃんにシエスタちゃんが画面を向ける。
 俺も疑問に思ったので89位の場所まで画面をスクロールさせると、そこにはこう記載してあった。
 一言『中々に良い寝心地であった』と。
 まさかシエスタちゃん……。

「こういう選評だから、女王様の使用済み! とか一言添えておけば、オークションで値段が吊り上がるんじゃないかなぁって」

 その考え方というか発想に、俺達はそれぞれが「あー」と呟いて微妙な表情になる。
 リコリスちゃんだけは純粋な疑問の表情で「そうなの? どうして?」とシエスタちゃんに訊き返しているが。
 確かに値段は上がるだろう……主に女王ファンの男からの入札で。
 何ともあくどいやり口である。相変わらず中学生離れした考え方をするなぁ。
 全く意味が分かっていないリコリスちゃんも、それはそれで極端ではあるのだが。
 そんなシエスタちゃんにリィズが半眼を向ける。

「貴女はとてもイイ性格をしていらっしゃいますね。思わず感心してしまいます」
「妹さんにだけは言われたくないんですけども? 貴女が私の立場なら同じことを言ったのでは?」
「……そんなことはありませんよ? 失礼な」
「不自然な間ですねぇ。ま、いいですけど」

 人それを同類と呼ぶ。
 睨み合うリィズとシエスタちゃんの横では、未だ答えを得られないリコリスちゃんが今度はセレーネさんに質問していた。
 やめてあげてリコリスちゃん! セレーネさん超困ってるから!
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