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幻の姫と泥棒  作者: のりまき あなご
6/8

///執事頭の娘2///

ミネアさんのお仕事2

「わからない単語はありますか?」

ご主人様がお聴きになります。

「はい、あります。そのまま私がきこえた発声で、書き留めております。」

「宜しいでしょう。まずはメモとして後で纏めるとき直すことにしましょう。あとで読んで恥ずかしいことも有るかもしれませんしね。」

「はい、おっしゃる通りに致します!」

私が気張ってお返事させていただくとご主人様は優しくクスリと微笑んだ。

「俺は堅苦しいのはあまり好きではないので気楽にやりましょうね。」「は、はい!」

私が書き留めた文、これが原文とならないと知ってホッとしました。意味が良くわからない言葉もたくさんあったし、書き漏らした事も有るかもしれません。

「さて、もう少しはなしますか?」「はい!」

私は慌てて羽ペンを板付インク壺に突っ込みました。

首に紐で掛けていた口述筆記用の板持ち机がゆれます。

その様子をみてご主人様がまた、クスリと笑いました。



観察するのは大事なことです。

特によくわからなかったり、怖かったりする事は多いですからね。このときはもう命がないくらいの心持ちで腹も座りはじめていました。

死線はひとつも越えていませんが、昨夜からの出来事で越えたような気がしていました。


まずは左から右へ荷車を引くお年寄りの農夫さんが人道にやってきました。ガラガラ荷車の音が響いて聞こえます。念のためペットボトルを握ってあばら屋の陰から観察しました。

人道は往来がそこそこあるようで、そのあとも左右から人もですが荷車だの馬だのやってきました。

どれぐらい観察したでしょうかね?2アグリ時間ぐらいかな。日が暮れてきました。

安全そうなのと流石に喉が渇いてきたので人道まで出てみることにしました。お腹も空いていました。

ちょうど商人風のふたり組が旅支度で歩いてきました。もちろん当時はそれが商人で旅支度だなんてわかりませんよ。そんな雰囲気だったので。


目の前を通り過ぎる二人はチラッと訝しげにこちらを見ましたけど、目の前で微笑んで胸を拳でトンと叩いて通り過ぎました。

慌ててこちらも笑顔で胸を拳でたたきました。

それが挨拶だとわかりましたからね。

そこで後ろの若者が言ったのです。


「イイユウヒデスネ。」


言葉わかるんだーー!!


ご主人様が突然叫んだのでビックリしました。

私には意味がわかりませんでした。

言葉がわかるのは当たり前だと思いました。


あう、ご主人様はもしかして外国から来られたのでしょうか?それとも外国でのお話だったのでしょうか?


父からはご主人様はこの国生まれとおききしておりましたので、重要な秘密を知ってしまったような気がして俯きます。

私は口述書記官の宣誓にあった守秘義務厳守を命をかけて守ります。時の神、アグリ神に誓います。


こうして私の最初のお仕事は終わりました。

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