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南の魔女の陽気な日常
どうして生まれて来たのか、それはわからない
気が付けば、深い暗闇の淵に立っていた。
赤い光が空を染め上げ、亭々と広がるこの大地と海とに多様な生命の力が泡沫の如く瞬いては消えて往く、魔物の迸る咆哮も人々の争う騒乱も果ては自然界を揺るがす精霊の悪戯までも世界を賑やかに彩る光に変わりなく等しい。
美しいの、すべてが
憎み合い、殺し合っても
奪い合い、騙し合っても
薄汚れて死んで行く、限りある命を吹き消しあって、泣いて怒って怒って泣いて、少しだけ笑って。
神を罵り、最期に呼ぶの。美しいでしょ、ほんとうに
私も誰か呼ぶのかしら?
誰か私を呼ぶのかしら?
いつか終わりが来るのかしら?
終わりはいつになるのかしら?
ひとりでずっと観続ける
古びては閉じて生まれては開いて
巡り巡る魂の壮麗な歌劇をシンフォニーを
どこまで流れて行くのだろう
どうして生まれて来たのか、それはわからない