序
蒼界シュレイヌの異界への門が開かれた。
すべてはそこから始まった。
元々その地に住んでいたのは、法術によって文明を築いた天使たちだった。
彼らがこの地を去ってから長い時が過ぎ、その文明も崩壊し、彼らの存在は徐々に忘れ去られていった。
その土地には多くの人間が住むようになっていた。
人間たちは魔術、法術、精霊術、呪術、の四つの力を使い、独自の文明を築いていた。
しかし異界への門が開かれることによって、その地に招かれざる客が入ってきた。
魔術を扱うのに長けた彼らのことを、人間は悪魔、或いは魔族と呼んだ。
魔族は人間よりも長い寿命を持ち、人間よりも遥かに強い魔力をその身に宿していた。
彼らは住んでいた人間たちの土地を奪い、人間を僻地へと追いやった。
彼らの狙いは、その地に眠る魔力を秘めた石の採れる鉱脈、魔晶石が目的だった。
一部の魔族はその魔晶石の鉱脈を管理し、人間を奴隷のように働かせ、莫大な魔力と富の両方を手に入れた。
その地に元々住んでいた人間たちは苦しみ、神に祈りを捧げた。
かつてこの地で文明を築いた天使、または法族と呼ばれる彼らが、また戻って来るように。
この苦しい境遇から救ってくれるようにと。
その一方で、人間たちの中にも魔族の過酷な支配から脱しようと足掻く人々もいた。
彼らは団結して魔族に反旗を翻し、それはやがて蒼界シュレイヌ全体を巻き込む大きな戦乱へと発展していく。