表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界は  作者: Ψ(サイ)
強欲
3/10

移動中

早朝。


森の上空へと飛んでみた。


辺りは一面真っ白な世界へと戻っていた。





僕はそのまま森の外へと降り立つ。


恐怖心と好奇心が心中で渦巻き、心臓が速く波打つ。




迷いもあったけど、僕はそれを断ち切った。




次の瞬間、フッと少年の姿は消え、空中へと飛び出していた。


連続で空間移動を繰り返すことによって空中を渡り歩く。


フワッとした無重力感の直後にジェットコースターが落下する時のような浮遊感が襲う。


その浮遊感が生まれた瞬間、僕は次の位置へと飛ぶ。


全力で走ったり実際に空を飛ぶ時に感じる風を感じないのが残念だが、これはこれで爽快だ。



普通は景色が流れるのではなく、スライドショーのように次々と変わっていくんだろうな。


この場所じゃ、景色が変わってもわからないんだけどね。



空中散歩を楽しみながら僕は何か見えてこないか辺りを見渡していた。


しかし本当に何もない。


一面の白世界。


それに今いる高度100m付近では地面すれすれで何かが起きても、白砂(勝手に命名した)が光を反射してるせいでよく見えない。



「なーんにもないなぁ。」



ポンポンと移動をしても広大な世界には何も存在していない。




どれくらい時間が経っただろうか。


もう3時間は移動し続けている。


何もなさすぎたのでこの能力の詳細を調べ始める始末だ。





一度の移動距離は約100mが限界。


使用してもリスクがない。


移動箇所を決めてから移動するのでコンマ数秒ほど移動までラグがある。


移動時に『シュンッ』みたいな音はしない。




とりあえずわかったのはこれくらいかな。


ラグは注意しなきゃいけないけど、使ってれば感覚を掴めるでしょうと楽観的な考え。


やることもなくなり、僕はほぼ無心で飛び続けた。




そしてそれからまた数時間後、ようやく遥か彼方に巨大な街のようなものが見え始めた。


歓喜。


一応、能力を見られて化け物扱いされたくはないので、高度を30mほどまで落とし、距離が残り500mほどの地点で地面に足を着けた。


足の裏から伝わる久しぶりの地面の感触にどこか安心感を覚えた。






街は巨大な壁に覆われていた。


砂漠での砂嵐を回避するためか、単に砂避けかそれとも別の危険な何かから身を守るためか。


理由は色々考えられるが、ハッキリとはわからない。


外壁に辿りつき、壁伝いに歩いて行くと巨大な門が視界に入ってきた。


壁が約1kmほどならばその門は約100mほど。


巨大な鉄,,,,,,いや、この世界では"鉄"という物質は存在しないかもしれないのか。


"鉄のような"もので作られた門には人が通れるような勝手口すらない。


役人が門番をしているわけでもないので、これでは中に入ることが出来ない。


だからと言って中に移動するのも避けたい。



僕はなんとなくその門に触る。



!?



すると触れた部分の金属が歪み、手が門を透過した。


慌てて手を引っ込めると歪みは元に戻る。


なんなんだ,,,,,,?


興味本位でその門を強く叩いてみると、今度は手と門が思いっきり衝突した。



なんだこれ。


めっちゃ痛い。


めっちゃ痛い。



手を擦りながら僕はゆっくりと門に近付き、そのまま門を通過した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ