第3話 怪しい連絡
決意はしたものの、具体的な解決策があるわけではない。
いつも以上に足取り重く自宅に着いた。
家は2階建ての木造アパート。
10部屋ある内6室しか住民は住んでない。
扉の前に立ち鍵を取り出す。
ガサゴソ…ガサゴソ…
フッと目に入ったのは郵便受け。
何日、何週間も前から手付かずのまま、チラシなどが大量に差し込まれていた。
「・・・」
ガチャガチャ…ガチャン…
取り除くこともなく、家に入った。
カバンをいつもの椅子の上に置き、服はそのまま水をコップに注いだ。
タプタプタプ…ゴクン
一気に飲み干した。
小さな冷蔵庫の上にはデジタルカレンダー。
08/23 21:25
コチッコチッっと、デジタル音が時間を刻んでいた。
それ以外の音はない。
静かな家・・・
暗い部屋・・・
あゆみが緊急入院してから2ヶ月は1人きり。
どうしてもあの病院の妹の姿が頭に浮かび悪い事ばかり考えてしまう。
あのまま目を覚ます事もなくあゆみは死んでしまうのか・・・と。
決意したばかりのはずなのに揺らぐ自分がいる。
「・・・ふぅ…神様っていないのかな・・・・・」
風水や占いは信じてない。
それでも、初めて祈るように口から発していた。
コトっ…タプタプタプ
ピロンっ
「あれ・・・?マナー外れたんか??」
マナーモードにしていたはずなのに、スマホからなんかの通知音が鳴った。
いつもマナーモードが常だったから、こんなこと珍しいなって。
スッ…ファン・・・
取り出したスマホの画面には見知らぬものが表示されていた。
ーーー
佐藤翔太様
あなただけの特例救済措置のご連絡
条件を満たしご協力に参加・同意いただけたら感謝金として300万円の贈呈
その後、指定のとある場所で1週間生活をしつつ、さらに条件を満たした場合
お礼金でさらに500万円の贈呈
ご希望と参加意思のある方は以下までご連絡ください
0823-xxxx-xxxx
※上記番号は1度限りのみ通話可能
日本国国家 特別行政政府
ーーー
「・・・はぁ??」
それはメールアプリからの通知でも、なんらかのアプリの通知でもない。
スマホのホーム画面に覆い被さるようにして、手紙のような白い背景に文字が書かれていた。
スパム・・・?
なんらかのウイルス??
それとも乗っ取り???
なんにせよ異質すぎる・・・
特に異質だと感じるものが何個かあった。
自分の本名が記されていること。
電話番号の初めが0823-と見た事もない番号から始まっており、偶然か本日の日付だったこと。
そして一番は、日本国国家 特別行政政府との記載と、その下に日本政府の”五七の桐”が記されていた。
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お読み下さいまして誠にありがとうございました。
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