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まさかの再び
私は、夫の出かけるドアの音で意識を取り戻した。でもまだ目は閉じていたい。
それからもう1時間は過ぎたと思うが、身体は重く動かない。
キッチンには、夫婦で飲もうとしたスムージー用のミキサーが出しっぱなしになっているはずだ。
今日は使ってくれただろうか。うるさく飲むように言い続けてきて、1〜2回ほど作って飲んでくれたことはある。
今は、部屋のあちらこちらにある努力しかけた残骸がむなしく映る。
私は、もう頑張らないことにしたかった。
子どもが欲しいかどうかも分からなくなった。
自然のままが神様の思し召しなら、これでいいってことじゃないか。
そのまま、夕方までメイクもせず、着替えもせず、ただ漫然とSNSを見ながら過ごした。
さすがに日が傾いてくると、今夜は夫が帰ってくると焦った。
しかし、同時にスマホを見てまたベッドに横たわる。今日は飲み会だそうだ。
その時、目の端に白い塊を見た気がした。
ハッと緊張して振り向くと、そこには天使のような少年が立っていた。