白い塊
ヒタっと胸に重さを覚えて自然、上半身を逸らす。
ソレの足はバランスを取るように自重を動かすので、冷たくペタっとした足が肌に張り付き、小さな爪が柔らかな谷間に埋まっていた。
私の頭は一昔前のパソコンのように、シューシューと音を立てる
あまりに突然のことで怖さはなかったが、じりじりと焦り冷や汗が出る。野鳥が部屋に飛び込んで来た時は保護すべきか、爪に変なバイ菌をもっていないか、頭では過去に見たネット記事を高速で検索していた。
目の前をわっさわっさと揺れている白い羽の塊は、全方位を羽が覆っていて、どこが頭かわからない。
この間、2〜3秒だっただろうか。4秒を数える前に、私は声にならない声を出し、上半身を激しく動かして、鳥のようなものを振り落とそうとした。
その時、羽の中から毛のない鶏のような生き物が飛び出し、私の素肌に張り付いた。
着替えの途中だったので、片方の肩にかけていた下着がしどけなく床へ落ちる。
その皮膚の冷たさとペトっと張り付く感触に、私はかん高い叫び声を上げていた。
しかしその声は、喉の感覚に反して自分の耳に遠く聞こえた。
そう、今度は水かきのような手が、私の両耳を覆っていたのだ。
私は、自分の頭を両手で挟み込むソレを、真正面に見た。