俺がやるからいい!!
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授業の終わりのチャイムが校内に響く。それを機に生徒達が一斉に廊下に出てきた。とりわけ、後一限を終わらせれば今日の授業は全て終了である。その思いからか、廊下では放課後の予定を話す者達の声が耳に届く。
そんなどこか楽しげな声が上がる生徒の前を通ると、決まって口を紡ぎ沈黙しては俺に視線を送る。
カフェテラスの一件から一週間が経過した。あの後、教頭に呼ばれ、こっぴどく怒られたものの、相手が最初に手を出して来た事を、パドリックと、フラッグが証言してくれたお陰で、退学を免れた。
まあ実際、それなりに名のある家柄の人物を凹ってしまったのだから、それなりの覚悟はしていたが、結局それ以降はお咎め無しで今日に至。ただ、以前にも増して、周りの視線を感じる。それは自身の所行のせいと理解はしているものの、ただ今の状況はそれだけではないように思えてしかたがないのだ。思わず眉間に皺が寄る中、背後から声が掛かる。
「後一限で今日も終わりだね。ねえ、セルリル。放課後はまた図書館かい?」
「……」
「どうしようかなーー 私も一緒に行っても良いかい?」
「……」
「にしても、相変わらず、先生達も君に対するあたりが強いよね」
「っっおい!! いい加減にしろ!! さっきから五月蠅いんだよ!!」
「そう?」
振り向きパドリックを睨む。すると彼はいつもの様に首を傾げる。その姿に俺は溜息を溢し前を歩いた。
(異様なまでに視線を集める原因の一つがアイツなんだよなっ)
と言うもの、一週間前に初めて話して以降、パドリックが俺の背後については一方的に話してくるのだ。彼曰く、俺と一緒にいる事で、女性陣が群がらずに済むという事らしい。
(俺は護衛じゃねーよ)
そんな思いが沸々込み上げる日々が続く。しかし、俺の胸の内を理解する彼ではない事も理解している為、極力無視をしている状態だ。そんな状況が故に端から見れば尚の事、奇異に移るのであろう。
(どうしたらいいだよーー)
思わず内心で絶叫する。そんな中、自身のロッカーへと向かうと、フラッグが視線に入った。それに気づいた彼がやんわりと笑みを浮かべる。
「セルリル君。パドリックとだいぶ仲良くなったみたいだね」
「フラッグ。そう見えるかい? 嬉しいねセルリル」
「は? どんな脳変換すればそう見えるんだよっ」
「ははは。そうそうセルリル君。これ例のノート。後」
そう言うと、フラッグがノートの上にタイタップを置く。それは、この学園の校章である。常日頃からつけるよう校則に記載があるよだが、俺はつけたためしがない代物であり、彼の意図が読めず顔をしかめた。そんな俺を余所にフラッグが話を続ける。
「先日の件で、ライナム先生に尚の事目をつけられているだろ? 多分少しの事でもえらい剣幕で言ってくると思うからさ」
「で? 俺は一向に構わない」
「セルリル君はそうかもね。でもクラスメイトがやっぱり恐縮しちゃうんだよ。あの先生結構圧強いし、強制的な所あるだろ? だからっていうわけじゃないけど、従わざろえないっていうか脅迫概念を植えつけられちゃってるクラスメイトも多くて、違う意味で怖がるっていうか…… それも踏まえてクラス内では穏便にしたいかなって思ってね。それに一年のうちは学外出る時も制服じゃないといけないから」
「別に。俺はっ」
『どうでもいい』と口にしようとした所で背後で話を聞いてパドリックがタイタップを手にすると、俺の制服の襟を持つ。
「お、おいっっ」
「つけるのが面倒なんだね」
「は?」
「私がつけてあげるよ。それにこれ一個つけるだけでクラスの平穏が保たれるなら良いじゃないか」
「だからっっ、俺は」
「一回つけちゃえば、それ以降取り外ししなくていいんだし、第一セルリルの手を煩わしてるわけじゃない。なんせ私がやろうとしてるんだから」
「や、やめろっ、そんな事お前にされたくないっ」
数年経てば社会人になる年齢だというのに、幼児にする様な態度をされるなど、羞恥極まりない。俺はすぐさまピンをパドリックからひったくると、すぐさま襟へとつけた。
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