君って人は
遊びに来て下さり有難うございます。
「二アグラ。なぜ御主の様な優秀な者がこんな事を……」
「…… 陛下はお優しすぎるのです。御身自らを省みる事なく、国民の為、王太子殿下、王子殿下方の為、あらゆる者為に尽力しようとしている姿が、家臣として、嬉しく思います。ただ、周りの事を気にするあまり、王自らを労う事のない現状に疑問が生じました。そんな中、エリス王妃が亡くなって以降、その慈愛に近い思いに拍車がかかり、特に王太子殿下、王子殿下方に対してより一層その思いが増していった様に感じます。その気持ちもわからなくもありません。御子息方も陛下に似て、寛大で、心根の優しい方々です。陛下はその性分を重々承知しておられた上、また王たる重責を知っている事で、御子息がそれに耐えうるのか、事あるごとに口にしておりました。自分は、その事で悩み続ける陛下を見るに耐えられなかった。陛下の憂いが少しでも軽くなるのなら何でもしようと思ったのです」
「それが我々の抹殺なのか?」
「そうで御座いますゼダ殿下。陛下の宰相であり私のとって唯一無二の主人…… そんな陛下がここ数年他の何よりも危惧の念を抱いておりました事。たとえ極論且つ、正道を外れた行為だとしても…… 」
「二アグラ……」
「では、二アグラ宰相はあくまでも陛下のためにやったと言うのですか?」
「…… タスラム殿下。愚問です」
「なら、何故それを私達に相談してくれなかったのですっ、そうすれば、こんな騒ぎにならなかった。もっと、違うやり方で解決出来た筈です!! そんな事の為に、命を失いっ人生を狂わされた者達がいるのです!!」
「多少の犠牲は致し方ない事だと……」
「よくそんな事を抜け抜けと言えますね!! あなたのその傲慢且つ、我執的思考のせいでっ、私の友人達はっ!!」
憎々しい思いが籠もる言葉を口にし、タスラムは強く拳を握りしめる。背後から漂うオーラは確実に怒りという文字しか浮かばない。だが、彼はただただ、宰相を睨み、強く握ぎる拳を震えさせているだけだ。
(本当、ここだけは宰相に同意だな)
思わずほくそ笑み、俺はずっと背後に立っていたポジションから一気に移動する。そして宰相の隣に立つやいなや、彼の片腕を掴み上げその場から強引に1、2歩足を進めさせる事刹那。俺は片手に拳を作り、宰相の頬にめがけ、一発打ち込む。すると、彼はよろめきながら、数歩後退した。そして、宰相が何が起きたか分からないと言った表情を浮かべ俺の方を見る。と同じくして講堂に居た全ての視線がこちらに集まる中、俺は兜を少し上げ、宰相を見た。
「何だそのツラ。散々好き勝手な事した挙句、言い様に人を振り回しやがって!! フン、タスラム同様、俺にだってあんたを殴る権利は持ち合わせてるからな。まあ心優しい兄弟には人を殴るなんて出来ねーだろうし。でもなあ周りが思って以上に王子達は腹括ってるんだよ!! そんな事が近くにいてわからなかったとはな!! 大層な役職のわりに鑑識眼なさすぎで呆れるぜ!!」
「…… 君って人は……」
タスラムがボソリと呟く。そんな声の方に視線を向けると、瞳が潤み随喜に満ちた表情を浮かべている。かたや俺の顔を見た宰相が目を見開く。
「君は……」
俺は宰相のその言葉にニヤリと笑い、指を鳴らす。
「とりあえず、殴り足りないな。もう数発殴らせろ!! その後で氷柱に閉じこめてやる!!」
「ちょ、ちょっとっ、それは駄目だよ!!」
「うっせーー タスラム止めるんじゃねーー お前等が殴らないなら俺が替わりにやってやる!!」
「その格好でそんな仕業はやめてくれ!! 兄上に面目がたたない!!」
「フィフィフィ、若いのーー ほれ木偶の坊。お前も止めに入れ」
「いや、もう勘弁してくれっ」
そんなデルスタインの嘆きの声が耳に届く。俺は再度ほくそ笑むと宰相に突っ込んで行った。
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