出陣
遊びに来て下さり有難うございます。
「遅い!!」
王城の一階。中庭に繋がるテラスがある一室。ここは日頃、国賓のお付きの者が滞在する広めのコネクティングルームであり、国賓がなければ使われる事のない場所。そこで椅子に座って待つ魔女とデルステインがいる。かたや俺は窓際に立ち外を見ていると、テラスを行き来できるドアから人が入ってきたのだ。俺はそいつ等を睨む。
「ゴメン、ゴメン。ちょっと時間とっちゃったね。でも完璧に騙せていると思うよ」
「ったく。当たり前だタスラム」
「はいはい。それにしてもセルリル…… ちょっと後ろ向いてくれる?」
「はあ?」
「確認だって」
俺は渋々その指示に従い背を向ける。すると、感嘆の声があがった。
「背後だけなら兄上と変わらないな」
「うん。うまく化けたね」
感心の言葉を口にする兄弟の方を振り向くと同時に睨みを利かす。
「それよりも、時間ねーぞ。会議はも始まってんだ」
「それもそうだね。セルリルはもう支度はほぼそれで終わりだし、ゼダ兄さん。私達も」
すると、隣の部屋に移動する事暫し。ゼダが兜を片手に抱えて、全身シルバーの甲冑に金の刺繍を施こされた純白レグルスマントを着用し現れた。かたやタスラムはゼダのマントと同色の上下正装の装いで、上着は膝のあたりまである。またターコイズブルーのアスコットタイをし、アラミスケープを羽織っていた。
その姿に、椅子に腰を下ろしていたデルステンが数回瞬きをした。
「やっぱりこう見ると圧巻だな」
「当たり前じゃ。木偶の坊とは素から雲梯の差じゃわい。だがその格好だと尚の事泊が付くのう」
「面と向かってそう言って頂けると嬉しいですね兄さん」
「そうだな」
「おいっ、何かおかしくないか?」
「どうしたんだいセルリル」
「何でお前、甲冑じゃねーだよ!! 俺はこのわけのわかんねー長い服の下に着てんだぞ!! しかもその上からマントまでっ、暑いし重いしどうにかしろ!!」
「それはしょうがないよ。王家は成人になった証しとしてその人物にあった甲冑をあげるからさ」
「じゃあ俺だってっ」
「でも、今はセイレーン兄さんの代役やってるんだからしょうがないよ。それに兄さんは防御魔法が得意だから、いかにもっていう甲冑じゃないでしょ? ほら、クーターからはないし。それこそゼダ兄さんの方がフル装備だよ」
「はあ? 突っ込みどころはそこだけじゃね!! 服の丈もどうかしているっ」
「ゴッドフラツイルケープだし、兄さんの方がセルリルより長身だから」
「うっせーー 今はそうでも俺は学生のうちに180以上にはなるつもりだっ」
「はいはい、とりあえずセルリルの机上の計算を聞いたところで……」
タスラムがこちらをマジマジと見ること暫し。何かを思いしたとばかり表情を浮かべ、慌てて先の部屋へ戻ったと思いきや、直ぐに俺の前までやってくる。すると、いきなり俺の頭に兜を被せた。
「あああっ、もうっ何だよ!!」
「ごめん。肝心な物を忘れ所だったよ。セルリルはこれで完成。とりあえずこの兜はツバも大きい方だし、両頬に防御用プレートもついてるから、深く被れば、口元しかわからない。即ち、顔を覗きこまれなければ及第点セイレーン兄さんってわけ」
「ったく!!」
まあ確かに、髪型はどうにか、黒に染め寄せる事は出来たが、顔だち等は流石に無理。以前タスラムが使っていた眼鏡も日頃、かけていなければ返って目立ってしまう。なので、当初からどうするのかと疑問を抱いていたが、こういう事だったのかと理解すると共に、深い溜息をつく。そんな中、最終確認が始まった。
「とりあえず、こちらからドアノックし、リンザルド公爵の者に出る合図をして、それが整った所で相手からノックが返ってくる。そうしたら移動、貴族会議中の講堂に乗り込む感じかな。この会議には今回の一連の事を話し合う会議で王も列席していて、爵位持ちも一同に介してるんだ。その中で、今回騒動を起こす事になるんだけど、いくら切り札の魔女さんがいらっしゃるとはいえ、危ない橋をわたる事には変わらない。まあ、私達が失敗する筈がないけど、もしもの時の為、セイレーン兄さんを、別邸に向かわせていますしね。それに今は別邸の方が安全。それに兄さんに同行しているのが、レナウド隊長だから何も心配いらないし、兄さんもそれなりに魔法強いからいざとなればどうにでもあちらで対処出来るしね。で、魔女さん今はどんな感じ?」
その言葉に俺を含め全員が魔女を見る。すると、テーブルの上に古びた地図のような物が広げてあり、地図にはこの周辺の都市の名が記されていた。その図面の上を金色に光る三つの点と共にその横には3兄弟の名が浮かびあがり、ゆらゆらと動き移動している。しかもその点は地図の別邸の記された場所へ移動していた。
「うむ。そろそろセイレーン殿下も別邸に着きそうじゃ」
「そうみたいですね。でも助かりました。この地図のお陰で主犯と同じ情報が共有できましたので」
「なーに。素は拙老が提供したもんじゃ。しかも仕様もまるっきり同じじゃからな。あの核の情報をこの地図にも反映させれば良い話。何の問題もない。まあ後は、どさくさに紛れ木偶の坊が主犯の者が所持している地図のありかを聞き出すのみじゃ。が……」
「な、なんだよっ ばーさん」
「木偶の坊。少々震えておるのか?」
「おっさん。びびってんのかよ」
「っなわけねーだろっ」
「そのわりには顔色悪いですよ。デルステインさん」
「ははは。粉骨砕身させて頂きます」
そう言い。肩を落とす彼が視界に入る。それと共に、タスラムが地図に目を落とす。
「もう頃合いですかね」
すると、次男が、ドアを数回ノックする事暫し。返答のノックが返ってきた。
「さて、皆さん行きますか。大舞台に」
「はあ? タスラム。大博打の間違いだろ?」
「ははは。こんなギリギリでもセルリルは変わらないね。まあそうでなくちゃ。兄の替わりはつとまらないか。じゃあ私、ゼダ兄さんが前。真ん中に魔女さんと、デルステインさん挟んで、セイレーン兄さん扮するセルリル最後尾。後、講堂に入った所で、警備兵に多分囲まれるとは思うけど、その中に、リンザルド公爵の配下が数人潜んでいるから手助けしてくれるから」
「では、互いに健闘を祈る」
そう次男がこちらを向き声をかけると、ドアを一気に開く。そして颯爽と歩き出す。それに続くように想定通り配列を組み闊歩する。
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