親として
遊びに来て頂きありがとうございます。
その言葉の直後、ドアがノックされる。俺はすぐさま下を向き、タスラムは椅子の方へ向かう。すると、複数の足音が耳に届く。俺は後ろに手を組み指示通り、顔をあげずに居た。すると、案の定宰相らしき男の声が響く。
「セイレーン殿下。あの者は一体」
非常に通る声であると共に、声色だけではあるが厳格さを感じる。そんな宰相の質問に、長男が口を開く。
「彼は私が個人的に城外の様子を調べてもらっている密偵なんです。ここ最近、城内外物騒な話しを耳にしているので気になってしまいましてね。それに関して今、話しを聞いていたんです。勿論彼自身素性もはっきりしてる人物なので、二アグラ宰相のご心配には及びません」
「だとしても、王の御前だというのに顔を隠している行為は是認しかねます」
「そうですよね。本当ならとるべきなんでしょうけど、今回の任務で酷く顔を負傷しまったんです。そんな状況を私が知らず、直ぐにでも話しを聞きたいと言って。なので治療出来ずここに赴いてもらったという背景があるんです。またあの者もそんな素顔を王に見せるなんて憚る行為になると申してああいう装いを…… なので今回は大目にみてくれないでしょうか、二アグラ宰相?」
「だとしてもっ」
「良いではないか二アグラ。彼も王太子の為に負傷してまで尽くしてくれているのだ。そのぐらいの恩義をかけても問題なかろう」
「…… 陛下の御心のままに」
「ふむ。じゃが、城外に使者を送ったと言う事は御主達も何か予兆じみた事が身の回りにあったのか?」
「いえ、ただ、従者達の話しが耳に入るぐらいです。今までも不穏な話しを耳にいた事はありましたが、ここ最近異様にそういった類の話しを聞くものですから心配になりまして」
「そうか…… なら良いのじゃが…… 今もこうやっていきなり御主達に会いに来たのも、セイレーンの察しの通り、城内外が剣呑でな…… それこそ御主達は立場が立場じゃ。矢面にされる事も多いじゃろ」
「だとしても父上、この星の下に生まれた身。私達はその立場を理解しております」
「じゃとしても、御主達に何かあってはエリスに顔向けできん……」
「父上……」
「そこでじゃ。2週間後、御主達3人はこの状況が落ち着くまで、キリナムの別邸に滞在してほしいと思っておる」
「それは…… 決定なのですか?」
「うむ。二言はない。急な話しとはわかっておる。先もセリテリアにも相談したが、手厳しい事を言われた。しかし今回の事はわしの我が儘じゃ。何を言われようがしょうがない事。息子達よ、どうか王としてではなく親としての気持ちを汲んでもらえんじゃろうか?」
暫しの沈黙が流れる。そんな中、長男が溜息をつたい。
「わかりました。父上に意志に従います。ただ、我々もそれなりに成長をしております。ですので、何かありましたら、若輩者のではありますが、お力添えさせて頂きたいと存じます」
「うむ。有り難い言葉じゃ。では二アグラ」
「はい。では殿下方に先日回収しましたこちらを、再度お持ち下さい。また前回同様。片時も離さぬようお願い致します」
「承知しました。二アグラ宰相」
「では、陛下。この後に予定がございますので、本城の方へ」
「わかった」
すると、人の動く気配がする。俺はそのままの姿勢で尚も立ち続けた。その時だ、
「セイレーンの配下の者よ」
王が声を上げる。明らかに俺の事だ。一瞬息が止まる。そんな中、王の言葉は続く。
「すぐに治療をうけるのじゃよ」
それに対し声を出す事も出来ず、深々と頭を下げる。すると、多くの者達の動く気配が続く事暫し、部屋に静寂さが戻った。
(もう、良いのか?)
足下しか見ていない俺には今の状況がわからない。その時だ。
「セルリル大丈夫だよ」
いつものタスラムの声がかかる。俺はすぐさま膝掛けを勢いよく外し、前を見た。すると、当初会った時と同じような表情を浮かべる3兄弟が俺を見ていた。
「セルリル。ご苦労だった」
「うん。よく頑張ったよね。私もどうにかうまく誤魔化せたみたいで良かったよ。でも一番はタスの膝掛けの案かな。あれは秀逸だと思うよ」
「セイレーン兄さん。私もそう思います」
「おい!! 何自画自賛しあってんだよ!! 第一、最後の最後であんな局面になった俺の身にもなれ!!」
「いやーー あれはびっくりしたよ。私も助け舟出し損ねちゃったし。私自身ハラハラしたよ」
「タスラムーー 思ってもない事言うんじゃねーよ。にしても、あの王にしてこの兄弟ありだな本当っ」
そう捨て台詞を吐いた所で、またしてもドアがノックされる。俺は身構え、セルリルと、ゼダも音の方を見る。
「どなたですか?」
落ち着いた声で長男が声かけをすると、ドア口から声が聞こえた。
読んで頂きありがとうございます。
また、いいね、ありがとうございます!
日頃感想諸々お伺い出来ない為、
星、いいね!、感想(どんな些細なのでも構いません)
頂けると非常に有難く、励みになります。
もし宜しければ聞かせて頂ければ幸いです。
またワンオペ作業の為、誤字脱字諸々有り読みにくい事があるかと思いますが
ご了承ください&お知らせ頂ければ有難いです。
次回の更新は4月17日 20時30分以降の予定です




