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嫌な予感しかしない

遊びに来て頂きありがとうございます。



 予想だにしていなかった事で、一瞬彼のペースに乗せられ、引っ張られた事に俺自身で驚く。しかしすぐさま我にかえり、捕まれた手を外そうと試みる。が、外れない。それどころか先より強く握られている。俺と背格好は同に見えるのにどこからこんな力が出せるのか疑問しか沸かない。そんな彼の手から自身を開放しようと歩きながらもがく。しかし、そんな俺を余所に彼は俺を引っ張りながら歩かせ話を続ける。


「セルリル何食べる? 日頃食べてないのなら奮発して構わないよ。あっ、そうそう。私の事はパドリックって呼んでくれて良いからね。私も君の事セルリルって呼ぶから」


 そう言い振り向き破顔を浮かべる。その姿にふと、何かとだぶった感覚が脳裏を掠めた。

 が、今はそんな事よりも、この状況をどうにかしなくてはならない。俺は両足に力を入れ、歩みを止めると共に、クロスハンドで握られた手を下へと力を込めて振り下ろす。すると、彼の指先から、手首を外し、すぐさま腕を引く。


「いい加減しろよ!! それにお前はどうであれ、俺の名前を気安く言うな!!」


 彼の背後で声を荒げる俺を振り向き見るセドリックが、一瞬、見つめたと思いきや、肩で笑って見せる。


「何が可笑しいんだ!!」

「いや、セルリルもしかして照れてるの? なんだか可愛いね」

「照れてる? 可愛い? お前さ。さっきから何言ってんだよ!!」

「じゃあ良いじゃんご飯一緒に食べたって」

「だから、俺はお前と食べたくないの。わかる?」

「それがわからないんだけど」

「はい?」


(あーー これ完全にダメなタイプの人間だ)


 天然というより超弩級の空気読めないナリスト…… 最初の話から薄々わかっていたが、こんな輩はこちらが何をしようが、気に止める事などないのだ。


(こうなったら、しょうがねーか……)


 とりあえず、一回つきあえば気が済むかもしれないわけで、ここでこんな事を言っていても堂々巡りなだけである。兎に角今はこの手に負えない彼に俺という人間に興味を持たれない事が大前提。即ち、パドリックに自身と居る事でマイナス要素しかない事実を身を持って知ってもらうのが一番。


(まあ、あそこ行くとロクなこと起きないんだよな。前回の事もあるし。マジ行きたくねえーー)


 思わず、頭を一回掻きむしる。


「…… はいはいわかりました。さっさと食べにいくぞ。後、一言言っておく」

「うん」

「何が起きても俺責任とらねーからな」


 そう言いつつ、セドリックを一瞥すると、彼を追い越し、カフェテリアへと向かった。



 この学園には約1000人程の生徒がいる。その学生を想定してのカフェテリアは非常に広い。そんな空間は四方に大きめな窓があり、南側にはこのカフェ専用に整備された庭園が設置されている。その上、天井も高く、非常に贅沢な作りだ。そんな施設内には、様々なチェアーセットが用意されており、各好きな所を選び食事をしている。そんな中、俺はセドリックのお気に入りという、庭園側の屋外に設置されたガーデンテーブリセットを陣取っていた。その彼は俺の目の前でご満悦といった雰囲気を醸しつつ、ホットサンドを放馬っている。


「うん。ここのカフェって結構おいしいよね。にしてもセルリル。それで足りるの?」

「そんなに食えるか」

「だってポテトフライト、コーヒーって。組み合わせも微妙だけど、それって軽食だよ。ねえここのプリン。固めでおいしいだよ。食べてみるかい?」

「だからいいってっ!!」


 強めの口調で声を上げた時、背後から声が掛かった。俺はその勢いのまま、振り向く。するとウェーブ掛かった茶色の髪をサイド刈り上げた人物が、一瞬大きめな目を見開く。そしてすぐさまそれなりに整った顔に苦笑いを浮かべた。


「その覇気むき出っぽい感じは、やっぱり慣れないな」

「ふん。クラス長がいきなり声かけるからだろ?」

「ははは。御免。いや、諸事情で遅刻して今登校してね。まあ昼休みに入ったからここに直行して昼食選んでいたら、君と、パドリック君を見つけたもんだからつい」


 すると、いきなりパドリックの動きが止まり、俺の背後に立つ彼に視線を送る事暫し。首を傾げる。


「ああ。いきなり食事中に入ってきてしまったね。僕の事は……」


 そんな彼の問いパドリックは再度反対側に首を傾けた。


「最近編入してきたんだから無理もないか」


 すると、彼が俺の横を通り過ぎる。


「僕はフラッグ・アーバスト・ルファルド。君はパドリック・クラネリー君だよね」


 そう言うと、フラッグがパドリックの前に手を差し出す。


「君とクラスが一緒なんだ。まあイコールセルリルともだけどね。僭越ながらクラス長もやられてもらってるよ」

「ルファルドって、伯爵の?」

「ははは、肩書きはそうだけど、その事については気にしないで。学生の身分だし堅苦しいの苦手なんだ」

「そうなんですね。こちらこそ顔と名前覚えてなくて、申し訳無い」


 すると、パドリックも立ち上がり彼の手を握り、社交辞令が終わった所で、フラッグが俺等を見た。


「で、せっかくなので同席しても良い?」

「どうぞ」

「はあ? 何故そうなる?」

「ありがとうパドリック君」

「パドリックで構わないよ」

「じゃあ僕も、フラッグで」


 そういうと、俺とパドリックの間に彼は腰を下ろす。



読んで頂きありがとうございます。


日頃感想諸々お伺い出来ない為、

星、いいね!、感想(どんな些細なのでも構いません)

頂けると非常に有難く、励みになります。

もし宜しければ聞かせて頂ければ幸いです。 

またワンオペ作業の為、誤字脱字諸々有り読みにくい事があるかと思いますが

ご了承ください&お知らせ頂ければ有難いです。


次回の更新は3月17日 20時30分以降の予定です

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