大会当日
遊びに来て頂きありがとうございます。
(まあそれは追々わかるだろうけど)
そんな事を思い渡り廊下を歩いていると、前からライナムが教師用の黒いローブを羽織り、偉そうに歩いてきた。すると、俺の前で止まり、不敵な笑みを浮かべる。
「ふん。いつもながら太々しい態度だが、今日でその素行を改めてやる」
「それは俺に勝ってから言って下さいよ、ライナム先生」
そう言うこちらもニヤリと笑う。すると、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、鋭い視線をこちらに向けると、勢いよく俺の横を通りすぎる。その直後、背後から走ってくる音が耳に届く事刹那。
「セルリルーー」
数時間まで聞いていた声が俺の名前を呼ぶ。が、俺はそれを無視し、直進すると再度名を叫ばれ、足を止め振り向き、タスラムを睨む。
「おいっ、前も言ったが大声で名前を連呼するな!!」
すると、軽く息を切らした彼が俺の隣にたどり着く。
「じゃあ待っててよーー」
「何でお前の為に足止めなきゃいけないんだよ」
「冷たいなーー 数時間前まで一緒に居た仲だろ?」
「あれは、成り行きだろうが」
「まあそうだけど。にしても相変わらず先生に嫌みいわれちゃうね」
「ふん。いつもの事だからな。気にしてられるかよ」
「でも、今回は先生もかなり本気っぽいし、私の経験上ああいう人は最終的にとんでもない事とかしちゃいそうなんだよね。だからちょっと注意しておいたほうが良いよ」
「そんな事するわけねーだろ。明らかに俺の方が能力が上なんだからな。ものの数秒でケリつけてやる」
「はいはい。連携なんてあったもんじゃないから話もしなかったけど、言うまでもなく君が前衛になるとして、そのバッグアップするのは私なんだからね。少しは配慮してよ」
「配慮も何も、お前の出る出番なんてない」
「そうなら有り難いんだよね。なんせ目立ってはいけない立場だから。にしても、今日クラス集まらないでいいだっけ? 同じクラスで選出されたフラッグにもそれなりに健闘を称える言葉を掛けたいんだけど」
「そんな事することねーよ」
そう、選出の話合いの時。ちょっとした珍事があったのだ。俺と組む相手がタスラムと決まった直後、フラッグが俺と組みたいと言って挙手をしたのだ。何故そんな事を言い出したのか真意が不明であるが、その時の彼の言い分として、タスラムが立候補。それと共に、教師の即決といったスピード決定により、その間発言できなかったという。
まあ確かに、あんなに早く決まるとは俺自身、意外でもあった。そんな中での、ほぼ遅出しジャンケン的な感じもあり、彼の願いは叶わずで終わった形だ。そのフラッグは別のクラスメイトと出る事となっている。まあ彼もそれなりに能力の高い人物だ。支給されたローブもあるので、そんな大怪我をする事になる程の惨事にはならないであろう。
(アイツもタスラム同様、本当物好きだよな)
そんな事を思いつつ、隣を歩くタスラムがにんまりしながら彼自身を見ているのだ。いくらナルシストとはいえ、隣にいる俺もひくレベルであり、思わず白い目を向ける。それに気づいた彼が和やかに話し出す。
「いやね。ローブにかくれちゃてるけど、大会用の服が近衛隊のに似てるんだよ? 近くでは見る事はあるけど、袖を通した事がないから、新鮮な感覚があるだよね」
「…… 制服でも十分だろ? っていうか乗馬やる奴みてーな服でかえって落ち着かねーし」
「そうかい? 私はこっちの方が動きやすいかな。しかもこのバーガンディー色が良いと思うんだけど」
「知るか!!」
そんな事を言いながら、渡り廊下を抜け、学園のメインとなる玄関エントラスに足を踏み入れる。すると、高い天井から白地に金の縁取りがされ、その中央にはキンレンカが金刺繍された懸垂幕が靡く。その下を闊歩しエントランスを後にすると、視界の遠く先に正門に続く道が貫く。
その両側には一定の感覚をおいて、エントラスに掲げられていた懸垂幕を小さくした垂れ幕が設営されていた。そんな中、俺達はその道は通らずすぐさま左へ曲がると、大きな競技場が見えると共に、両側向かい合うように球体が目視出来た。競技会場は敷地内ではあるが、それ専用の競技場が屋外にある。なのでここまでくると大勢の生徒が行き交い始めていた。
そんな生徒の波に乗るように足を進めると、高く聳える壁と、懸垂幕が吊り下げられていた。そこを潜ると、今度は競技者と、一般生徒に別れ、案内板にそって向かう。すると、廊下を隔て一個ずつの戸があり、俺等は右の部屋へと入った。その室内には中央に大きな透明水晶が浮遊しがなら、会場の映像を流し、出入口付近にトーナメント表が水晶に描かれている。
また、部屋は窓がないものの、休む机や、ケータリングが置かれていた。思っていた以上に快適な空間だ。俺は、適当に空いてる席に座り、何気なく液晶を見つめる。すると、度々自身のローブと同色の腕章をつけている生徒が写り込んだ。あまり気にもせずそれを甘んじぼけっと見ていると、隣にケータリングから持ってきた飲み物を机に置きながら俺の横にある椅子にタスラムが座る。
「何だかクラスのみんな大変そうだね」
「はあ?」
「だって、ローブと同色の腕章してる生徒ってクラスメイトでしょ? 結構見たことある顔ぶれだから。まあおおかた風紀顧問の先生の指示なのかもしれないけどさ」
「よくあんな奴の言う事聞けるもんだな」
「みんながみんなセルリルみたいに我を通せるわけじゃないからね」
「何が言いたい?」
「うん。私もセルリルみたいな強靱なメンタルになりたいなって」
「はあ? ある意味お前も強靱だと思うがな」
「そう?」
あっけらかんとした顔で答える彼を一瞥し、再度画面へと視線を戻す。忙しく動き回るスタッフと共に、観客席にはクラス単位で集まっているらしく、それぞれの色の幟を掲げている。そんな中、一際白い場所があった。どうやらあそこが来賓である王族とやらの席なのであろう。まあ本当なら隣でのほほんと座っている彼が居るはずの場所だ。
(本当こんな所で茶飲んでる場合じゃねーだろ)
そんな思いから自然と彼に視線を戻した。するとそれに気づいたタスラムが小首を傾げる。
「なあ、今日の来賓で誰?」
「リンザルド公爵だよ。王妹殿下の旦那にあたる人。すごいおっとりだけど良い人だよ。私の学童期によく遊び相手をしてくれたんだ。今度機会があればセルリルにも紹介するね」
「しなくて良い」
「えーー」
そんなボヤキの声を上げるタスラムを余所に、俺はトーナメント表に視線を向けた。まあどうこの表を作成したか知らないが、俺達は開幕第一試合で、初っ端から3年と対戦し、その後、勝利すれば担任とあたる。一週間前に知り得た事だが、何らかの関与があったとのではと疑いたくなるカードだ。そんな表を俺は暫く見つめていた。
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次回の更新は4月1日 20時30分以降の予定です




