晴天の霹靂
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先の俺の話などどこ吹く風といった彼の態度に、反応するにも疲れ、言いなりのまま、張り切るパドリックの後を歩き始める。その道は高い建物に囲まれおり、夕刻ということもあり暗く、先に人影も一切ない脇道。耳には活気ある声が届くものの、この道はひっそりとしている。
そんな道を歩くことつかの間。空気の不可思議な動きに一瞬足を止めた。それは前を歩くパドリックも気づいたらしく。歩みを止め、振り向く。
そして彼と共に周りを見回して寸刻。進行方向の地面から2メートル辺りがいきなり光り出す。その直後、両手が鎌の灰色の二足歩行物体が現れたのだ。それは青白い大きな目を暗がりの中、光らせこちらを見ている。そんな光景に思わず自身の目を疑う。それは俺の前にいるセドリックも同様だったらしく、彼が、信じがたいといったような表情をこちらに見せた。
「ねえ。あれって」
「デッドマンティス以外のなにものでもない……」
「…… だよね」
互いに半信半疑といった表情を浮かべている事刹那。前から殺気を感じ、両側に飛んで避けると、石畳に一直線の傷がつく。その情景を一瞥すると、目の前のセドリックが、俺に視線を送る。
「セルリル!! そのローブ早速使ってみよ」
確かにそれは得策である。すぐさま持っていた袋から一着取り出し彼に投げ渡す。そして尽かさずそれを羽織った直後、マンティスが間合いを詰めてくると、鎌を一気に振り下ろす。すると四方と頭上に黄色の円状の魔法陣が現れ、魔物の攻撃を弾き返えした。それと共に、マンティスは背後へと後退しつつ、尚もこもちらに視線を向ける。
「とりあえず、機能するみたいだね」
「何暢気な事言ってやがる!!」
「今の発言は、セルリルが正しい」
学園に入ってから初めて聞いたような冷静且つ、何かを重んじる様な声色のセドリックに、一瞬驚き彼に視線を向ける。すると、いつも飄々としている雰囲気は微塵も感じず、替わりに険しい表情を浮かべている様に見えた。
(まあ、この状況だししょうがねーか)
それにしてもどう対処するべきだろうか? 模索しつつ、目の前の敵を見る。すると、セドリックが俺の名を呼ぶ。
「セルリルは、魔物と対峙した事ある?」
「ねーわけじゃねーけど。数回ぐらいだな」
「因みにマンティスとの交戦は?」
「ない。本では見たが、実物は初見。お前は?」
「一度ぐらいかな。でも私以外の者が対処してくれたから、倒した事はないけど。弱点はわかるよ」
「何だ。教えろ」
「まず、魔物って一発で全身を消滅させられるなら、何の魔法でも構わないけど、ただ、ここ街中だし、道も狭いから、容量の大きい魔法はつかえない。そこで、マンティスの弱点なんだけど、骨格は見て通り、甲冑みたいな強度があるだよ。でも細い腹の部分は他に比べて軟弱だよ。だからそこを狙えば倒せるね。ところでセイルリルは光魔法とかも仕える?」
「多少」
「じゃあ。それ魔物にはかなり有効」
「簡単に言ってくれるな。光は闇に次いで面倒」
「でも、出来るんだね。じゃあ私がアレの攻撃の防御に徹するから、スパっとやっちゃってよ」
「ったく。勝手に話進めんなっ!!」
「ほらっ、セルリルそんな事言ってるうちに、マンティスまた来そうだよ。でも私がいるんだから大丈夫」
そう言い、彼は俺の肩に手を置き、笑みを浮かべる。すると、また昔のビジョンがだぶると共に、今度はある人物が脳裏に過った。その者なら今までの言動に合点がいくのだが、はっきりと言いきれる決定打がない。
(まさかな…… にしても根拠のない自信あり過ぎだろ!!)
内心で絶叫しているい最中、セドリックの言葉通り、魔物が、羽を広げ、頭上へ数メートル飛ぶ。そしてこちらへと突進してくると、数回鎌を振り下ろす。すると、先程同様石畳に切り傷がつき、こちらにもその風圧を感じる。が、ローブの防御魔法が発動し、それを防ぐ。そんな中、マンティスはこちらに突入してきた。すると隣に立っていたセドリックの片手が光る。それと同時に頭上から直進してくる魔物の前に、地面から石の壁を形成させた。魔物はそれに鎌を数回突き立てると、片腕の刃が石壁に挟まり抜けなくなったのだ。俺はすぐさま、防壁から飛び出し壁面でもがくマンティスの真横に向かう。それとほぼ同時に両手を弱点である部位に標準を合わせる事寸刻。一つの魔法陣が現れ、その中央から一メートル程の光の剣が現れると、奴の腹部に向けてそれを放つ。すると、光剣は思惑通りのカ所に命中した。その直後、一回天を仰いだマンティスが黒い霧と化し瞬く間に散り、痕跡がなくなったと同時に土壁が壊れ、一回大きく息を吐くセドリックが視界に入る。
「やっぱり凄いねセルリルは。高等1年で光魔法をあそこまで形成できるんだから」
そういう彼の顔は先に見せた笑みは消え失せていた。目の前の魔物を倒したというのに、明らかに彼の表情が硬い。そんなセドリックは話を続ける。
「にしても…… 街に魔物が出るなんて…… しかもこんな街中で…… でも本当助かったよ。国民に怪我人を出さずに、穏便に事を済ませる事ができたからね。でも……」
彼が難色を示すのは理解出来る。というのも、人が集団で暮らす場所にはある程度魔物等を進入させない結界をはっている。ましてや、ここは王族が管轄している学園もある為、それ相応の防御システムが構築されている筈なのだ。そんな中での、今の出来事。俺自身も一瞬目を疑うインパクとがあった。
(ましてや、思い当たる人物だとしたら、こいつの場合、俺以上に深刻に捕らえている可能性はるかもな)
そんな事を思い、先まで戦闘場所だった道を再度見渡す。その直後、自身の斜め頭上から何かの気配を感じ、魔法を発動しつつ、視線を送る。また、その感覚はセドリックも感じ取ったらしく、俺と同じ方に目先を向けた。
「まだ、何かいるのかよ!!」
声を荒げながら、俺は先が鋭角になった氷の柱を数本その場所へと、飛ばす。すると、一つ大きな目をした3対の羽を羽ばたかせた焦げ茶の鳥が視界に入ると共に、氷柱の一本がその鳥の瞳に命中した。その直後。
『ギャアアアー』
人の叫び声に似た声があげた途端、鳥は煙となり消えると共に、気配も感じられなくなった。
「なあ。あれ何?」
思わず疑問符をセドリックに投げかける。そんな彼もまた、鳥らしきが居た場所を見つめたまま、苦笑いを浮かべた。
「わかったら苦労しないよ」
事の深刻さを滲ませた声色の言葉が発せられてから一刻の後、俺は両端に囲まれた道の頭上に広がる空を見つめる。いつの間にか瞑色になっていた空には星が数個光ると共に、風に乗り、人々の賑やかな声が耳に届いた。
その後は互いに特に喋る事なく、学園と戻る事となったのだ。あんなに行きたがっていた串焼きは後日という話はしたが、その間も終始セドリックの表情は堅いままだった。
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