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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

白い烏

作者: 優鈴-ゆうり-

とある所にめっぽう綺麗なカラスがいたという。

その鴉は綺麗な濡羽ぬれば色の羽を持ち、黄金の瞳を持っていたという。

その姿は他の鳥達、ひいては人間達など他の動物をも魅了した。

だがその鴉は、皆口々に綺麗という濡羽色の羽が、好きではなかった。

鳩や雀、異国の孔雀という鳥の綺麗な色に憧れたが、そのもの達はお前の羽の方が綺麗だと言った。

鴉はいつも疑問に思っていた。こんな黒い羽のどこが良いのだろうと。

ある人間にはこの羽のせいで殺されかけ、またある鷹にはこの羽のせいで暗がりに閉じ込められ日を見れなくなってしまう処だった。

そんなことを心に思いながら過ごしていたある日、あるカラスの長老にお前は綺麗な白い羽を持っていると言われた。

これまた不思議なことを言う長老様、此奴こやつの羽は綺麗な濡羽色なのだと長老の側近が言った。

すると長老は、はたまたおかしなことを言い出した。わしが見ているのはその体の羽ではなくそのカラダの羽だと。

その時点での鴉はこの意味がわからなかった。それが分かったのは皮肉なことに死んだ後だったそうだ。

体が自分の意思で動かなくなったその時、鴉のカラダは体から解き放たれた。

体の重みはなく、ただ心だけの軽い身体カラダ。その身体で空を飛ぶことはとても開放的で、

その鴉はいつになくはしゃいでいたという。そろそろ休憩をと思い池に顔を映すを仰天。

それはそれは鴉の体のような濡羽色の羽ではなく、輝くような白い羽に黄金の瞳。

その鴉はめっぽう喜び、黒い体の鴉に声を掛けた。

だが声は届かなかった。その鴉はいわば心だけの魂がポツンと残されたようなもの。

 そして気づいた。なぜ皆が鴉の濡羽色の羽を綺麗だと言ったのか。その色はまるで闇。しかし、光が当たればまばゆく光る。この世の宝石とてこんな色はないような代物だった。

その二つに気がついた瞬間、その鴉はひどくショックを受けた。

いつも気に入らなかった色がなくなった代わりに、皆に気づかれなくなりその色の綺麗さに気づいたのだから。

『ダイジョウブ。アナタ、カワレル。カワルキモチ、アルナラ。』

そんな声が聞こえた、声が聞こえた方を振り向くと何の鳥かはわからない。が、ただ神々しい鳥がいた。

『コッチコッチ。』

神々しい鳥はゆっくりと進んだ。それを追いかけようとその鴉も追いかけた。

そうして追いかけていると、不思議な場所についた。まるで時空の狭間とでも言うべきだろうか。

『コレ、輪廻転生リンネテンセイモン。フツウココロカラダ、ハナレル、イシキキエル。

イシキナイ、テンセイスル、記憶キオクキエル。デモ、イシキアル、記憶キオクキエナイ。

ソノカワリ、アナタ、後悔コウカイ、シソンタチ、ツタエル。ソレ、セカイ、ウタナル。ミンナ、キク。オナジ後悔コウカイキエル、ネガッテル。』

その鴉は決意した。この後悔を子孫たちに伝えると。そしてそれを伝え続けさせると。

そう決意し輪廻転生の門に入った。


と、言う昔話があったそうだ。

私が聞くには、私の曽祖父が鴉だった頃、幼い頃高祖父が彼の祖父に聞いたお話だそうだ。

本当なのかはわからない。...いや、本当なのかもしれない。

だから私はこの話を生まれてきたら娘や息子に話そうと思っている。

そしてこの昔話を貴方たちの娘や息子、孫にも伝えてほしいと。

少なくとも私はそう思っている。



⚠️このお話はフィクションです。実際起こったことではありません。祖父からも聞いていません。⚠️

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