3.「王国会議」
⚠この回では、「SKK 好きが加速するこの世界で」のネタバレを含んでいます。まだ、読まれていない方は、SKKを読んでからお読みになられることを推奨します。では、ご覧ください。
その時、時間が止まったのかのように、その場は、静寂に包まれたのだが、獅子丸が、
我王の発言に驚き、息を吹き返したかのように、一言呟いた。
「我王、本当に僕でいいの?何もできないよ。」
宰相が、付け加えて説明する。
「獅子丸様は、異世界の住人ですにゃ。吾輩等は、知らないことが多い故、教えていただきたいのですにゃ。成って頂けますかにゃ。獅子丸様。おっと、失礼しましたにゃ。国王補佐獅子丸様でしたにゃ。」
大臣達が、眉間に皺を寄せる。どうやら、獅子丸の事を客人だと思っていたらしく、納得いかないようだ。先程の、ボクシンググローブを付けた大臣が、質問する。
「軍務大臣、新世界だ。君は、この世界の者ではないのか。体格は細身だ、何もできない。と、そう言ったか。本当にそうか?試しにやってみてくれ。失礼。現在は、君より、立場が下だったな。ちなみに私はボクシングが得意だ。うーんと、そうだな。君は戦えるか?」
我王がインフィニティキューブを取り出し、軍務大臣こと、新世界に話かける。
「はっはっはっ。世界。これを見てくれ、これの使い方を教えてくれたのは、他の誰でもない。獅子丸だ。俺が鍛え上げる。これでいいか?はっはっはっ!」
「成程、相応しいな。その箱で何ができる?我が国王よ。」
我王は、その台詞を待っていたかのように、にやりと笑う。
「皆、目を離すなよ。『剣』『盾』『籠手』。」
その箱、インフィニティキューブは、我王の声に即座に反応し、剣になり、盾になり、最終的には、籠手に変化した。我王は、それを身につけると、大笑いし、皆の驚きっぷりを楽しんでいた。我王は深呼吸すると、口を開いた。
「この箱で、いや、このインフィニィキューブでこの世界を統治したい。」
「我が国王が仰るならば致し方ないことですね。獅志丸様の成長が僕は楽しみです。失礼しました。外務大臣の榊原典賢です。我王様、インフィニティキューブを貸して頂けませんか?」
「はっはっはっ。いいぞ。使ってくれ。」
我王が籠手になったインフィニティキューブを典賢に手渡す。典賢の名前を聞いた獅志丸が、驚いた顔で典賢に聞く。
「えっ!もしかして、作家の榊原典賢さん?あ、でも外務大臣ですよね。すいません。なんでもないです・・・。」
「獅志丸様、あなたにお尋ねしたいことがあります。あなたの世界では、僕は作家をしているとそうおっしゃいましたよね。そちらの世界の作家の僕は趣味とかあるんですか?」
獅志丸は少し思案し、、首を顎に近づけてから言う。
「えっと、ルービックキューブだったかな…?」
確か、なんかのサイトに書いてあったんだよね。ここの、榊原さんもできるのかな・・・?
典賢が言う。
「『ルービックキューブ』」
インフィニティキューブは、ルービックキューブへと変化し、典賢は、両手で、ルービックキューブの6面を見ると。何度か、頷いていた。
「なるほど、よくできてますね。回転と色の組み合わせ、面白そうですね。これ、バラして頂けますか?獅志丸様。」
典賢は、獅子丸にルービックキューブを手渡し、獅志丸はグチャグチャにしてから典賢に渡した。
バラバラになった、ルービックキューブを典賢は一瞬で解いてしまった。
「え、すご!やったことあるの?」
獅志丸が問うと、典賢は言葉を返した。
「構造が理解できれば誰にでもできます。おそらく獅子丸様でもできますよ。どうぞ。」
揃ったルービックキューブを典賢は獅子丸に渡した。
「僕は、いいや、大丈夫かな。」
獅志丸の隣に腰掛けていた、大臣が獅子丸に話しかける。
「僕は、財務大臣の数多京よろしくね。僕ね、この役職ってこともあるけど、数字が好きなんだよね。だって数字は嘘をつかないでしょ?獅志丸君の世界に数字の玩具とかあったりする?」
「『サイコロ』とかかな?」
獅子丸の持っていたルービックキューブは姿を変え、サイコロへと変化した。
「どれどれ貸してみて。」
獅志丸は、財務大臣、数多京にサイコロを手渡す。
「へぇ〜、1から6か、何が出るかな?」
おもむろに数多京はサイコロを振る。サイコロの目は1だった。
「なーんか、ありきたりだね僕は9が好きなんだけどね。このサイコロ?にはないみたいだし、1か些か面白味に欠けるね。ありがとね。我王渡しとくよ。」
サイコロになったインフィニティキューブを京は我王に渡した。
「京は9か、僕は3が好きだな。おっと、ごめん。内務大臣の三好青空だよ!よろしくね獅子丸君。」
「よ、よろしく。」
「これで紹介は済んだな。よし!まずはどこから攻める?白、赤、青。宰相はどう思う?」
「吾輩ですかにゃ?吾輩は西の国ホワイトカントリーが良いと思いますにゃ。」
「大臣共々に聞く。異論はあるか?」
「私も賛成だ。南にあるレッドフェザーは熱すぎる。」
新世界が応える。
「僕も賛成!東の国イーストキャピタルは空にあるし、いけないでしょ。常識的に考えて、あり得ないよね。」
数多京も異論はないようだ。
「宰相だっけ、ホワイトカントリーはどんな国なの?」
「雪国ですにゃ。"白帝"が居ますにゃ。」
「どんな人なの?」
「未知数ですにゃ。ラブノウズは情報網が未発達ですにゃ。わかりませんにゃ。誰が行きますかにゃ?」
獅志丸が、疑問に思う。問いかけた。
「ちょっと待って、北に国はないの?」
我王が答える。
「はっはっはっ!北は大海原だ。陸がない。国もないだろ。」
獅志丸は何度か頷いた。
宰相が言う。
「私は苦手にゃので、行きませんにゃ。」
典賢が即座に反応する。
「行きましょうか。我王様と獅志丸様と僕の三人で。」
青空が反応する。
「いいねぇ。僕は待ってるよ。ご武運を。御三方。ふふふ。3かぁ。」
会議は閉会し、三人は身支度を整えると、西の国、
白帝がいるホワイトカントリーへと向かった。
次回まで、どうぞよしなに!