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Love knows no boundaries 愛は国境を知らない  作者: 勘冴えて嬉しいわ
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2.「ラブノウズ」




城が見える場所までやってきた我王と獅子丸。その城は遠くからも分かるように古びていた。その城は、視界の中央に構えていた。気になった獅子丸が、目を凝らしながら、(たず)ねる。


「あれがそうなの?」


我王が、ほくそ笑んだ。そしてまた、いつもの如く、大笑いする。


「はっはっはっ!驚いたか?その通りだ。今じゃおんぼろだけどな。まあ、見た目を気にする必要はない。」


我王が獅子丸(ししまる)に体を向け、()った。


「え、でもさ、見た目って大事だよ。城が豪華絢爛なら、国民も支持率上がるんじゃない?」


と、獅子丸。


「はっはっはっ!確かにその通りかもしれねえ、だけどよ、本当に大事なのは、ここ。」


我王が、握り拳を作ったかと思えば、腕を自分の胸に近づけ、親指で指した。


「中身なんだよ。」


「あ、うん。」


獅子丸は、素っ頓狂な顔をした。


「そうだ。獅子丸言い忘れていたが、今日は会議がある。ぜひ、参加してくれ。拒否権はないからな。はっはっはっ!」


「へ?冗談だよね?」


え、ちょっと待って、ちょっと待って、僕、ここで言ったら一般国民だよ。我王は何考えてるんだろう。もしかして、何も考えてない?いや、そんな訳ないよね。にしては、スマホに対する理解、物凄く早かったし、どのくらい頭いいんだろう・・・。そう考えている内に、僕らは、城に辿り着いた。


城の門の前には、2人の門番が立っており、2人は、槍を地面に付け、矛先を天に掲げ、職務を(まっと)うしていた。


「今帰ったぞ。元気か?2人とも。」


我王が門番に挨拶する。

門番が応じる。


「獅子丸様ですね。どうぞ中へ。もちろんお元気ですy・・・・・・・・」


顔を上げた門番が、腰を抜かすほどの、声を上げた。


「はっっっっっっっ!!!獅子丸様が2人?何事ですか!双子だったのですか。」


「はっはっはっ。双子じゃねえよ。どっちも俺だ。これからは、俺は我王でいい。んで、こっちが獅子丸だ。」


獅子丸が応じる。


「あ、はい。僕が、我王獅子丸こと、獅子丸です。」


獅子丸も続けざまに返事をする。すると、我王が口を挟んだ。


「事情は他から聞いてくれ。俺らは忙しい。会議がある。」


「えっと、その、訳が分かりませんが、承知しましたっ!我王様、獅子丸様。どうぞ中へ。」


門番は困惑の表情を浮かべたが、顔が瓜二つだった為。通す他なかった。

門が開くと、奥に城の扉があり、眼前には、()()()()()()()が咲き誇っている、庭園が広がっていた。獅子丸が、その黄色い美しい花に、心奪われ、声を出した。


「我王。綺麗だね。」


獅子丸の発した声に、思わず我王が吹き出す。


「ぶふっ。はっはっはっ!やめてくれ。俺はハンサムじゃねえ。それに、自分で自分の顔褒めるなよって違うな。そういうことか。主語がねえぞ~。おそらく、花の事だな?」


「あ、ごめん。そうだよ。」


少し言葉が、足りなかったかな。にしてもなんで、この綺麗な黄色い花なんだろう。獅子丸が訊ねる。


「我王。なんで、この花なの?」


「おっ!いい質問だな。実は、俺の国ラブノウズは、国の色、つまりテーマカラーが黄色になっている。他にも国はあるんだが、ラブノウズは黄色だ。俺は(すこぶ)る気に入っててな。それで、この花にしたんだけどな。はっはっはっ!獅子丸も、気に入ってるみたいだな。きっと、城内も城内の連中も気に入るぞ。」


獅子丸は、色に関心を持ったのか、質問する。


「そうだったんだね。他には、どんな色があるの?」


「そうだな。()()()じゃなかったか?」


「へぇ、そうなんだね。」


国の色か・・・。僕の国は、赤と白だけど、なんで黄色なんだろう。確かに僕も黄色は好きだけど。


「いや、反応薄いな。まあ、いいけどよ。」


話してるうちに、2人は、城の前に立ち止まった。我王が、扉の金具を叩く。


「おーい。開けてくれ。俺だ。」


返事はない。


「おかしいな。誰もいないのか。」


我王は、王なのに、誰も返事しないなんて、おかしいな。どういうことなんだろう。


「あ、そういうことか。『俺の城の鍵』」


インフィニティキューブは、鍵へと変化した。我王は、その鍵を、扉に差し込むと、捻った。

扉は、古びているのか、軋みながら、耳を塞ぎたくなるような音を立てながら、開いた。


「お、開いたな。一応戻しとくか、『インフィニティキューブ』」


すると、そこには、1人、いや、一匹と言うべきだろうか。二足歩行の猫がいた。


「よくぞ戻られましたにゃ。その方は弟さんですかにゃ?」


「えっ!猫が立ってる!喋ってる!どういうこと?ていうか誰?」


初めて見る、一匹の猫に獅子丸は素っ頓狂な声を出した。


「はっはっはっ。驚いたか?内の宰相(さいしょう)だ!」


「そうですにゃ。吾輩は猫ですにゃ。名前はまだ、ないですにゃ。獅子丸様にそっくりですにゃ。

お名前は何ですかにゃ?」


「えっと、我王獅子丸ですけど。」


「にゃるほど、そういうことですにゃ。予言は正しかった訳ですにゃ。」


「えっと、我王ごめん。サイショウってなに?」


「知らないのか。俺がこの国の王ってことは覚えてるよな。つまり、俺はこの国の最高権力者だ。

宰相はその次だ。」


獅子丸は、仰天し、思わず声を出す。


「えっ!凄い人じゃないですか。なんて、お呼びしたら・・・宰相さんでしたっけ。」


「如何にもですにゃ。宰相で結構ですにゃ。」


我王が、会話に割って入る。


「宰相、俺のことは、我王と呼んでくれ。こっちは、獅子丸でいい。大臣達に伝えらえるか?」


「この後、会議があります故、その際に、お伝えしますにゃ。獅子丸様は会議に参加されますかにゃ?」


「え、いいんですか。ちょっと緊張しますけど、拒否権ないので、えっと、はい。」


いや、めっちゃ緊張するんだけど、僕一般国民だよね?大丈夫かな。


「はっはっはっ。悪いな。まぁ、参加したらわかる。気楽に行こうぜ。緊張する必要はないからな。」






場面は移り変わり、場所は会議室だった。そこには、7人掛けのテーブルがあり、一番奥に玉座と思われる、椅子(いす)があった。その、玉座からみて、右と左に、3つずつ椅子が並んでいた。もちろん我王は、玉座に座っていた。我王から見て、手前側に、宰相と獅子丸が座らさせていた。残りの4席には、大臣達が座っていた。一人は、腕を組んでいる。もう一人は、頬杖をついている。残り二人の大臣は、獅子丸を凝視していた。突然、宰相が沈黙を破った。


「それでは、これより、会議を始めますにゃ。最初に、獅子丸様、改めまして、我王様はこの通り、2人いますので、我が国王は、我王様。来訪者を獅子丸様とお呼びいただきますよう、お願いしますにゃ。何か質問はありますかにゃ?おっと、その前に、獅子丸様は存じ上げないため、役職と名前の紹介を大臣共々にお願いしますにゃ。」


背が高くボクシンググローブを付けた獅子丸の斜め前に座っていた男性、おそらく大臣が、口を半開きにした。と、その時だった。我王が、突然、声を張り上げた。


「待て!俺は、獅子丸を国王補佐に任命する!」


その場にいた、皆が開いた口が塞がらなかった・・・・・・。










次回まで、どうぞよしなに!

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