12.「我王とキメラ」
「これでいいか?俺は、誰も傷つけてないからな。ふふ。この世界の俺は、俺に似ていないんだな。我王。この世界の皇帝にふさわしい男よ。世界皇帝と名付けてみるか。」
我王は、笑いを堪えきれなかった。
「はっはっはっ!やりやがったよ。本当に凄えな。信じられねえよ。なあ、そうだろ?獅志丸。どうやったんだ?てか、演技上手すぎだろ!本当に、別次元の俺だと思ったぜ。」
「え、なんでわかったの?僕は輸血しただけ、白帝の力、炎帝の力、蒼帝の力。それと、我王の真似をしたんだ。ラブノウズにいる間。ずっとね。みんなから話は聞いてたから。」
「待てよ。獣化はできないはずだよな。どうやったんだ?」
「わからないけど、できたんだ。我王の血液は輸血してないよ。」
「なるほどな。獅志丸にも元からその力が備わってたんだろうな。凄えな。流石は俺だ。はっはっはっ!」
「髪はどうした?ストレスか?」
「あぁ、染料で染めただけ、雰囲気出るかなって。」
我王が、下を向きぼそぼそと呟いている。
「我王どうしたの?」
「あぁ、いや、なんでもねぇ、独り言だ。」
我王と獅志丸は、肩を組み、ラブノウズへと、歩を進めた。
「ねぇ、我王、僕飛べるけど、歩くの?」
「わかったよ。捕まるからよ。飛んでくれ。落っことすなよ!」
「もちろんだよ。もう一度確認しておくけど、世界皇帝になるんだよね?」
「…あったりめえだ!」
獅志丸は飛翔した。その体には、翼が生え、獅子が空を飛んでいた。彼らは、大地を目指し、大空を駆けた。
その間、僕は、我王に質問攻めにされたけど、質問攻めって、あまりいい心地がしないけど、我王は違った。僕の事を考えていてくれていた。その、言葉に、愛があった。やっぱり彼こそふさわしいなぁ。と、思いながら、僕は、翼を仰いだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ラブノウズに着いた、我王と獅子丸は、城の修復作業を終えようとしていた。
その場には、宰相もいた。
俺は、ここに着いた時、歓迎されたが、最後に勝利したのは、獅子丸だ。俺が、この世界の王に?
見当違いな気がすんだよな・・・
「おしおし、それでいいぞ。獅子丸。手伝ってくれ。城の修復だ。直せるか?」
「東西南北を、統治したからね。資源は揃ってるよ。」
古今東西から、集めた資源で、城は、元通りになった。
「おっ、これでいいな。完璧だ。なかなかいい出来栄えだな。」
「我王、これから、どうする?僕は帰るけど。」
我王は、何か考え込んでいる・・・
「なあ、獅子丸、今、国王補佐になってんだろ。その地位を他の誰かが、担う。もしくは、なくす必要がある。あの時みたいによ。会議開かねえか?」
「いいけど。」
その場に居た、宰相がその話を聞き、会議の準備に取り掛かった。今回の会議は、大臣達と、三皇帝、そして、宰相、獅子丸のメンバーだ。
「あぁ、ちょっと待て、獅子丸。最後によ。俺と喧嘩しようぜ。俺に勝ったら、元の世界に帰してやるよ。」
「いやいや、インフィニティキューブは、僕が、持ってるし、僕、いつでも帰れるけど・・・」
「うーん。わかった。今の王は俺だよな。しかも、世界皇帝だ。俺に、逆らうのか?国王補佐よ。はっはっはっ!」
「いいけど、僕、勝っちゃうよ?」
「先のことがわかるのか?やってみなきゃわかんねえだろ?それにだ、力を使うのはなしだ!もちろん、インフィニティキューブもなしだからな。行くぜ!」
「え?」
「行くぜ!」
我王は、獅子丸めがけて、飛びかかる。
次回まで、どうぞよしなに!