10.「獅子王」
「ん…ここどこだ?俺、どうなったけ?あぁ、そうだ、喰われたのか。積みだなこりゃ。」
ここは、冥帝、白い蛇の腹の中であった。真っ暗で何も見えない。我王は、獅子の姿のままだったが、液に塗れ、動く気力を失っていた………………………その時だった。我王が憔悴しきった顔で、目を瞑っていると、鎧が段々と変形し、黒い箱に・・・。
「が………」
「我王様…………」
「我王様。聞こえますか?」
「おぉっ!誰だよ。誰かいんのか?って本当に誰だよ!!って誰もいねーのかよ!!」
「私は、インフィニティキューブあなたを御守りします。」
「へっ!また喋ったよ。って、なんで黙ってたよ。どういうことよ。」
「私は、インフィニティキューブです。私の役目はあなたの願いを叶えること。世界を統治しましょう。現在は、危機的状況にあります。このままでは、大蛇の栄養分となってしまわれます。脱出、致しませんか。」
我王の頭は混乱していた。だが、インフィニティキューブと利害は一致していた。我王は、腹を括る。
「よっし!!!行くか!」
「では、一旦、四次元空間を開きます。これで、外に出られるかと。開きます。」
グワンと音がしたかと、思うと、我王と、インフィニティキューブ、冥帝の2皇帝の前へと、出現していた。
「はっはっはっ!獅子王。参上した!!」
「我王様、ご無事で、何をしたんですか?あり得ませんよ。我々、諦めてましたからね!」
と、外務大臣。
「国王、戻られたか、無事でなによりだ。」
と、軍務大臣。
「えっ、さっき食べたよね。なにこれ。魔法?」
冥帝・白は、驚いていた。
我王と、インフィニティキューブが同時に叫ぶ。
「発達した、科学技術は魔法と見分けがつかない。
そして、不可能なんてない!!」
「なんか言ってる。う~ん。あんまり美味しそうじゃないけど、食べちゃおうかな。ふふふ。」
シャアと、音を立ながら、白い蛇、冥帝は向かってきた。その口、我王を一飲みした。我王、さて、どうするのか。
「我王様。私に不可能はありません。お助け致します。」
その時だった、閉じかけた冥帝の大きな口が、だんだんと開いてきた。
「はっはっはっ!俺の筋力舐めるなよ。俺は世界を統治する者。獅子王ったら俺の事。獅子の筋力恐るるに足らず。」
我王は、冥帝の上顎と下顎を支えていた。
「インフィニティキューブ、俺にも不可能なんてない!俺は俺を信じている。できると信じている!!」
我王は、冥帝の口から飛び出すと、獅子になった出で立ちで、冥帝の頭を一殴りした。冥帝は震えていた。
「おぉおぉ、震える〜」
冥帝は余裕そうだ。曇った顔ひとつ見せない。
「くっ、効かねえか!インフィニティキューブどうする?」
我王は、為す術がないのか立ち尽くしている。
「我王様、お任せください。実は助っ人がいまして・・・」
「えっ!はっ!どういうことだ?誰だよ。大臣達か。宰相か?獅子丸か?それとも帝達か?」
「いえ、違うんですよ。行きますね。四次元空間開きます!」
グワンと音が響いたかと思えば、鏡のような、その円形の靄は、シルエットを映し出していた。
「呼んだか、インフィニティキューブ。この世を統治した者。我王獅子丸だ。おっと、別の世界か。よろしく頼む俺。」
驚いたことに、我王がもう一人現れたのだ。彼は、白髪で、瞳の色は水色だった。
我王に、そっくりだが、彼は、既に世界を統治していた。我王とは、似ても似つかない・・・
「初めまして~。どうも~。
じゃねえんだって、ややこしすぎだろ。俺?助っ人俺?ここは、全員集合して、ラスボス撃破ってとこじゃねえのかよ!」
「彼は、別の宇宙から来た、我王様です。大変強力な助っ人です。だれも、敵わないかと・・・」
「ちょっと待てよ、インフィニティキューブ。敵わない?それは、俺のセリフだ。間違いなく俺なんだな。なぜか、白髪だけどよ。老いたのか?俺。」
「違うな。キメラだ。我王。俺は、体内に異なる遺伝情報を持つ。まあ、見てればわかる。行くぞ、インフィニティキューブ。それと、我王、俺の事はキメラと呼べ。」
「お、おう。わかった。俺も共闘する。キメラ!!」
「承知しました。キメラ様。」
「邪魔はするなよ。『インフィニティスーツ』」
黒い立方体は、黒いスーツへと変化した。
「手加減はしない。冥帝達よ。『獣化』」
白い獅子へと、キメラは変化した。キメラは黒いインフィニティスーツを纏っている。
「おもしろいのう。どれどれ相手してやろう。」
「もう一人増えたね。食べちゃお。」
「――――俺は、負けを知らない。まずは、これで行く。」
次回まで、どうぞよしなに!