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幼馴染が「据え膳喰わぬは――」とか言ってくる  作者: 海ノ10
本編

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39話「身に覚えないんだけど」



 水着を選んだ後、数件の店を回ってからフードコートに来た僕たちは、少し早めの昼食にしていた。

 ちょうどお腹が空いてきたというのもあるし、僕が疲れてきたというのもある。

 僕は軽いパスタを、くるみはたこ焼きを買って、二人用の席に向かい合って座る。


「午後はどこ行く?」

「……まだどこか行くの?」

「んー、カラオケとか行っちゃう? 綾人の奢りで」

「行きたいっていうなら別にいいけど……」

「冗談冗談。行くかどうかはともかく、奢らせるわけないじゃん」


 と、くるみは笑ってたこ焼きを頬張る。

 全然奢るのに抵抗はないのだけれど。父さんから生活費は必要以上に貰っているし、祖父母からたまにお小遣いを貰ったりもしているので、溜まる一方なのだ。特に祖父母なんかは、「使うことないし貯金してるよ」というと露骨に悲しそうな顔をするので、むしろ使いたいまである。

 贅沢な悩みなのかもしれないけど……。


「ま、くるみの行きたいところに付き合うよ」

「でもあんまり無理して体壊しても……」

「これくらいで体壊すくらい脆弱じゃないからね?

 もし体壊しても、どうせ夏休みなんだし多少寝れば治るよ」

「治るからって体壊していいわけない。

 あ、そうだ。今思い出しだんだけど、寧々ちゃんからキャンプにって誘われてて、それに綾人と小野も誘ってって言われてる」

「寧々って……坂本さん? どうして僕と小野を?」

「んー? ああ、綾人は知らないのか。寧々ちゃん、小野のこと好きなんだよ。で、綾人誘えば小野誘っても不自然じゃないでしょ?

 あ、これ小野には言っちゃダメね」

「いや、流石に言わないけど……えぇ……あの坂本さんが小野を……」


 あの僕を女装させるような坂本さんがよりにもよって小野のことを……いやまぁ好きになっちゃったものは仕方ないけど、もっと相手は選んだほうがいいぜ。

 とはいえ、そういう事情なのであれば納得だ。僕も協力させてもらおうじゃないか。

 恩を売っておけば女装させられるのを回避できるかもしれないし。


「まぁ、協力させてもらうよ。いつにする予定なの?」

「来週末。キャンプって言っても、キャンプ場で小屋借りてわいわいするだけの簡単なやつ。みんなで焼肉とか川遊びとか楽しそうじゃん?」

「確かにね。行く予定あるのは、今のところ坂本さんとくるみと僕だけ?」

「うん」

「りょーかい。じゃあ早速聞いてみるね」


 僕はフォークを置いてスマホのロックを解除すると、ポチポチと画面を操作して小野にメッセージを送る。


「送ったよ」

「ありがと。ああ、そうそう。寧々ちゃんが必要そうなものリストアップしてくれたから、確認して」


 くるみは、そう言ってトーク画面のスクリーンショットを開いたスマホを僕に渡してくる。

 坂本さんから『必要な物一覧』という文が送られているのを撮っているのだが――


「僕にこの写真転送してくれない?」


 準備するときにもう一度確認することになるのだから、送ってくれたほうがいいだろう。

 

「あ、そのほうがいいか。わたし今たこ焼き食べてるから、自分で送っといて」

「僕もパスタ食べてるんだけど……まぁいいか」


 幸いにも、僕とくるみのスマホのOSは同じなので操作は殆ど変わらない。

 くるみのスマホをポチポチと操作して、画像をメッセージアプリを使って自分に向けて送信しようとして――気付く。

 このOSの写真アプリの仕様として、画像をメッセージアプリを使って送信しようとすると、送信しようとしている画像の前後に撮られた画像の一部が表示されるのだ。

 わかりにくいかもしれないが、要するに、送信したい画像以外にも少し見えてしまう。で、今回の場合その見えてしまった画像は――


「ねぇくるみ、なんか身に覚えのない僕の写真があるんだけど」

「っ!? み、見たの!?」

「見たというか見えてしまったというか……僕この写真撮られた記憶ないんだけど」

「き、キノセイジャナイカナー」

「絶対気のせいじゃない」


 そもそも写真撮られるのは苦手なので、基本的に写真を撮らせることはない。

 だから、僕が写真を撮らせたことは覚えているはずなのだけれど――どう見ても授業中に撮ってるよね、これ。


「あー、そのー、ほら、たまたま視界に入ったから」

「あれ? でもくるみの席からだとこの角度で写真撮れない気が――」

「あーあーあーあーあ、何のことかわからなーい」

「……これは余罪があるね」


 本当は人の写真フォルダを勝手に覗くのは趣味じゃないのだけれど、自分が盗撮されているのであれば話は別だ。

 スマホを奪い返そうとするくるみの手をかわしながら、写真フォルダをチェックする。

 すると、まぁ驚くくらい僕の盗撮画像が出てくる。中には僕とくるみが並んで写っているのもあるので、間違いなく第三者も絡んでいる。


「で、出来心でつい」

「意味わからないんだけど……って、僕の寝顔まであるし」

「無防備に寝るほうが悪い」

「なんだその理屈。ていうか、なんでこんな僕の写真あるのさ」

「いや、友達がふざけて送ってくるから、つい保存しちゃって」

「その友人は何故撮るのか。くるみも何故保存するのか……というか僕肖像権ないんだ」


 うっすらと思ってはいたが、もしかしてクラス内で僕の人権ってなかったりするのだろうか。

 いや、そんなことはないはずなのだけれど……


「あ、綾人が悪い! 全然写真撮らせてくれないんだもん!」

「流石にそれは無理がある。っていうか、なんで僕の写真撮りたいの?」

「ほら、思い出に写真いくらあっても困らないじゃん。青春なんて一度っきりしかないんだし」

「そりゃそうだけど……はぁ、わかったよ。やりすぎないなら好きにしていいから」

「え、いいの!? 全部消せって言われるかと……」

「思い出にとか言われちゃうと消せって言いにくいし。僕以外にそういうことしちゃだめだからね……?」

「しない」

「ならいいけど」


 別に「何となく撮られるのは嫌だ」という理由だけだし、嫌がってるのを消させるほどでもない。実害があるわけでもないし。

 まぁ嫌がってる人の写真を盗撮するな、という話ではあるのだけれど。知らない仲ではないし、咎めるほどのことじゃない。


 と、そんなことを考えていると、ふと思いついてスマホのカメラを起動する。そして、僕から返却されたスマホを見るくるみを捉える。

 何か感じるものがあったのか、顔を上げてこちらを見たタイミングで、カシャっとシャッターを切る。


「うん、撮れた撮れた」

「なんで急に!? って言うか消して消して! 普通のカメラで女の子撮っちゃダメ! 盛れる(・・・)アプリ使ってよ!」

「そんなの入ってるわけないじゃん。僕のこと勝手に撮ってるんだから、これくらいいいでしょ?」

「むぅ……」


 むくれるくるみだが、僕はそれを無視してパスタを食べるのを再開する。

 ……くるみのスマホに入ってたアプリで加工された顔より、素の顔のほうがいいと思うのだけれど。



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