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D・T転生  作者: 紫龍院 飛鳥
~異世界 入門編~
7/89

第5話 シャル・ウィ・ハント?

…翌朝、今日は朝早くから冒険者ギルド本部に向かって仕事の依頼を受けに行く。


「オカミさん、おはようございます」

「おやアンタ達!待ってたわよ!」

「はい…?」

「実はねアンタ達に他の冒険者から『共同依頼』を頼まれたのよ!」

「共同、依頼?」

「共同依頼というのはですね、他の冒険者やパーティーの人達と合同で依頼を行うことなんです」

「そう言うこと、ランクはDランクでアンタ達にはちょっと高めなんだけど、向こうがどうしてもってねぇ…」

「はぁ…で?どなたなんですか?その一緒にやる方は?」

「私達よ…」


と、そこへやってきたのは腰にサーベルを差したセクシーなコスチュームを着た紫色の髪をしたロングヘアーの女性とその後ろに控えた二人組の顔の似通った小柄な男達


「初めまして、私はDランク冒険者の『エレナ』こっちの二人は私のパーティーメンバーの『ダース』と『ゲース』よ」

「よろしくダス!」

「頼むでゲス!」

「ど、どうも…」

「あなたの話は色々聞いてるわよ、あの荒くれ者のタガロアを無傷で倒したそうじゃない?やるわね…」

「え、えぇまぁ…」

「それで、そんなあなた達を見込んで頼みたい仕事があるの、引き受けてくれるわよね?」

「え、えっと…」

「アンディさん、ここは快く引き受けましょう!今ここで恩を売っておけば後々ギルドでの活動もやり易くなると思いますし!それにエレナさんもアンディさんの実力を買ってくれたわけですし、無下に断るのも悪いと思いません?」

「う、うーん…分かりました、ちなみに…依頼の内容は?」

「依頼は『素材の調達』よ、まぁ詳細は行きながら話すから…取り敢えず、引き受けてくれるってことでいいわね?」

「は、はい…」

「そ、じゃあ行きましょう…ついて来て!」


言われるがままにエレナさん一行についていく。


エレナさん達についていきながら森の深くまで進んでいく


「随分森の深くまで来ちゃいましたね…私こんな森の深くまで来るのなんて初めてです…」

「えぇ…ところでエレナさんでしたっけ?そろそろ依頼の内容ぐらい教えてくださいよ、何の素材を手に入れればいいんですか?」

「そうだったわね、はいこれ依頼書」


エレナさんから依頼書を受け取って見せてもらう


「えと、『リーダーウルフの牙』?リーダーウルフって?」

「リーダーウルフはウルフよりも更に上の上位種、首が二つあるオオカミよ」

「上位種、ですか…そんなのまでいるんですね…」

「私も実際には見たことないですね…」

「そろそろこの辺りかしら?リーダーウルフの目撃情報があった場所は…」

「へい!この辺りで間違いないでゲス!」

「そう、もしかしたら近くにいるかも知れないわね…二人とも!いつ何が出てきてもいいように覚悟しときなさい!」

「はい!」


周囲を警戒し臨戦態勢に入る、するとそこかしこから獣の唸り声のようなものが聞こえてきた。


「…いますね、ウルフでしょうか?」

「えぇ、近いわ…油断しないで」


すると、茂みの中から数体のウルフ達が飛び出してきた。


「来た!」

「さぁいくわよ!」

「はい!」


全員で協力してウルフ達を蹴散らしていく


「…ふぅ、こんなところですね」

「多分また血の匂いを察知して仲間がくるわね…一先ず先へ進みましょう!」

「はい!」


更に森の奥へ進む、進んだ先でウルフに遭遇しては倒して先へと進んだ。


…そして、かなり森の奥深くへたどり着いた頃、今までのウルフとはまた別の獣の唸り声が聞こえてきた。


「…また獣の声?しかもなんかさっきまでのウルフとは少し違うような…」

「きっと…リーダーウルフね、いよいよだわ」


するとそこへ、首が二つあるウルフを発見した…間違いなくリーダーウルフのようだ。


「あれよ!」

「あれがリーダーウルフ…ホントだ、首が二つある」

「気をつけてくださいアンディさん、リーダーウルフは通常のウルフよりも三倍は強いって話です…」

「そうですか、どうします?エレナさん?」

「取り敢えず、私達五人で奴の周りを囲ってそれで一斉に飛びかかりましょう…正面は私が押さえる、ダースとゲースは両サイドを囲って!」

「合点ダス!」

「承知でゲス!」

「あなた達は後ろをお願い!」

「はい!」

「分かりました!」

「それじゃ作戦通りにいくわよ、くれぐれも気づかれないようにね…」


作戦通りに散り散りになる、僕らはリーダーウルフの後ろ側へ回る。


…全員が配置に着いたのを確認するエレナさん


「よし、今よ!」


合図とともに一斉に飛び出してリーダーウルフの周囲を囲う、リーダーウルフはびっくりして周りを見渡す。


「覚悟しなさい!リーダーウルフ!」


五人一斉に飛びかかる、しかし次の瞬間…リーダーウルフは目にも止まらない速さで僕らの包囲をくぐり抜けてしまった。


「なっ!?」

「速っ!?」


するとリーダーウルフは遠吠えをして仲間を呼んだ

仲間のウルフ達はすぐに駆けつけてきて低く唸り声をあげる。


「まだ仲間がいたか…」

「やれやれ、骨が折れるわね…」


するとリーダーウルフは何回か吠えると、ウルフ達は見事に統率のとれた動きを見せる。


「な、何!?急に動きが機敏に!?」

「リーダーウルフがウルフ達に指示を送ったのよ!文字通りアイツはウルフ達の司令塔、惑わされちゃダメ!リーダーウルフだけに集中して!」

「は、はい!」


そして、ウルフ達は一斉に僕達に襲いかかってきた。


「!?」


反応が遅れた僕達は思わず固まってしまった。


“ガキーンッ!”


すると、ダースとゲースの二人がウルフの攻撃を防いだのだった。


「ふぎぎぎ…」

「ダース!ゲース!」

「あ、姐さん!こいつらはオイラ達に任せてリーダーウルフを…!」

「…えぇ!あなた達!」

「はい!」


ウルフ達を二人に任せて、僕達三人はリーダーウルフと対峙する。


「グルルル…」

「いい?狙いはあくまでも牙よ、倒そうなんて思わないでね…」

「はい!」

「まずは私がアイツの気を引くからあなた達はその隙に牙を取って!」

「いえ、その役目は僕が引き受けます!僕が魔法で気をそらしますからその隙にお二人のどちらかが牙を奪取してください!」

「…分かったわ、くれぐれも無理はしないで!」

「お願いします!アンディさん!」

「はい!くらえ『ファイヤーボール』!!」


ファイヤーボールを後ろに飛んで避けるリーダーウルフ、すると次の瞬間、加速をつけて突進してきた。


「『グランドウォール』!!」


僕はすかさず防御魔法を発動し、リーダーウルフはそのまま壁に頭から激突して気を失ってしまう。


「えっ!?や、やった?」

「い、今のうちに牙を!」

「はい!」


リーダーウルフがやられたのを見て他のウルフ達は尻尾を巻いて一目散に逃げていく。


「…よいっしょっと!これで依頼は達成ね!」

「ふーっ、何はともあれ助かったわあなた達…」

「いえいえ、そんな…」

「さ、とにかく早く撤収しましょ!早くしないとリーダーウルフが目を覚ましてしまうわ!」

「そうですね!急ぎましょう!」


手に入れた牙をアイテム袋に入れてその場立ち去ろうとしたその時だった…

身の毛も弥立つような恐ろしい殺気が全員を襲った。


「…何?この殺気?」

「…分からないわ、私もこんな凄まじい殺気は初めましてよ…」


恐る恐る後ろを振り向くと、そこには首が三つもあるリーダーウルフの倍以上の大きさのウルフが迫ってきていた。


「…な、な、な、何なんですかあれぇぇぇ!?」

「嘘でしょ!?なんで『ジェネラルウルフ』がこんなところにいるのよ!」

「ジェネラル、ウルフ?」

「リーダーウルフよりも更に上の最上位種、ウルフの頂点に君臨するまさに…ウルフの総大将よ」

「てことは、リーダーウルフよりも更に強いってこと?」


ジェネラルウルフはよだれを滴らせながらゆっくりと僕らに近づいてくる。


「た、戦いますか?」

「無茶言わないで!ジェネラルウルフともなればランクA以上にもなる魔物よ!私達なんかじゃ全く勝ち目なんてないわ!」

「じゃあ早く逃げましょう!」


震える足を抑えつつ、僕らは全速力で走って逃げようとする…だがしかし、それよりも早くジェネラルウルフはとんでもないスピードで僕らの反対方向に回り込み逃げ道を塞いだ。


「そんなっ!?」

「万事休すね…」


全員が諦めかけたその時だった


「あ、姐さん達には指一本触れさせんダス!」

「ジェネラルウルフ!オイラ達が相手するでゲス!」


無謀にもジェネラルウルフに向かっていく二人


「ダース!ゲース!ダメよ戻って!」

「姐さん達は早く逃げてくれダス!」

「オイラ達に構わず!さぁ!」

「ダース!ゲース!」

「うぉぉぉ!くらうダス!」


ジェネラルウルフの首に鎖を巻きつけるダース


「そらそら!これでどうでゲス!」


投げナイフをジェネラルウルフに投げつけるゲース、ナイフは刺さってはいるが全く効いていない様子。


「グルルル…グァッ!!」


怒ったジェネラルウルフはゲースを前足で弾き飛ばし、ダースを巻きついた鎖ごとぶん回して投げ飛ばした。


「ダース!ゲース!」


次は僕達に狙いをつけるジェネラルウルフ


「グォォォ!!」


「『グランドウォール』!!」


僕はすかさず防御魔法を発動する、しかしジェネラルウルフのパワーの前には硬い土の壁も役に立たず、まるでビスケットのように意図も容易く木っ端微塵に粉砕された。


「これならどうだ!『ファイヤーボール』!!」


渾身のファイヤーボールを放つが難なく避けられてしまう。


「アンディさん!あまり無茶しないで!」

「逃げても無駄なら、もうこうするしかない!二人はできる限りで援護をお願いします!」

「何言ってるの!正気!?」

「こうなったら一か八か、やってやるしかないでしょう!」

「冗談じゃないわ!もう依頼は達成したことだし私は先に帰るから!」


と、倒れた二人を連れてそそくさと逃げていくエレナさん


「アリアさんも、危なかったらいつでも逃げてくださいね!」

「冗談!アンディさん一人おいて逃げるわけにはいきません!最後まで付き合います!」

「心強いです、感謝します!」


再びジェネラルウルフと対峙する


(…でもどうすればいい?一番威力の高いファイヤーボールは速度が遅すぎて避けられてしまう、でも出の速いエアロスラッシュやアクアバレットじゃ逆に今度は威力が足りない!どうすれば?考えろ…こんな時こそ指南書に書いてあったことを思い出せ!)


指南書に書いてあったことがヒントになるかも知れないと思い必死に思い出す。


(…ハッ!これだ!これならいける気がする!)


「…アリアさん、お願いがあります!三分、いや!一分でいいので少し時間を稼げますか?」

「何か秘策があるんですね?分かりました!頑張ってみます!」

「では、お願いします!」


ジェネラルウルフの気を引く為にアリアさんは縦横無尽に動き回る。


「ほらほら!こっちこっち!」


ジェネラルウルフはアリアさんを捕らえようと必死で追いかけ回す。


(…不思議、前よりも動きが断然見え易くなってる!これもアンディさんの特訓に付き合ったおかげ?)


アリアさんが時間を稼いでる間に僕は神経を集中させる。


(スゥ~…集中…集中…アクアバレットの速度をそのままに、もっと硬く、もっと鋭く突き刺さるようなイメージで…速く、硬く、鋭く…!来たっ!)


杖に魔力を集中させる


「アリアさん!離れて!」

「え、はい!」

「くらえ!『アイススティング』!!」


杖から氷の鋭い槍が飛び出して猛スピードでジェネラルウルフに向かって飛んでいく。


「!?」


ジェネラルウルフは避けきれず、氷の槍は見事に急所に命中する

そのまま軽く吹っ飛びやがて動かなくなる。


「や、やった…?やったぁぁぁ!!」

「す、すごいですアンディさん!今のどうやったんですか!」

「魔法の応用ですよ、水の魔法を鋭く硬くイメージしたら氷の魔法に変換したんです…まさかこんなにうまくいくと思いませんでしたけど…」

「それでもすごいです!こんな強い魔物を倒すことができるなんて!やっぱりアンディさんは只者じゃありませんね!」


興奮したアリアさんはそう言っていきなり僕に抱きついてきた。


(…はふぅん!ア、ア、アリアさん!?そ、そんな、大胆な…はわわわ)


…こうして僕らは無事に冒険者ギルド本部に帰還し、オカミさんにジェネラルウルフを倒したことを報告し、ジェネラルウルフの素材を引き渡した。


「こりゃたまげたわね、ホントにこれ…アンタが仕止めたのかい!?」


ギルバイスの戦闘履歴を見て目を丸くして驚くオカミさん


「えぇまぁ…」

「まぁまぁ大したもんだよ!ジェネラルウルフの毛皮と肉合わせて金貨二枚で買い取らせてもらうよ!」

「き、金貨二枚も!?ありがとうございます!」


何となくだけどこの世界のお金の価値が大体分かってきた、『銅貨』が一番安い価値で『銀貨』が普通ぐらい『金貨』になるととても貴重な価値なのだろう。


「あの、アンタ達…」


そこにやってきたのはエレナさんだった


「エレナさん…」

「その…申し訳なかったね、アンタ達を置き去りにして…まさかホントに倒すなんて思わなかったけど…アンタホントに強いんだね…恐れ入ったわ」

「いえ、そんな…たまたまですよ!たまたま!」

「それでこれ、お詫びの印に…ザコウルフ達の素材を売った銀貨、受け取って」

「いえ、そんな!悪いですよ!」

「いいの!こうでもしないと私の気持ちが収まらないから…」


そう言ってエレナさんは僕の手をとって銀貨の入った袋を握らせる。


「その代わり、何か困ったことがあったらいつでも呼んで?今度こそ逃げずにちゃんと最後までこなしてみせるわ!これ、私のギルバイスのアドレス」


と、言ってエレナさんは胸の谷間から一枚の紙切れを取り出して僕に渡す。


「じゃあね、また会いましょ!チュッ♡」


最後に投げキッスを飛ばして帰っていった。


「…さて、今回の依頼達成したおかげでアンタら晴れてDランクに昇格だよ!よかったじゃないか、おめでとう!」

「えっ?あ、ありがとうございます!」

「ありがとうございます!やりましたね!アンディさん!」

「はい!」


すると、その時だった。


「みんなー!代表だー!代表が帰ってきたぞー!」

「だ、代表!?」



to be continued...

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