第1話 ハロー、異世界
王道系の異世界転生ものに初チャレンジしてみました!
バズって書籍化されて、漫画化してアニメ化とかできたらいいなぁ…
僕の名前は『安藤 道男』29歳、自分で言うのもアレなんだが、無職でニートの引きこもりだ。
高校を卒業して何とか就職した会社が絵に描いた様なブラック企業で僕は毎日上司から罵声を浴びせられ、段々と精神が崩壊するほどにメンタルを削られ結局一年もしない内に辞めてしまった。
…以来かれこれ十年近く経って僕は一日中部屋から一歩も出ずにゲームしたりオ◯ニーして過ごす日々を送っている。
僕は現在母親と二人で過ごしている、病院に勤めている母親は朝早くから仕事に行く日もあれば夜勤で一晩帰ってこない日も多々ある。
食事は大抵母親が決まった時間に部屋の前まで運んでくる
最初の内は母親は僕に部屋から出るように説得してくれたりもしたが僕は母親の言葉に一切耳を貸さず、その内顔も合わさなくなり、母親も次第に諦めていた。
こんなんだから人と会うこともめっきりなくなり三十手前にして未だに僕は童貞のままだ。
そして、僕は今日も変わらず一人暗い部屋の中でお気に入りのAVを見てオ◯ニー三昧の日々を過ごしている。
そんな時だった、喉が渇いたので冷蔵庫にジュースを取りにいくと家の電話が急に鳴って僕はビクッとした。
最初は無視しようと思いさっさと部屋に戻ろうとしたが、いつまで経っても鳴り止まないので僕は仕方なく電話に出た。
電話は母親の勤め先の病院からだった、しかもその内容は母親が仕事中に突然意識を失って倒れたとの事だった。
僕は急いで母親の勤め先の病院に向かった。
…けど一足遅く、僕が駆けつけた時にはもう既に母親は亡くなっていたのだった。
先生の話によるとどうやら重度の過労だったらしい。
僕は安置された母親の遺体にすがりつきおいおいと涙を流した。
…母親の葬儀が終わった後、僕は一人で生きていかなくてはならなくなり、一先ずバイトでも探そうと思い片っ端からバイトの面接を受けまくる。
しかし、結果はどれも惨敗…どこも僕を雇ってくれるような仕事は見つからなかった。
母親の死から一年、僕は相変わらずバイトの面接に落ちまくっていた。
母親が残した貯金ももうほとんど使い果たし、僕は絶望の縁に立たされた。
…そして気がつけば僕は、今日で三十歳の誕生日を迎えていたことに気づいたのだった。
「…もうダメだ、終わりだ…何もかも…死にたい」
希望も何もかも失い、僕は等々自殺することを決意した。
自殺する前に僕はコンビニに立ち寄って小さいショートケーキを一つ買った。
言わば今日は人生で最後の誕生日、最後の晩餐はケーキがいいと思いたったのだった。
コンビニで買ったケーキを夜の誰もいない公園のベンチに腰掛けて食べた。
ケーキを食べ終えると、僕はいよいよ死ぬ覚悟を固めて街をフラフラと彷徨う。
そこで、目の前に歩道橋を見つけてそこから飛び降りて死のうと思い歩道橋を渡り始めた。
真ん中ほどまで来た所で車が通るタイミングを測り、飛び降りようと歩道橋から身を乗り出した。
すると、後ろから大型トラックが走って来たので僕はすかさず歩道橋から飛び降りた。
僕は飛び降りる最中心の中でこう叫んだ。
(…神様、次もし生まれ変わったらもっとマシで真っ当な人間にしてください!)
“ドガシャーン!!”
ド派手な音と共に僕とトラックは勢い良く衝突し、僕は数十メートルぐらい吹っ飛ばされた。
「おいなんだ今の!?」
「人が轢かれたのか!?」
ぞろぞろとやじうまが集まってくる
「おい!しっかりしろ!」
薄れゆく意識の中、僕を助けようとする人の声ややじうまの人達のざわつく声、遠くから聞こえる救急車のサイレンの音とかが聞こえていた。
やがて僕は次第に意識を失い、目の前が真っ暗になった。
…そして、僕はしばらくして意識を取り戻し目を開けるといつの間にか見知らぬ森の中にいた。
「…何、ここ?あの世?なんか思ったのと違うな…」
辺りをキョロキョロと見回す、するとその時背後に何かの気配がしたので僕はバッと振り向いた。
「どうも、ご機嫌麗しゅう」
見知らぬ謎の人物が笑顔で手を振って挨拶してきた
見知らぬ人物は見た目は中性的な感じで、臙脂色の燕尾服とシルクハットを身につけていて髪の毛の色は赤色っぽい色で手には分厚い本を持っていた。
「なっ!?あ、あんた誰!?」
「まぁ驚いて当然ですよね、初めまして…安藤 道男様ですね?」
「な、なんで僕の名前を?ていうかあんたは誰だってば!」
「これはこれは申し遅れました…私はこの世界の水先案内人、まぁ気軽に『アニー』とでもお呼び下さいませ」
「あぁそう、で?ここは一体どこなんだ?あの世なのか?」
「いいえ、ここはあの世ではございません…ですがここはあなた様が暮らしていた世界とは全くの別の世界となっております、分かりやすく言えば…すなわちここはあなた様にとって『異世界』と言うことになります…」
「い、異世界!?なんでこんなことに?」
「失礼ですが、安藤様は『転生』と言う言葉はご存知でしょうか?」
「あぁまぁ…人は死んだら別の何かに生まれ変わる、みたいな感じ?」
「はい、ですので今現在あなた様の魂も巡り巡って異なる次元へ転生したのです、よって今のあなたは安藤 道男であってそうではないのですよ」
するとアニーさんは内ポケットから手鏡を取り出して僕に見せる。
すると、その鏡に映っていたのは僕の知っている自分の顔ではなく銀色の髪をしたメガネの若い青年だった。
「なっ!?えっ!?こ、これが今の僕!?別人じゃん!」
「まぁ、転生とは大抵そういうものですから…」
「しかもなんかスゲー若返ってる…十代ぐらいかな?」
「そうですね、今現在のあなた様の年齢は推定16歳と言ったところでしょうか?」
「スゲー、こんなことホントにあるんだ…まるでゲームとか漫画の世界みたい…」
「気に入っていただけたようで光栄です…」
「で?転生したのはいいけど、僕は一体これからどうすればいいの?僕この世界のこと何も知らないけど?」
「それはまぁ追々説明するとして、まずはこの世界で生きていく上であなた様の『新しい名前』を決めなくてはなりません」
「名前?今のままじゃダメなの?」
「はい、安藤 道男という名前はあなた様があちらの世界で生きていた時の名前…新たにこちらの世界へ転生なされたからにはやはり名前の方も改めていただかないと…」
「…わかった、うーん…名前かぁ、名前 名前…」
「良い名前が思いつかれましたら、こちらにご記入を…」
と、アニーさんは持っていた本のページを開き白紙のページを見せる。
(…うーん、いきなり名前を考えろって言われてもなぁ、まぁ…テキトーでいいか)
「…よろしいでしょうか?」
「うん、決まった」
「では、こちらにご記入を…」
と、羽ペンを差し出すアニーさん
僕は思いついた名前を本のページに書き込んだ。
「…なるほど『アンディ・ロードマン』ですね?」
「はい、間違いないです」
「承知いたしました、では今からあなた様のお名前はアンディ・ロードマンということになります」
「で、名前も決まったことだし…さっさとこの世界のこと教えてよ!」
「承知いたしました…では」
と、アニーさんが説明しようとしたその時だった
近くの茂みから突如巨大な芋虫のような化け物が現れたのだった。
「ぎ、ぎぃやあぁぁぁ!!ば、化け物ォ!!」
「おやおや、このようなところで人喰いワームに出くわすとはツイてませんねぇ…」
「ちょ、呑気語ってる場合!?早くなんとかしてよ!」
「ご冗談を、私はただの水先案内人ですので闘う力はありません…」
「そんな!?」
と、そうこうしてる内に人喰いワームが襲いかかってきた。
「うわっ!?」
「これは危機的状況ですね…アンディ様!なんとかしてこのワームを倒して下さい!」
「はぁっ!?無茶言うなあんた!僕はついこないだまで引きこもりのクソニートだったんだぞ!こんな化け物と戦えるわけないだろう!何考えてんだ!」
「仕方ありませんね、では…これをお使い下さい!」
指をパチンっと鳴らすアニーさん、すると僕の服装が紫色のローブのような格好になり、手には謎の宝玉がついた杖を握っていた。
「なっ!?何これ!?」
「それで十分戦えるはずです!さぁ!」
「さぁ!じゃないでしょぉ!格好が変わったからってなんだって言うんだよぉ!」
無茶なことばかり要求してくるアニーさんに対して怒りを爆発させる。
「心配ありません、メガネの右側の縁を触ってみてください!」
「メガネの縁?こうか?」
言われた通りにメガネの右側の縁を触ってみる、するとメガネのレンズの中にステータス画面のようなものが表示された。
「何これ!?」
「それは相手のワームのステータスです!今度は反対側を同じように触ってみてください!」
「反対側?」
左側の縁を触ってみる、すると今度は右側とは別のステータス画面が表示された。
「左側は今現在のあなた様自身のステータスです!そこに載っている術でワームを倒して下さい!」
「術?えと、これか?」
確かに左側のステータス画面の『術一覧』と書かれた項目にいくつか術の名前らしきものが載っていた。
「でもこれ一体どうやって出すんだよ!?」
「簡単です、杖を構えて技名を叫べば出せます!術の形を明確にイメージすることがコツです!」
「え、え~?えと、フ、『ファイヤーボール』!!」
術の名前を叫ぶと杖の先端の宝玉から火の玉飛んでいき、ワームに直撃した。
「キシャァァァ!!」
攻撃が効いたのか悶絶するワーム
「おっ、すごい…ちょっと効いてる」
「油断は禁物です!来ますよ!」
「えっ?わぁっ!」
攻撃されて怒ったのか、ものすごい勢いで突進してきたワーム
「ぐぼぉっ!」
僕は突進をモロにくらい吹っ飛ばされた、しかしかすり傷一つつかずほとんど痛くもなかった。
「あ、あれ?何ともない…」
「『魔法のローブ』の力です、そのローブはあらゆるダメージを半減する効果があるのです!」
「なるほど、命拾いしたな…」
と、間髪いれずに襲いかかってくるワーム
「『ファイヤーボール』!!」
「キシャァァァ!!」
(効いているみたいだな…ちょっと他の術も試してみるか…)
再び起き上がって攻撃してくるワーム
「くらえ!『エアロスラッシュ』!!」
風の刃が飛び出しワームを斬り刻む、今の一撃で勝負あったのかすっかり伸びてしまったワーム。
「お見事ですアンディ様、初めての戦闘でここまで上手に立ち回れるとは、お見逸れしました…」
「つーか何なんだよこれ!こんなんがうようよしてんのこの世界!?危なすぎるでしょ!」
「心配ありません、現に今倒すことができたじゃありませんか…」
「いや、今はたまたま倒せたけど…この先こんなんと戦ってかなきゃなんないって思うと先が思いやられるなぁ…」
するとその時だった、倒したはずのワームがまた再びモゾモゾと動き出した。
「うわぁ!こ、こいつまだ生きてた!」
「いえ!少し様子がおかしいですね、これは…」
するとワームは口から何かを勢い良く吐き出したのだった。
「こ、これは!?」
吐き出したのはなんと人間の女の子だった。
クリーム色の長い髪を後ろで束ねて鉄の胸当てと篭手を身につけ、剣を携えた剣士のような風体の少女
「こ、これって…この子こいつに食べられてたってこと?」
「恐らくはそういうことでしょう…しかし運が良かったですね…アンディ様が助けなければ今頃はワームの養分となっていたところでしょうか?」
「え、縁起でもないこと言うなよ!と、とにかく…お、おいキミ!大丈夫?」
「う、うーん…」
少女が目を覚ます
「あ、あれ?私…たしかワームに、って…わぁっ!」
目の前で倒されているワームを見て驚く少女
「あの…大丈夫ですか?」
「えっ!?あ、はい!あの…もしかしてこれ、あなたが?」
「えっ?まぁ、はい…」
「そうだったんですね!助けていただいてありがとうございます!あっ、私は『アリア・フルーミネ』といいます、あなたのお名前は?」
「ぼ、僕はアンディ、アンディ・ロードマン…」
「アンディさんですか、ホントにありがとうございました!あなたは私の命の恩人です!」
緑色の綺麗な瞳で見つめながら僕の手を握るアリアさん、僕は美少女にいきなり手を握られ心臓が飛び上がるほどドキドキする。
かれこれ女の子と手を繋ぐなんて何年ぶりだろうか…
僕はあまりの嬉しさに天にも昇りそうだった。
「あの、アンディさんも『冒険者』なんですか?」
「ぼ、冒険者?冒険者って…?」
冒険者とは何かアニーさんに聞こうと振り向くと、アニーさんは忽然と姿を消していた。
「あ、あれ?」
「?、どうかしましたか?」
「あーいえ!なんでもないです!それよりも、冒険者って?」
「ご存知ないんですか?ワームを倒せるぐらい強いのに…」
「あー、えっと…じ、実は僕…こことは違う遠くの国から来たんだけど、道に迷ってしまって…」
「あぁそうだったんですね!どうりで見かけたことない方だな、と思ったんです…あ、もしよければ助けていただいたお礼にこの先の街までご案内しましょうか?」
「えっ?いいんですか!?」
「はい!お任せください、っと…その前に」
と、アリアはポケットから電子端末のようなものを取り出す。
「それは?」
「これは『ギルドデバイス』、通称『ギルバイス』って言って『ギルド』に加盟している人なら必ず持ってる便利ツールです!これをこうやって…」
と、ギルバイスの緑色のライトが光り、ワームの死骸に当たる
するとワームはたちまち銀貨に姿を変えた。
「えっ!?ワームがお金に!?」
「はい、このギルバイスの自動還元機能を使って倒した魔物をアイテムやお金に還元することができるんです」
「へぇ…便利だな」
「まぁギルドや冒険者については街に着いてから『オカミさん』に聞くといいですよ!」
「へ?あ、はい!」
「じゃあ、行きましょうか!街はこの森のすぐ近くありますんで」
「はい!」
アリアさんに連れられて街を目指す。
『…斯くして、謎の剣士の少女 アリアと出会った安藤 道男改めアンディ・ロードマン…これから彼の物語はどのような展開を迎えることやら…それはまた、次回のお話…』
to be continued...