第44話 魔界
スタートの街復興祭最終日、突如として現れた漆黒の渦、それはこれまで復興してきた街を一瞬にして灰になった。これまでの復興作業はたった1秒にも満たない時間でまっさらな荒地へと変貌した。私たちは、CATCHのライブを楽しんでいただけなのに。一体誰がこんなことを・・・。この時の私たちには知る由もなかった。
私たちや住人の皆さんはエイスの魔法で住民および冒険者学校のみんなを転移させてくれて、助かった。エイスは魔力を短時間に大量の魔力を消費してしまい、「ちょっと寝る」そう言い残し、一週間以上眠りについている。私たちやスタートの街の住人を合わせても5万人以上はいる。その数を一瞬で転移させたのだ。相当、体に負担がかかったことだろう。そんな偉業を実現できるのも龍だからと言ってしまえば納得がいってしまう。そして・・・。
転移された皆の中に、レインの姿はなかった・・・。
「レイン・・・」
私たち1年Sクラスは、レイン・スティールの死を覚悟したのだった。私たち1年Sクラスには大きな傷跡が残り、あの仲の良いクラスは一瞬にして崩壊した。
そんな様子を、天から見る者が五つ。
「あはは!魔王も面白くしてくれる!」
「これはいい!絶望こと美しい!」
「これだよこれ!こういう展開だよねー」
「今回の転生者は少しは期待できるかな?龍王」
「それは、彼次第かと・・・」
「それじゃ、その彼の様子はどうかな?」
俺は、魔王ルシファーに遭遇し、俺は全く知らない場所に飛ばされたらしい。
「いてて、どこだよここ・・」
空は黒く、赤い月が煌々と輝いている。こんなところに俺を飛ばして一体何が目的なんだよ。というか他のみんなは無事なのか。やはり、1番に頭に浮かんだのはサレンのことだった。魔王は変なことを言っていた。
「ここで俺を殺すとややこしくなる」そんなことを言っていた。要するに、俺が死ぬとこの世界に何かしらの影響がでると言っているようなもの。でも俺だってこんなところで死にたくはない。
「マジでここどこだよ」
空には見たこともない、ドラゴンみたいな生物の群れがわんさか飛んでいる。辺りを見渡してもなんか森の中って感じだ。ひとまず、俺は今、武器の一つも持っていない丸腰状態だ。まずは俺が今どこにいるのかを知りたい。
「ステルス」
俺はステルスを発動し、今いる場所から移動してみることにした。ステルスも常に維持できる魔法でないから、ところどころで解除が必要でもあるから注意しながら森の中を散策する。散策の中、一つわかったことがある。
「あー、これやばいわ。死ぬわ、俺」
ステルスで透明になっているからいいものの、辺りにはオーガの進化版みたいなやつやゾンビみたいなやつ、サーベルタイガー(ゾンビ)、スケルトンやらがうろちょろいる。明らかにまともに戦ってはいけない。色々と散策(逃げる)をしていると、明らかにここのボスクラスがいるであろう、まあ、ご立派な城が現れた。
「うわー、城だわ。でもなんか見たことあるな。この城」
「思い出した!この城、バンパイアの城だ」
最上級バンパイアの城。
Chronicle・Line<クロニクル・ライン>の最終盤に出てくる城で魔王の部下のバンパイアの住む城である。ゲームではこの城に囚われている姫を助け出すイベントがあったはずだ。バンパイアがその姫に一目惚れして、姫を誘拐。なんか今考えれば、ありふれたストーリーすぎるな。何か忘れている気がするけど・・・。
「ということは・・・ここ魔界か」
いやいやいやいや、魔界って、アホなのか。魔界って最後のボス戦付近でやっと訪れる場所だよね。いやーマジでやばい。冷や汗出てきた。どうしよ。全然頭回らない。やばいな。あー、パニクってきた。
「おっと珍しい!こんな場所で人間にお会いするなんて!」
え・・・俺、見えてる・・・。
「あー!ステルス解除してるー。全然気づかなかった」
そこにいたのは、この城の主人、最上級バンパイア、グレイ・シュトーレン
俺は、反射的に、両手を上げていたのだった・・・。
よろしくお願いします!




