第43話 閉幕・・・そして開幕
スタートの町復興祭、トーナメント戦は、アメリアの優勝で幕が閉じた。会場は大いに盛り上がり、次の日もまだまだトーナメント戦の余韻が残り、冒険者学校の生徒たちによる出店や商店街の皆さんのお店が多く立ち並んでいる。
皆が盛り上がっている中、俺とジークは転生者同士話し合うことがあったのだ。
「ジーク・・・」
「うん、わかっている。レインが言いたいことは・・・」
「トーナメント戦、決勝でアメリアが発動した魔法、武装魔法、光のことでしょ」
「ああ」
武装魔法はChronicle・Lineの最終盤で覚える魔法の一つなのである。まだ魔王の魔の字も出てきていないのに最終盤の魔法を習得した主人公。もう本当に今後どうなってくるか全くわからなくなってきたのである。ただでさえ、俺とジークの悪あがきで、サレン、ハンナの死亡を回避し、今に至っている。それは、俺たちが起こしたこの世界に刃向かった結果でもある。
「もう、僕たちのゲームの知識はほとんど、機能しないと割り切った方がいいかもね」
「本当にな。流石にここまでくるとどうしようもない」
「もう僕らが単独で動く場面では無くなったってことだよ」
「でも、その代わり、僕たちには、多くの仲間ができた。違うかい?」
確かに、ジークの言う通り、俺やジークが単独で動くことは無くなった。今はSクラスのみんなの過ごすこの時が楽しいし、なんか久々に青春してるなって思えてくる。そう思うと、勝手に涙がこぼれ落ちる。
「最近、泣きっぱなしじゃないかい?レイン」
「悪い。最近涙腺が緩くなってて・・・」
「いいことだよ。泣ける時間があるってことは・・・それが無くなってしまったらもう取り返しが効かない」
「あ!いたいた!レイン!」
小さく駆けてくる女の子の姿があった。俺は何もなかったかのように対応する。女の子に泣いている姿は見せたくない。と言うか普通に恥ずかしい。
「ふう、やっと見つけた。あ、お兄ちゃんも一緒だったんだね」
「どうしたんだ、ハンナ。そんなに急いで、レインに用事みたいだね」
「そうそう!もうこれからCATCHのライブだから!警備!警備!」
「あ・・・そうだった!」
「完全に忘れてたわ・・・」
「実行委員は最終日まで大変そうだね」
俺はハンナに警備の場所を聞き、ライブ会場の観客席の後ろで待機する。会場に着くと熱気が凄まじく、その人気っぷりが改めてわかる。観客席の先頭にはジーナ?先輩らしき人物が、鉢巻に、法被、ペンライトとうちわを持って目を輝かせていた。
「あれが、トーナメント戦準優勝とは・・・あはは・・・」
そして、CATCHのライブが始まったのだった。
メンバーがステージに登壇すると、ライブ会場である冒険者学校闘技場はトーナメント戦以上の盛り上がりを見せる。3人の女の子たちは、歌にダンス、時には観客のみんなと会話を楽しみ、会場はCATCH一色といった具合だ。
俺もまた、彼女たちのステージに見入ってしまっていた。ふと、センターの女の子と目が合ったように感じる。まあ、気のせいか。
ステージ上では大いに盛り上がりを見せているが、俺は小さな異変に気づく。この会場内に仕掛けている魔力感知の罠が反応している。
「悪い!ハンナ、ここちょっと頼むわ」
会場内は盛り上がりの声で全く聞こえなかった。
「え!聞こえないよ!なんていった?」
俺の今回の罠は、闇の魔力に限定した罠にしたんだぞ!まだ、魔物の残党が残っててたってことか?
俺は罠が起動した冒険者学校の裏庭にやって来てた。
「もう裏から侵入しようとしているあたり、怪しさマックスだろ。これ・・・」
「大・正・解・!」
俺は後ろから何者かに首を巨大な鎌を突き立てられる。
「よくもまぁ・・・、盛大にやってくれたわな。若造!」
俺はこれまでにない殺意を味わっている。体に突き刺さるような異常なまでの殺意。
「まあ、ええわ・・・ここでお前を殺せば余計ややこしくなっちまう」
俺は拘束を解かれ、瞬時に戦闘体制に入る。もう何も考えられない。俺は大量の汗をかき、相手の顔を見る。
そこには漆黒の羽に黒いドレスを着こなし、長い赤い髪を靡かせた女性が立っていた。
「そう警戒するな。若造。やはり、その顔は私を知っている顔をしているぞ」
そりゃ、そうでしょうよ。知ってるも何も、あんた・・・。
「ラスボスじゃないですか・・・」
「ラスボスて、あはは!」
高らかに笑うその女性を目の前に、一才体が動かない。体に拘束魔法を食らっているとかもう、そう言うんじゃない。
「恐怖」そのものを体感している。ただそれだけなのである。
俺の目の前にいるこいつこそ・・・Chronicle・Lineのラスボス。
「魔王 ルシファー・・・」
「大・正・解・!」
「今回は君らの勝ちでええ。けど、もう好き勝手にはさせん!それだけを言いに来たんやけど・・・」
「なあ!どう思う?彼女らのライブさ。これは私からのプレゼントや・・・」
「レイン・スティールいや片桐誠ニくん」
「第一章、閉幕や。そして、エンディングや」
その言葉ともに、花火が空を舞い、俺はその第一章、閉幕、エンディングという単語の重さに気づく。
「この世界の目的は一体なんなんだよ・・・」
「さあ、私にもわからん」
そして、音楽が終わるとともに、ルシファーは言葉を紡ぐ。
「さぁ!幕が上がるよ!第二章の始まりや!」
その言葉とともに、さっきまで花火で輝いていた夜空が漆黒に包まれ始め、冒険者学校のライブ会場には巨大なワープホールが出現する。
「これは一体?」
「言ったやろ!新章突入、第二章やって。ささ、頑張りや、勇者パーティー」
「クソやろう・・・」
俺はそれだけを言い残し、ワープゲートに取り込まれた。
真っ暗な空間をひたすら彷徨い、俺はいつしか、意識を失っていた。
よろしくお願いします!




