第42話 皆の想い、燃え上がる闘志
俺たち1年Sクラスは、復興祭トーナメント戦待機室に全員集まっていた。俺たちは緊張感と期待に満ちた表情を浮かべ、アメリアの戦いを心から応援する準備をしていた。待機室は、緊張と興奮に包まれ、それぞれが、アメリアの勝利を信じている。俺たちは、一丸となって力を合わせ、アメリアを鼓舞するため特別な計画を立てていた。この計画は、セリーヌの一言から始まる。
「みんな、アメリアの決勝戦、全力で応援するために何かできないかな?」
「何かってどうすんだ?」
ガジルが頭をかきながら、発言する。
「なんかこう、験担ぎ的な何かってことにゃ?」
俺はみんなの発言に少し新鮮な思いを感じていた。この世界にも験担ぎ的な考えがあるんだなと。験担ぎねえ。俺がこの世界に転生する前だと、試験や大会の前には験担ぎだーって、○○に勝つってことで、カツ丼をなんて思っていたが・・・。俺と同じ考えを持った人物がこの場にもう一人。
「カツ丼をご馳走しては?・・・」
その人物は、まさかの人物。エイスだった。
「カツ丼?なにそれ?」
「とんカツを薄切りにしたたまねぎとともに甘辛く煮て卵でとじ、どんぶりに盛った飯の上にのせたもの」
セリーヌの疑問に的確に返すエイス。というか、なんだその、国語辞典に載っているような返答は!確かにあっているけども。そもそも龍族にも料理する概念あるんだ。生肉をかぶり付いているイメージしかなかったわ。
「何かに勝つ、という験担ぎで龍族では、カツ丼を食べるのが私たちの常識。私たち龍族は力比べを年2回行っている。その時に、カツ丼を食べる・・・」
「なんか、龍族がやってる験担ぎだったら効果抜群かも」
そんなことがあり、現在、エイス、ジーク、俺の3人でカツ丼を作っている。
「Sクラスの全員分だとかなりの量だな」
「確かにそうだね」
「玉ねぎ切り終わった・・・。次は豚肉を切る・・・」
「なんて素早い動き、給食のおばちゃんみてーだな」
「僕も少し思ってしまったよ」
「おばちゃんじゃない!まだピチピチの女の子・・・失礼!」
「「すいませんでしたー」」
このようにして、アメリアを応援するためのカツ丼が作られていきました。
決勝戦前夜、サレンにアメリアをお風呂に連れて行ってもらい、俺たちはカツ丼の準備を、トーナメント戦の控え室をリディア先生に頼んで特別に貸してもらい、横断幕や会場の準備を俺たち以外のみんながやってくれていた。
そして、お風呂から帰ってきたアメリアをみんなで出迎えた。俺たちは、アメリアのトーナメント戦の勝利を信じ、みんなで談笑しながら、和やかな会となった。
最後に、アメリアから、明日の決勝戦に向けての意気込みをみんなで聞いた。
「みんな、本当に今日はありがとう。みんなの期待に応えられるように全力で勝負してくるね!私は絶対に負けない!」
アメリアの言葉に一層熱気に包まれる。1年Sクラスでは大きな声で応援の言葉を叫び、アメリアにエールを送った。
その1年Sクラスの様子をそっとリディア先生は見守っていた。リディアは思い返していた。急遽ガイの代わりに務めることになった1年Sクラスの担任。Sクラスは毎年、自身の才能やプライドによって一向にまとまらないクラスとなるのが通例となっていた。自身の力に酔いしれるというか、そんな感じだ。だが、今年は違った。皆が努力し、互いに認め合い支え合っている。
「いいクラスになったな・・・」
なあ、ガイ。お前のクラスは最高のクラスに成長しつつある。お前の理想のクラスが形成しつつあるぞ。
「姉さん、俺は皆が互いに認め合い、支え合えるクラスを作りたいんだ」
「お前は今年Sクラスの担任になるんだぞ。そんなの妄想に過ぎない」
私はあの時、お前の理想を否定してしまった。すまなかったな、ガイ。
そして・・・。
「速く戻って来い!・・・馬鹿野郎・・・」
リディアは一人、感動と悔しさの狭間にいたのだった。歯を食いしばり、リディアの拳に力が入っていた。
一方、2年Sクラスはというと・・・。
「はあ、もう2年なんだから、そろそろ落ち着こうよ。みんな」
ジーナは2年Sクラスをなんとかまとめようとしていた。トーナメント戦に負けて悔しがっている者、怒り狂っている者、大泣きしている者、さまざまである。ジーナの所属する2年Sクラスは、これまでのSクラスの中でも個性的でプライドがすこぶる高い者が多いクラスなのである。それ故に、ジーナがクラスの委員長に就任してなんとかまとまっているものの、トーナメント戦のような勝ち負けがはっきりするようなイベントごとは毎回このようにクラスはバラバラになってしまう。
「どうしたもんかね、うちのクラスは・・・」
「メリちゃん先生、なんとかならない?」
「そう言われてもねえ。うちの子たちってこうなると一週間はこんな感じに毎回なっちゃうしね〜」
「ジーナちゃんは、明日、決勝戦頑張ってね〜」
「了解!メリちゃん先生!」
私と担任のメリちゃん先生の話を聞いていた2年Sクラスの面々は、「私たちの仇とってきてね!ジーナちゃん!」「やれるだけ全力でぶつかって来い!」と声をかけれれる。
個々のプライドは確かに高いし、面倒な騒動ばっかり起こす奴らだけど、しっかり応援はしてくれる奴らなのである。
「うん!頑張ってくるわ!」
なんだかんだ。居心地は良いし、なんだかんだ、良いやつらんだよね〜。みんなのためにもちょっくら頑張ってきますかね!
そうして、次の日、トーナメント戦の会場は熱気に包まれ観客たちの歓声が鳴り響く中アメリアとジーナの決勝戦が始まる。二人の真剣な表情で対峙し、その瞳には勝利への信念が宿っていた。
「決勝戦!アメリア・レイス対ジーナ・クランシーの試合を始めます!」
「試合開始!」
アナウンスの合図とともに、二人は同時に魔法を展開し試合が始まった。
試合開始の合図とともに、アメリアは俊敏な動きでジーナに迫る。アメリアは移動と同時に光の矢を生成し、次々と矢を放つ。ジーナは身をかわしながら反撃を試みる。ジーナの魔法は雷魔法いや、もはやジーナのそれは雷の威力を超える魔法であった。その魔法は・・・。
ジーナは手を振るうと空中から轟音を轟かせ幾つもの稲妻が放たれる。アメリアは機敏に身をかわし相手の次の攻撃に立ち向かう準備を整える。
「迅雷魔法・・・」
「よく知ってるね!アメリアちゃん!誰から聞いたのかな?」
「まあ、どう考えてもリディア先生なんだろうけど・・・」
私はあらかじめ、リディア先生からジーナ先輩の魔法について聞いていた。
「迅雷魔法、ですか・・・」
「ジーナは初対面の相手にはまず最初に稲妻を幾つか放ち相手の力量を確かめにくる。その稲妻をまずは避けきれ!それができなければ、話にならない。それだけジーナは強い」
私は得意な、接近戦に持ち込むために、私は掌から光の球を投げフラッシュのような光を放ち、その隙に接近を試みる。ジーナはその間もあ稲妻を会場内に放ち続ける。その稲妻を避けることに精一杯でなかなかジーナに近づくことができない。
「私の稲妻を避けきって見せたね。見事だよ。アメリアちゃん!それじゃ、これならどうかな?」
ジーナは、雷の如く素早い動きで一気に私に接近し、拳を私の腹部に打ち込む。
「くはっ!」
私は体制を崩し、地面に叩きつけられる。私も負けじと、痛みに耐えながらも拳をジーナに向けて放つ。
「穿て!ヘヴンズ・レイ!」
その拳からは光魔法の光線が放たれ、ジーナは避けながら、再び私から距離をとる。私から近づこうとすれば、無数の稲妻を放ち、避けきったと思えば一気に接近し、肉弾戦に持ち込んでくる。全く隙がない。反撃に出る余裕も与えて貰えない。私の体力と魔力がどんどん失われていく。どうする・・・。Sクラスのみんなだったら・・・アレンだったらどうする?どうしてアレンが浮かんだのかわからない。でも・・・これならいけるかもしれない。
私は目を瞑り集中する。私の魔法は光。光魔法ってのは、魔法の中で1番の発動速度誇るの。知ってる?
私は自身の手から光魔力のエネルギーを瞬時に集める。
「何をしているの・・・?」
そのエネルギーは次第に形を成し、輝光の剣が姿を現す。
「武装魔法、光。輝光の剣」
「そんな魔法。初めて見るんだけど・・・」
輝光の剣は、細長い刃と繊細な彫刻が施された柄を持つ美しい剣がアメリアの手に握られている。刃は透明でありながら、光を放ち、まるで宝石のように輝いている。
アメリアが輝光の剣を手にすると、彼女自身も光のエネルギーに包まれ、アメリアは再び戦闘態勢に入る。剣の刃は彼女の意志と共鳴し、光の軌跡を描きながら切り裂くように振るう。
負けじと、ジーナも無数の稲妻を放ちアメリアの動きを封じようとする。
「これヤバいかも・・・」
「迅雷魔法、サンダーバースト!」
アメリアを囲むように、稲妻の柱が形成され、アメリアの動きを封じる。その後、高濃度の迅雷魔力のエネルギーをアメリアに向け一点集中で放たれる。
アメリアの振るう剣は、光速で連続して斬撃を放ち、光の軌跡が残るような美しい光景を生み出した。その刃はジーナのサンダーバーストに触れると燃え上がり、炸裂した。
「嘘でしょ・・・。今の私の切り札なんだけど」
今の魔法は、相手の拘束+高威力の一点集中の魔法。これで、ジーナはどんな敵にもその魔法を放ち勝ってきた。その絶対的な魔法が初めて打ち砕かれたのだった。
輝光の剣はアメリアの戦闘スタイルと相まって、どんな魔法も切り裂く光の剣が誕生したのだった。その美しさと輝きは観客を魅了し、ジーナに対して圧倒的な存在感を示した。
「はは・・・これは降参だわ」
ジーナから降参が宣言され、決勝戦に決着がつく。
「勝者!アメリア・レイス!」
会場内からは力強い歓声が響き渡っていた。アメリアはそれに応えるように拳を高く挙げた。
彼女の目は、俺たち1年Sクラスの皆が座っている方向を見つめていたのだった。
よろしくお願いします!




