第38話 無双! 1年Sクラス
今日は復興祭当日である。復興祭の開幕が宣言されたとき、会場からは、いや、スタートの街中からは興奮と歓喜に満ちた歓声があふれていた。スタートの街は魔獣襲撃で多大な被害を受けた。その傷を癒すため今回の復興祭は企画された。俺もジーナ委員長からの依頼の件もあるが、まずは楽しませてもらおう。この祭りを。
「まずは、トーナメント戦だ!」
トーナメント戦は1日目から4日間行われる。全校生徒+教師陣からランダムで抽選されトーナメント戦が行われる。今回のトーナメント戦は出場人数が莫大に多いため四つの会場に分け同時に試合を開始し適宜試合終了次第次の試合を開始するようになっている。俺の初戦は、第4会場、第10試合。相手は・・・。
場所は変わり、CATCHのメンバーたちはと言うと・・・。
「どこの会場見に行く?4つあるみたいだけど!」
ハンナは上機嫌にミラとカレンに問いかける。
「どこでもいいわよ。どの会場でも迫力のある試合は見られるでしょう」
「私もでこでもいい・・・。眠い」
「それじゃあ、私が勝手に決めます!うーん・・・」
ハンナは頭を抱え悩み始める。数学の難問を考えるかのように。
「ハンナ、そこまで悩むこと?ここからだとそろそろ移動しないと初戦見逃しちゃうわよ」
「わかった!第4会場!」
ハンナは大きな声で自身の直感で選んだ会場の名前を叫ぶ。
「わかったわ。それじゃマイクさん。私たちは第4会場に向かいますね」
「承知しました。では、カレンさん。変装魔法の方を皆さんと自身にかけてください」
「りょうかーい」
カレンは自身の魔法を使い変装魔法を自分自身、ハンナ、ミラにかける。3人は街娘のような茶色い服にロングスカートの衣装に変貌した。
「それじゃ!」
「「「出発!」」」
「気を付けてくださいね!」
マイクに声をかけられた3人の女の子たちは第4会場に足を運ぶのだった。
場所は戻り、1年Sクラストーナメント戦待合室では・・・。
第1回戦を観戦し唖然としていた。第1回戦を飾ったのは我らが担任、リディア先生。魔法を展開したと思った瞬間、衝撃波と共に、相手は地面に倒れ気絶していた。俺には、一体何が起きたのかわからなかった。
俺たちSクラス全員が唖然としていた。すると、待合室の扉が開く。
「お前たち、何唖然としている?」
振り返ると、俺たちを唖然とさせた張本人が立っていた。
「お前たち、何が起こっていたのか、わからなかったような顔してるな」
リディア先生は唖然としている俺たちを見て笑っていた。
「お前ら!せっかくのトーナメント戦だ。せっかくの祭りだ。楽しまなきゃ損だと思わないか?これまで特訓してきた成果を、全力でぶつけて来い!」
リディア先生の言葉には力があった。俺たちはこれまで訓練に明け暮れ自身を高めてきた。互いに認め合い自分らしさを磨いてきた。その成果を今ここで。俺たち1年Sクラスはリディア先生の言葉に全力で返事をするのだった。
「はい!」
そして、それぞれの会場にそれぞれ向かって歩き出した。
1年Sクラスの無双が始まる!
第1会場
アレン・ルイス。
アレンの家庭は剣術一家でありアレンはそこの長男である。青い髪に整った顔立ち、剣術で鍛え上げられた体は剣を効率的に振れるような筋肉をしている。アメリアの圧倒的な魔法のセンスに追いつき、いつかは追い抜くことを目標に剣術を磨いている。
相手は2年生の先輩だったが、アレンの剣の腕前は魔獣襲撃で磨きがかかり今やもう敵などいないかもしれない。圧倒的な実力差で初戦突破。
「何とかなったかな」
ミシェル・アルノー。
猫族の獣人、キュートな見た目とは裏腹に獣人特有の驚異的な運動神経と瞬発力を持っている。ミシェルは獣人特有の「野生の勘」で戦う。「勘」なんて抽象的なもの読めるわけがない。それに、ミシェルの武闘家としてのセンスが凄まじく、対戦相手は規則性のない獣人の動きに惑わされ身動きが取れない状態に追い込まれる。その隙に、ミシェルは自身の爪を相手の首下で止める。相手は「降参」を宣言。ミシェルは初戦を突破したのだった。
「次はだれが相手にゃあ!」
ハンナ・テイラー。
ジーク・テイラーの妹。以前は重力魔法という自身では制御できないほどの魔力を有し病弱な女の子だったが、魔獣襲撃の際に龍族と接触し、重力魔法を龍族に渡し、代わりに新たな魔力「妖精魔力」を得たのである。妖精魔力および妖精魔法は自身の回復のほかに、相手の動きを遅くしたり、魔法の威力を減少させるなどの妨害を得意とする魔法である。ハンナは、妖精魔法を駆使し相手の動きを極端に早くさせ、相手自身で体を制御できなくし、そのまま場外へと追いやり初戦突破。
「ふう、何とかなったかな」
第2会場
アメリア・レイス。
この世界の主人公。光魔法を得意とし、圧倒的な魔力量を誇る。試合結果は、言わなくても分かるよね。普通に初戦突破です・・。はい。相手は一瞬で場外へと吹っ飛ばされていったとさ。
「余裕ね」
ガジル・ヘイド。
騎士の家系に生まれ、熱い情熱の持ち主。だが、頭は馬鹿なので正面突破しか考えることができないのである。だが、ガジルには、その純粋な正面突破だけで勝てるだけの力を持っているのだから恐ろしい。ガジル・ヘイド、初戦突破!
「よっしゃー俺が最強だ!あははは!」
ジーク・テイラー。
ハンナ・テイラーの兄。そして、俺以外のもう一人の転生者。Chronicle・Lineのストーリーを知っており、ハンナを守るため魔獣襲撃で活躍し見事、妹を守りきった。ジークは言わずと知れた有名人だったりもする。ジークは探索の魔法を得意とする。相手が、地中に身を隠そうとジークには無防備で突っ込んでくるのに等しい。ジークの探索魔法の精度は国がつまりは王宮が欲したほどである。ジークにはすべてが見えている。ジーク・テイラー、初戦突破!
「僕には丸見えだったよ」
ロビン・ホープ。
自警団リーブラの一員で口数の少ない少年。ローレンス・レスターの相棒として活躍している。ロビン・ホープの魔法は相手の魔法をコピーする。ただのコピーではない。ロビン・ホープがコピーした魔法は強化され相手に跳ね返る。ロビン・ホープはどんな時も冷静で周りを見る目も持っている。ロビン・ホープに死角なし!初戦突破!
「・・・よかった、勝てて」
第3会場
サレン・レイス。
レイン・スティールの幼馴染であり、勇者候補の一人。アメリアとはライバル関係にあり、魔獣襲撃の戦いで命を落とす運命にあったがレイン・スティールの活躍により回避、今に至る。サレン・レイスは適正魔法を炎・水・風・雷・土と5属性を扱うことができ、保有する魔力量もアメリアに匹敵するほどである。みんな知っての通り、試合結果はわかるよね。初戦突破!
「こんなもんかな」
トビー・カルバート。
種族はハーフエルフ。父が人間、母がエルフの家系に生まれた。幼少のころから魔力に興味を持ち知識を高め、母から譲り受けた高い魔力操作の技術を持ち若くして賢者と呼ばれている。トビー・カルバートの適正魔法は植物魔法。あらゆる植物を操り、360度様々な方向から攻撃を仕掛ける。トビー・カルバートに知らぬ魔法などあるのだろうか。トビー・カルバート、初戦突破!
「僕が勝つに決まってる!」
ドノバン・テイク。
俺たちの世代では天才鍛冶師と呼ばれている少年。種族はドワーフであり、いつも何を考えているのかよくわからない少年である。だが、Sクラスに所属しているということはそういうことである。実力は凄まじいものである。ドノバン・テイクの適正魔法は「錬成」である。その場にある、土や金属をその場で武器に作り替え錬成して戦う。そのトリッキーな動きに相手は驚きよろめく。そして、決着はつく。ドノバン・テイク、初戦突破!
「・・・」
ローレンス・レスター。
父が自警団リーブラに所属しており、ローレンスは父の背中を追って子供の頃から自警団リーブラでの特訓を重ね魔法・武術の両方をバランスよく扱うことができる。ロビン・ホープの相棒として現在は自警団リーブラで活躍している。ローレンス・レスターの適正魔法は雷魔法である。ローレンス・レスターは雷で超加速し剣を振るう。その剣は稲妻のごとく激しくその剣先は一瞬で相手に届く。
ローレンス・レスター、初戦突破!
「よし!切り替えていこう!」
第4会場
ミコト・ムラクモ。
彼女の種族は鬼人である。鬼としての身体能力と額から生えている2本の角で相手の感情や考えていることなどを察知できる。人間に近いが人間ではない。鬼人族は魔族の侵攻で鬼人の数は半分ほどまで減っている。ミコト・ムラクモの魔法は1対1の時に本領を発揮する。ミコト・ムラクモに相手の考えていることはバレバレなのだから当然である。戦いの最中に何も考えるな、というのも無理な話である。
ミコト・ムラクモ、初戦突破!
「余裕じゃったのう」
セリーヌ・ローズ。
責任感が強く面倒見がよい。Sクラスの委員長を務めている。物事をはっきり言う姉御肌な女の子。その裏表の無さからクラスでの信頼も厚い。ここまでは普通の優しい女の子である。セリーヌ・ローズは普通に考えればSクラスにいる実力はない。戦闘においてもC~Aクラスに負けているかもしれない。でも、彼女の魔法「パーフェクト・ビジョン」が発動してしまえばこっちのもんである。パーフェクト・ビジョンは発動までにセリーヌ・ローズが極限まで戦いの最中に集中する必要がある。発動してしまえば、相手の目線・しぐさ・癖あらゆる相手の情報から先読みし、セリーヌ・ローズに相手の攻撃が当たることはあり得ない。それこそが、セリーヌ・ローズがSクラスに在籍する理由である。
セリーヌ・ローズ、初戦突破!
「魔法発動してよかったーー!」
こうして、1年Sクラスの無双が続く中、俺たちの戦いの番が来た。
「これより第10回戦の試合を始めます。レイン・スティール対ソフィー・ベネット」
「試合開始!」
アナウンスの声と共に、俺とソフィー・ベネットは魔法を展開する!
よろしくお願いします。




