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第37話 トーナメント戦

 レインは復興祭実行委員として慌ただしい日々を送っていた。クラスでの出し物であるお化け屋敷の準備や復興祭全体の運営など様々なことを行っていたがそれも今日で終わりである。本日、とうとう復興祭が開催されるからである。


 俺は今日、朝早くにジーナ委員長に招集を掛けられている。ジーナ委員長曰く・・・。


「とても重要な任務を任せるから。よ・ろ・し・く!」とのことだった。俺はできるだけゆっくりと復興祭を楽しみたかったのだが、まあ、頼まれたのなら断われないのが俺の悪いところなのは否めない。


「よし、何とか起きれたな・・」


 アレンの方を見てみるとアレンはまだ夢の中だった。まだ、日もろくに出ていない時刻だからな、無理もない。昨日は1年Sクラスでトーナメント戦に向けて最後の追い込み特訓してたからな。俺はメモ帳のページを一枚切り「先に学校に行く」と残しそっと扉を開け部屋を出た。


 その後、俺は指定された教室へ向かった。教室にはすでにジーナ委員長の姿があった。


「お!来たね!レインくん」


「おはようございます。ジーナ委員長。こんな時間にどうしたんですか?」


「君をここに呼んだのは一つ仕事を極秘で頼みたいからなんだ。今週中にCATCHのライブが行われるのはわかるよね」


「ええ、それはもちろんです」


「CATCHは世界的に有名なアイドルグループだ。だから、私のような熱狂的なファンも多くいる。その中には、頭のねじが外れてしまったような者もいる可能性がある。君に頼みたいのは、CATCHを君の隠密の魔法を使って極秘で彼女たちの警護をお願いしたい」


なるほどな。この世界でも前世の世界でもこういうところは一緒ってことか。


「でもなぜ俺なんです?警護ならもっとプロに頼むべきでは?」


「もちろん今回の復興祭では自警団リーブラの皆さんに警護についてもらうつもり。自警団リーブラの皆さんには中からの警護を、レイン君には外からの警護を頼みたいということ。不審な人物や怪しい動きを見せた者がいたら適宜連絡してCATCHの皆さんの身の危険を最低限まで抑えたいんだよ。まあ、警護と言っても常に見張れとは言わない。定期巡回のときに他の復興祭実行委員とは別行動で彼女たちの警護に回ってもらいたい」


「承知しました。お受けします」


「それは良かった。ちょっと嫌な予感がしていてね。私の予感はよく当たるんでね。まあ、念には念をってね」


「警護といってもほとんどリーブラの皆さんが行ってくれるからそこまで緊張することはないから安心してくれ。君にも復興祭は楽しんでもらいたいからね」


「あのー1つ質問してもよろしいですか?」


「うん、もちろん」


「俺はCATCHの皆さんの顔も名前も知らないのですが・・・」


俺は申し訳なさそうに質問した。俺は転生者だ。CATCHなんてアイドルはChronicle・Lineのストーリーには一切出てきたことはない。俺の知らない人物たちである。この世界では相当有名なアイドルみたいだけどな。


俺の質問に対してジーナ委員長はため息をつくのだった。


「そう言うと思っていたよ。私にライブの警備を変わってくれたくらいだからね。レインくんにはこれを渡しておくね」


ジーナ委員長はそう言うと俺に4枚の写真を渡してくれた。そこには、3人の女の子と1人の男性の写真だった。


「その女の子3人がCATCHのメンバーでナタリーちゃん、カレンちゃん、ミラさん。んで、その男性がマネージャーのマイクさんね」


「ありがとうございます。委員長」


「それじゃ!今日からの復興祭、最高のものにしよう!」


「はい!」


俺は差し出された手に握手をし警護に協力することになった。

俺と委員長は教室を後にし復興祭実行委員の皆さんと合流し復興祭の準備を行っていった。ジーナ委員長から渡された写真を見て俺は、ナタリーという女の子とマイクという男性に見覚えがあったが特に気にすることなく準備に向かった。



一方、CATCHのメンバーとマネージャーのマイクは朝早くに冒険者学校に移動を始めていた。移動は車で行い車には認識阻害の魔法が使用されていた。車の中では、CATCHのメンバーとマイクが会話をしていた。


「皆さん、CATCHのライブは復興祭の最終日になります。その為、リハーサルは前日に行います。それまでは皆さん復興祭を楽しんでかまいません。ですが・・・」


「ですが、変装の魔法をかけて別人になれと・・」


ミラは呆れたように言葉を発した。


「仕方ないよ。ミラさん。私たちが変装なしで現れたら大騒ぎになっちゃうし」


「そうだ―。仕方なし!」


ナタリーとカレンはミラを庇うように言う。


「まあまあ、今回の復興祭では冒険者学校の生徒による出し物もそうですが、初日から大迫力のトーナメント戦があります。冒険者学校のトーナメント戦なんてそうそう見れるものではありませんし楽しんでください」


「そうだよね!トーナメント戦楽しみだよね!」


「ちなみに、皆さんの警護には自警団リーブラの皆さんが警護に当たってくれるそうなので安心して楽しんでください。自警団の皆さんは通常のお客さんに紛れて警護に当たってくれるそうです」


「わかりました。変装のことはまあ・・よしとして。ナタリー、カレン。今日から5日間は久々のオフですし楽しみましょう!」


「はい!ミラさん」


「おー!」



そして、とうとう復興祭の開催が宣言された。


「これより、スタートの街、復興祭の開幕を宣言いたします!」


会場は歓声と声援でざわめき大いに盛り上がりを見せるのだった。初日から4日間かけて行われるトーナメント戦は会場で見ることはもちろんスタートの街中にモニターのようなものが宙に浮かびそこからトーナメント戦を観戦できるようになっている。


アナウンスの声が会場内に響き渡る。


「これより冒険者学校トーナメント戦を行ってまいります!冒険者学校生徒および教師陣の皆さんは準備をお願いします!」


「それではみなさん!トーナメント戦の組み合わせを発表いたします。組み合わせは冒険者学校の生徒および教師陣をランダムで抽選を行い決定しました。それではご覧あれ!」


すると、大きな画面が現れトーナメント表が現れた。

さて、俺の名前は・・・と。まあ、全校生徒+教師陣からランダムでの抽選なんだし早々Sクラスの奴と当たることはないと思うんだけど・・・。


トーナメント表には第4会場 第10回戦レイン・スティール対ソフィー・ベネットと記載されていた。


「嘘だろ・・・」


この膨大な組み合わせの中で初戦からSクラスに当たるとかどういうことやねん。

とりあえず、俺は1年Sクラスの待合室に戻った。


「やっと見つけたよ。レイン!」


「お!アレン」


「朝早くからご苦労様!」


「ああ、ありがとう。アレンはトーナメント戦の組み合わせどうだった?」


「僕の初戦は第1会場で2年生の先輩だったよ」


「まあ、アレンの実力なら先輩でもなんとかなるだろ」


「買いかぶりすぎだよ。レインは初戦ソフィーさんとだったね」


「まさか同じクラスと当たるとはね」


今回のトーナメント戦は出場人数が莫大に多いため四つの会場に分け同時に試合を開始し適宜試合終了次第次の試合を開始するようになっている。


「レイン見つけたーー!」


後ろから思いっきり抱きしめられたがもう気にしないことにした。


「サレン離れてくれ」


「あれ?反応が薄い・・」


「そろそろじゃれ合いはやめなさい。サレン。トーナメント戦始まるわよ」


サレンが俺から離れ後ろを振り返るとアメリア、ジーク、ハンナも後ろから現れた。これでいつものメンツが集合したわけだが。


「早く、待合室に向かうぞ!トーナメント戦始まっちまう」


俺たちは待合室に走って向かうのだった。俺たちが最後だったらしく待合室にはもう1年Sクラスが全員そろっていた。そして、俺の下に一人の人物が寄ってきた。


「レイン!いい勝負をしましょう!」


「ああ、よろしく頼むよ。ソフィー」


「あなたとは一度真剣に戦ってみたいと思ってましてよ!」


「俺もだよ・・・」


そう言うとソフィーはミシェルたちのいる方に戻っていった。


「相当、気合入ってるね。ソフィーちゃん」


「そうだな・・」


俺は「俺もだよ」なんてカッコつけて返したがソフィーの圧力に押されまくっていた。なんか変な汗までかいてるし。


 ソフィー・ベネット。Chronicle・Lineの登場人物の一人。ソフィーの家は商業の家系でありその家の長女がソフィーである。ソフィーの家はベネット商会という世界的に見ても5本の指に入る大商会でお金持ちの家でお嬢様なのである。Chronicle・Lineのストーリーでも商業という部分からストーリーに絡んでくる。


 だが、ソフィーはその破天荒な性格から家の方針には一切見向きもせず自身の意志で勝手に冒険者学校に入学する。ソフィーはその破天荒さとは裏腹に魔力操作のセンスが凄まじく難なくSクラスに配属されたのである。ソフィーの動きに規則性などはなく、すべてセンスのみで動くサレンタイプの感覚派の天才である。


「レイン!第1試合始まるよ」


サレンに言われモニターに目をやると意外な人物が第1試合を飾っていた。


「これより第1試合を開始します。第1試合、リディア・ロッツ対ケイル・ハーバー!」


第1試合からリディア先生の試合か。相手は3年Sクラスの先輩である。いくら先生でもSクラスの3年生ともなれば教師陣とも引けを取らない強さを誇るだろう。だが、この結末は圧倒的暴力で幕を閉じた・・・。


「試合開始!」


アナウンスの試合開始の合図とともに2人同時に魔法を展開した。だが、その瞬間、大きな爆発音と衝撃波が会場内に響き渡る。その直後、3年生の先輩はその場に倒れ気絶していた。


会場内の観客、アナウンスの人も何が起こったのかわからず呆然としていた。


「しょ・・勝者、リディア・ロッツ」


リディア先生はガッツポーズをし、その場を後にしたのだった。

リディア先生の圧倒的な強さを見て俺たち1年Sクラス全員も呆然と見ていたのだった。


サレンに肩をツンツンとされ振り向いた。


「ねえ、レイン。今、一体何が起きたの?」


「俺にもわからん・・・」


復興祭トーナメント戦は衝撃的な試合から幕を開けた。

よろしくお願いします。

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