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第30話 絶望

 レインは今回の魔獣襲撃の首謀者アルバート・クラウと対峙していた。この場には俺とアルバートのほかにサレンもいるがサレンはアルバートの分身体2体によって拘束され身動きの取れない状態にある。変な動きを見せればサレンは分身体によって殺される。それに、アルバートが転生者だったということが明らかになった。転生前はクロニクル・ラインの運営をしていたらしい。この世界では転生前の知識を使い拡張パックの内容通りにこの世界で行動しこの世界の本物のアルバート・クラウを殺害した。


「さてと・・長いこと語ったところで、死んでもらいますか。レイン・スティール」


俺は戦闘態勢に入った。右手に小刀を持ち魔力を集中させる。さあ、始めよう。戦いを。俺はアルバートに向かい正面から走り出す。


「正面から来るとは戦い慣れてねえ証拠だな!」


アルバートは余裕の構えで貴笑う。確かにお前に比べれば人を殺したことはないし、ぶっちゃけ今この死闘がものすごく怖いんだよ。転生前ではありえない光景なのだから。目の前の相手は俺を殺しに来ている。体中から嫌な汗が流れる。


「ステルス!」


俺はステルスを使い自身の身を隠す。こんな時ほど基本を忘れるな。焦るな、ロビンとの特訓を思い出せ!俺は今ステルス状態だ。俺はアルバートの背後から近づき小刀の刃をアルバートの首を目掛けて突き刺そうとした。だが、その刃はアルバートの持っていた片手剣によって弾かれる。


「なっ!」


「バレバレなんだよ。面白くもない・・・」


俺はアルバートに腹部に強烈な蹴りを食らいそのまま吹き飛ぶ。


「くはっ!」


俺は口から血を吐き立ち上がることができない。蹴り一発で殺人が可能なほどの威力だった。完全に骨は折れ強烈な痛みが俺を襲う。アルバートはゆっくりと歩きながら俺に近づき俺の髪の毛を掴んで持ち上げる。


「よくもまあ、これほどまでに弱くてサレンを守るだ?笑えてくるよ。あははははは」


「もう声も出ねえか?おい?聞いてんのか!」


俺はアルバートにもう一度腹部に蹴りをもらい吹き飛ばされる。


「レイン!」


サレンの声が聞こえる。意識は朦朧として目を開けているのがやっとの状態。俺はこんなにも弱く役立たずなのかと思ってしまう。たった2発の蹴りでノックアウトとかかっこ悪すぎだろ。


「死ね・・レイン・スティール」


俺はアルバートによって腹部に剣で刺された。俺の腹部からは大量の血が流れ凄まじい痛みと暑さが体を覆う。


「簡単には死なせなねえよ。このまま血を流し続ければお前は大量出血で死ぬ。死ぬまで痛みを味わいな!」


アルバートは笑いながらそう言った。手、足、体中がもう動かない。心臓を突き刺せばいいものをアルバートはわざと刺さなかった。くそみたいな性格してやがるよ。


「レイン・・・うそでしょ。ねえ、嘘って言ってよ!レイン!」


今この場にサレンの声が響き渡る。その声は震え、サレン目からは大粒の涙が流れていた。サレンは衰退しきっていた。レインが自身のために戦い、自分の前で剣で刺され倒れている。これほどまでにサレンの心を壊すには十分すぎたのだ。これが「絶望」というのだろうか。


「あはは!絶望しきっている顔だね。サレンちゃん」


アルバートは笑いながらサレンの下へ歩き出す。


「目の前でレイン・スティールを殺されてどんな気分だい?ねえ、教えてくれないかい?あははは」


サレンは下を向き何を言われようと返答がない。抜け殻のように全く動かなかった。ただひたすらにレインの死を受け入れられなかった。


「まあいいか。レインは殺した。目的を果たそうか。死ね!サレン・レイス!」


アルバートは剣を振りかざしサレンに斬りかかる。だが、その剣はサレンに斬りかかる直前で動きが止まる。


「動けない!?」


アルバートは動揺した。サレンは俯き抵抗の意志は全く感じられない。アルバートは背後に倒れているレインの仕業なのかと疑うがレインから魔法が行使されたようには思えなかった。レインにそんな力はない。ならいったい?なぜ体が動かない?何か拘束系統の魔法がアルバートに行使されていた。


「どこ見てるんスか・・」


「お前・・・」


「簡単にはサレンさんは殺させないスよ!()()()()!」

よろしくお願いします。

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