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第29話 sideアメリア、アレン(4) 東の門番とアレンの想い

アレンとアメリア、マリーさんはワープホールの門番の討伐のためスタートの街の東側の古びた神殿の近くまで来ていた。その場所にはワープホールを通じて多くの魔獣が侵攻していた。数は500前後といったところだろうか。そのワープホールの横に異常な殺気を放つ魔獣が一匹。奴だ。東の門番コキュートス。四足歩行で龍と似たような姿をしている。それでも奴の翼は悪魔のような漆黒で、あれは龍ではない。魔獣だ。鋭い牙に口からは白い吐息を漏らしている。コキュートスの周囲は凍り付いており、ワープホールから出てくる魔獣は近づこうともしない。


僕たちはこれからあんな化け物を相手にする。手が震えている。僕は心のどこかで恐れているのか?僕は自身に渇を入れなおし今の状況に集中する。マリーさんの合図で一斉に攻撃を開始する。この場には僕たちの他にも徐々に味方が到着している。味方は王宮のスカウト部隊の精鋭たちだ。こちらの準備は着々と進んでいった。


僕はこの戦いでアメリアを心配していた。僕は集中するアメリアを見つめていた。確かにアメリアは僕よりの遥かに強い。だけど、僕は、アメリアを守りたい思うのである。強いとか弱いとかそういうのは関係なく僕は・・・。


「みんな準備はいい!」


マリーさんの指示が響き渡る。

「最優先はワープホールの破壊。この戦いに敗北すれば私たち王宮は魔族に完全敗北すると思っていい」


「でも・・・私たちは強い!全力で行くよ!」


マリーさんの掛け声と共に戦いは始まった。

作戦は後方部隊は遠距離から近接部隊の援護と近接部隊が倒しきれなかった残党の処理、近接部隊はワープホールの破壊を最優先に立ち回り魔獣たちを討伐する。僕とアメリアは近接部隊に加わり魔獣討伐に参加する。僕たちに気付いた魔獣たちが一斉に襲い掛かってくる。ここは戦場の最前線、気を抜けば一瞬で殺される。


アメリアは自身の光魔力を十二分に発揮し魔獣どもをどんどん討伐していく。僕も役に立たたなければ。僕は剣を構え魔力を剣に籠める。目を閉じ、剣に自身の身を委ねる。


「よし!」


僕は剣を振りかざし魔力で強化した剣で魔獣どもに斬りかかる。魔獣どもは次々に討伐されていく。作戦は順当に進んでいくかに見えた・・・。こんなにも魔獣が討伐されていく中全く動じない魔獣が一匹。


「コキュートス・・・。」


スカウトの部隊の人たちがコキュートスに攻撃をシフトし始めた。大方、魔獣の討伐が完了し始めたからだ。その時だった。コキュートスの咆哮が響き渡る。頭が割れるようだ。僕は思わず耳を塞いだ。コキュートスの鋭い爪からの攻撃、身体から吹き出る冷気が戦場を荒らしていく。スカウトの隊員が次々に倒れていく。コキュートスの体を覆う鱗のような分厚い装甲はスカウトの隊員のあらゆる魔法攻撃を打ち消す。


「こいつ。魔法を打ち消すのか」


コキュートスは翼を羽ばたかせ、巨大な体を空中に浮かべる。僕は嫌な予感がした。僕は今までの剣の修行で魔力を動きを感知できる。コキュートスの腹部に大量の魔力が集中している。コキュートスの見ている方向にいるのはアメリアだった。コキュートスは魔力が異常に高いアメリアを狙っている。僕は必死にアメリアの下に駆ける。アメリアは魔獣の討伐に気をとられコキュートスの動きが見えていない。アメリアは集中しだすと周りが見えなくなってしまう。昔からの悪い癖だ。僕は額から汗を垂らす。


「くそっ、間に合え!」


僕は駆ける。アメリアの下へ。冒険者学校でも森の中戦闘でもそうだった。冒険者学校に魔族が現れたはレインがアメリアを助けた。森の中ではマリーさんがアメリアを助けた。アメリアのそばにいながら僕はいつもアメリアを救えない。アメリアは強い。僕なんかより遥かに。それでも僕はアメリアを守りたい。レイン。君は初めて会ったとき言ったね。「幼馴染に追いつきたい」って。でも、僕は追いつきたいっていうよりも守りたい!アメリアを。だからこそ!


「アメリアさん逃げて!」


マリーさんがコキュートスの攻撃がアメリアを狙っていることに気付きアメリアに声をかける。アメリアもコキュートスの攻撃に気付きその場から逃げようとするがアメリアが立っていた場所はコキュートスの吐息で辺りが凍り付いた場所だった。いつの間にか足元が凍りつき動けない様態だった。


「そんな!」


次の瞬間、アメリアをめがけて氷の魔力を高濃度に凝縮させたブレスがアメリアに襲い掛かる。


「アメリアーーーーーーーー!」


僕は叫んだ!力いっぱい叫んだ。今できる全力を僕はコキュートスのブレスに叩き込む。僕は強いとか弱いとか関係ない。僕は一人の大切な存在を、僕の大好きな彼女アメリアを守り抜く!

僕に魔法の才能はない。だから僕は剣の道を選んだ。魔力は斬ることのみに集中させる。後は僕の体しだいだ!僕は自身の剣に魔力をありったけ注ぎ込む。この一瞬にすべてを叩き込む!僕はアメリアの前に立ち、ブレスを剣で受け止めた。


目からは血が流れ、体はブレスの威力で切り傷が増えていく。体のすべての筋肉に力を籠める。僕の足元はコキュートスのブレスの衝撃で地面が抉れる。コキュートスのブレスは敵味方関係なく周囲のものを吹き飛ばすした。


「アレン!やめて。このままじゃアレン!」


アメリアからは涙があふれていた。僕は君のそんな顔は見たくない。君の笑顔が見たいんだ。その為なら僕はどんな逆境だって乗り越えていける。体何て壊れたっていい。今はただ大切なものをこの手で守る。心が折れない限り僕は何度でも立ち上がる!


「うらあああああああああ!」


僕は最後の力を振り絞りコキュートスのブレスを叩き斬った。コキュートスは自身のブレスが破られ動揺を見せる。


「その時を待ってたよ・・・これで終わりだ」


僕はそのまま上空へ飛びコキュートスの首をめがけて剣を振り斬りかかる。コキュートスは地面へと落下していき衝撃音と共に倒れワープホールは消滅した。


僕はその場に倒れ、意識が薄れていく。アメリアの声が微かに聞こえる。ごめん、アメリア。僕はここまでみたいだ。僕の意識は静かに消えていった。


どれほどの時間が流れたのだろうか。僕は身体の強烈な痛みと共に意識を取り戻す。片目には包帯が巻かれており、身体も包帯まみれだった。


「アメリア・・・」


僕は突然アメリアに抱き着かれた。


「アレン・・・」


「ごめん、アメリア」


「絶対に許さないんだから」


後から聞いた話だけど僕が意識をなくした後、心臓も止まりアメリアが人工呼吸を繰り返し行ったが僕の心臓は止まったままだったらしい。でも、そこに、ジークとハンナ、エイスと呼ばれる少女の3人が現れた。ハンナは自身の魔力である治癒魔法を使って僕の体を治癒してくれたらしい。そして、現在に至る。ハンナの治癒のおかげで一命は取り留めたものの少し後遺症が残った。コキュートスとの戦いで僕は辛うじてアメリアを守ることができた。でも、僕はジークたちが来てくれなければ命を落としていた。もっと強くならないとと強く思った。


でもまだ、スタートの街の中心地でみんなが戦っている。


「みんな無事でいてくれ」



一方その頃、レイン・スティールは・・・。


「さてと・・死んでもらいますか。レイン・スティール」

よろしくお願いします。

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