第26話 sideジーク、ハンナ(1) 龍の存在
僕とハンナはレインたちと共に魔獣と対峙していたが突如現れた黒い角を生やした少女の作ったワープホールに吸い込まれた。僕は気絶していたらしく地面に横たわっていたが目を覚ました。
「ここは・・・いったい?」
僕が目覚めるとハンナも横たわっていた。
「ハンナ!大丈夫か!」
僕はハンナの様態を確認した。今は眠っているだけみたいだ。僕はハンナの異常がないことを確認し一息つく。僕は周囲を見渡した。ここは一体どこなんだ?黒い角を生やした少女の作ったワープホールの中に吸い込まれたことは覚えているけど。見たところ、レインたちの姿はない。
「お・・起きたか・・」
「誰だ!」
僕の目の前に突如としてワープホールをつくった黒い角の少女が姿を現した。僕は警戒する。こいつは敵だ。魔族側の一人。警戒しないわけにはいかない。
「まあまあ、そんなに警戒せずとも。私の腕を見ればわかるかな・・」
僕は少女の腕を見て驚愕した。彼女の腕は鋭い爪、強靭な鱗まるで・・。
「龍の腕・・」
僕がこの世界に転生してどうすればいいかわからなかった。だから、この世界の歴史から調べていった。この世界の現状はChronicle・Lineの世界と瓜二つだ。僕は本当にゲームの世界に転生したのか否かを徹底的に調べることにした。レインはこの世界の「今」について深く調べていったようだけど僕はこの世界の「過去」について深く調べた。過去はこれまでの軌跡だ。調べればこの世界の真実がわかるかもしれないと思った。そして、僕はこの世界とChronicle・Lineの世界の相違点を見つけた。その相違点こそ「龍」の存在だった。
Chronicle・Lineの世界は勢力は極端に2つに分かれる。魔族と王宮と呼ばれる種族連合の2つの勢力だ。主人公は王宮側で敵である魔族の侵攻を食い止める。だが、この世界には、3つの勢力が存在する。Chronicle・Lineの世界と共通の勢力である魔族と王宮そして、中立の勢力それが「龍」である。「龍はほとんど魔族にも王宮にも干渉しない」というのが歴史として残っている。それによってこの世界は勢力が3つに分かれていようと実質争っているのが魔族と王宮だからChronicle・Lineの世界と同じような世界が構成されている。
それじゃあ、なぜ魔族は龍の勢力を取り込んで王宮を攻めようとは思わないのか。龍を支配下に置けば簡単に王宮を落とせるのではないかと考えるのが普通だろう。これは王宮側にだって言えることだ。龍の力は絶大すぎるのだ。手が付けられないからというのが正解である。龍が動けばこの世界はすぐにでも龍たちのものになるだろう。それだけ龍の力は強大で誰も手が出せないのである。
だが、そんな干渉をしないと言われた龍が目の前にいる。だが、この少女が龍なのだとしたらこの少女はワープホールで僕たちを転送した。つまりは魔族側にも干渉している。敵なのか、味方なのか、どちらでもないのか。
「どちらでもない。それが正しいよ・・」
考えを読まれたのか!こちらの考えは筒抜けみたいだね。
「どうして、僕たちをワープホールで転送したんだ。どうして、魔族側に干渉した?龍は干渉しないんじゃないのか」
「質問が多いなあ・・。私の目的は一つ。君たちだ」
「私たち龍は中立の立場で魔族にも王宮にも干渉しちゃいけない。でも王宮の君たちジーク・テイラー、ハンナ・テイラーに干渉せざるえなくなった・・。中立の立場上、魔族にもちょっと干渉した・・。それだけ」
龍が僕とハンナに干渉せざるえなかった。どういうことだ。
「私はただの案内役。ついてきて」
僕はハンナを抱え、ひとまず龍の少女についていった。ついていった先には巨大な神殿のような建物が建っていた。
「連れてきたよ。おじいちゃん・・」
「ご苦労だったのう。エイス」
僕は目の前に現れたものに恐怖を感じた。体は震え、立っていられなくなった。僕はハンナを抱えたまま膝をつき目の前の存在を直視できなかった。
「おじいちゃん・・。覇気放ちすぎ・・。彼らは人間・・、おじいちゃんを見れない・・」
「おお、すまんかったのう。これでどうじゃ」
その瞬間、体の震えは止まり、心臓の鼓動もおとなしくなる。僕は改めて目の前の存在を目にした。
「我は炎帝龍 ブレイズである!」
そう名乗った龍は僕を力強い眼光で見つめていた。
よろしくお願いします。




